事業再構築補助金の中で最も分かりにくいのが、「類型」です。
いずれも似たような要件のため、自社がどの類型に当てはまるのかという点は頭を悩ませるポイントの一つかと思います。
そこで今回は事業再構築補助金の5つの類型の違いを具体例を交えて徹底解説していきます。
本記事を見ることで、自社はどの類型を目指すべきなのかが分かることができます。
事業再構築には5つの類型がある
事業再構築には下記の5つの類型があります。
- 新分野展開・・新たな製品等で新たな市場に進出する
- 事業転換・・主たる事業の変更
- 業種転換・・主たる業種の変更
- 業態転換・・商品の製造方法やサービスの提供方法の変更
- 事業再編・・事業再編を行い、なおかつ上記の4つの類型のいずれかを実施する
聞きなれない言葉ばかりですよね。
これから申請する方は「各類型でどういった違いがあるのか分からない」、「自社はどの類型を選択すれば良いか分からない」という方がほとんどかと思います。
そこで各類型の違いに下記の表で簡単に解説します。
1.主要要件 | 2.製品等の新規性要件 | 3.市場等の新規性要件 | 4.製造方法等の新規性要件 | 5.設備撤去等またはデジタル活用要件 | 6.売上高10%要件 | 7.売上高構成比要件 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
新分野 展開 | 新市場へ事業展開 | 〇 | 〇 | × | × | 〇 | × |
事業 転換 | 事業 を変更 | 〇 | 〇 | × | × | × | 〇 |
業種 転換 | 業種 を変更 | 〇 | 〇 | × | × | × | 〇 |
業態 転換 | 製造方法などを変更 | 〇 | × | 〇 | 〇 | × | |
事業 再編 | 組織再編要件を満たす | 組織再編要件+新分野展開、事業転換、 業種転換または業態転換のいずれか |
いずれの類型も要件を3つ必要があります。
ただし、事業再編は組織再編要件+新分野展開、事業転換、 業種転換または業態転換のいずれかに取り組む必要があるので、実質的には4つの要件を満たす必要があります。
各種要件については下記の章で詳しく解説していきます。
事業再構築類型の要件を解説
下記の事業再構築要件について詳しく解説していきます。
- 主要要件
- 製品等の新規性要件
- 市場等の新規性要件
- 製造方法等の新規性要件
- 設備撤去等またはデジタル活用要件
- 売上高10%要件
- 売上高構成比要件
1.主要要件
新分野展開の主要要件は「主たる業種又は主たる事業を変更することなく、新たな製品等を製造等し、新たな市場に進出すること」です。
詳細の内容は下記で解説しています。
事業転換の主要要件は「新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更すること」です。
詳細の内容は下記で解説しています。
業種転換の主要要件は「新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更すること」です。
詳細の内容は下記で解説しています。
業態転換の主要要件は「製品等の製造方法等を相当程度変更すること」です。
詳細の内容は下記で解説しています。
事業再編の主要要件は「会社法上の組織再編行為等を行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換のいずれかを行うこと」です。
詳細の内容は下記で解説しています。
2.製品等の新規性要件
製品等の新規性要件では下記の要件を満たすことが必要となります。
- 過去に製造等した実績がないこと
- 製造等に用いる主要な設備を変更すること
- 定量的に性能又は効能が異なること
「過去に製造等した実績がないこと」については概ね5年以上前の場合に製造したものであれば問題ないとのことで公式の見解がでております。(事業再構築補助金 よくあるご質問【新分野展開、事業転換、業種転換】 NO5より)
また、テストマーケティングや継続的な販売に至らなかった場合も問題ありません。
従来の商品の改善をする場合もOKです。
「製造等に用いる主要な設備を変更すること」とは設備、装置、プログラム(データを含む。)、施設等を変更することです。主要な設備を変更せず、新たな商品を追加する場合は補助対象外です。ファブレス経営の場合でも、委託先で主要な設備が変更になれば対象となります。
「定量的に性能または効能が異なること」とは、新製品の強度、耐久性、軽さ、加工性、精度、速度、容量等がX%上がったというように数字にて性能または効能が異なることを証明できることです。
この3つの要件を満たすことで製品などの新規性要件を満たすこととなります。
なお、ここでの「新規性」の意味は事業者の新規性のみで、他の事業者の新規性という意味ではありません。
他社の商品と被っても問題ありません。
3.市場等の新規性要件
市場の新規性要件とは「既存製品等と新製品等の代替性が低いこと」が 要件として挙げられています。
つまり「新製品等を販売した際に、既存製品等の需要が単純に置き換わるのではなく、売上が販売前と比べて大きく減少しないことや、むしろ相乗効果により増大することを事業計画においてお示しください。」ということです。
分かりにくいので具体例で説明させていただきます。
例えば、アイスクリーム屋が「オンラインでのアイスクリームの作り方」というサービスを提供する場合、既存のアイスクリームの売上を上げながら(オンラインによる広告で)、オンラインサービスの売上も上げることができると思われます。、既存製品等の需要(アイスクリームの需要)が新製品(オンラインサービス)の販売前と比べて大きく減少していません。むしろ相乗効果(広告効果)により増大する可能性が高いと言えるでしょう。
この場合は「既存製品等と新製品等の代替性が低い」と言えます。
一方で、アイスクリーム屋がカギ氷を展開した場合、アイスクリームを頼もうとしたけど、やっぱりやめてカギ氷にしようと考える人が一定の割合でいると考えられます。
つまり、カギ氷によってアイスクリームの売り上げが下がることが予想されます。
この場合は、「既存製品等と新製品等の代替性が高い」と言えるでしょう。
4.製造方法等の新規性要件
製造方法等の新規性要件では下記の要件を満たすことが必要となります。
- 過去に同じ方法で製造等していた実績がないこと
- 主要な設備を変更すること
- 定量的に性能又は効能が異なること
「過去に同じ方法で製造等していた実績がないこと」とは異なるサービスや製品を提供することも含まれます。内製化も含まれます。
「主要な設備を変更すること」は設備、装置、プログラム(データを含む。)、施設等を変更することです。
「定量的に性能または効能が異なること」とは、新製品の強度、耐久性、軽さ、加工性、精度、速度、容量等がX%上がったというように数字にて性能または効能が異なることを証明できることです。
5.商品等の新規性要件又は設備撤去等要件
商品等の新規性要件は上記の製品等の新規性要件と同意義です。
設備撤去等要件は「既存の設備の撤去や既存の店舗の縮小等を伴うこと」と定義されています。
規模や設備の内容などは定義されていませんので、多くの範囲で認められる可能性が高いです。
6.売上高10%要件
売上高10%要件とは「新たな製品等の(又は製造方法等の)売上高が総売上高の10%(又は総付加価値額の15%)以上となること」を意味します。
あくまで事業計画上で10%になれば良いので、頑張ったけど達成できなかったというケースの場合、ペナルティはないかと思われます。
事業再構築補助金のペナルティについては下記の記事で解説しています。
7.売上高構成要件
売上高構成要件とは「3~5年間の事業計画期間終了後、新たな製品の属する事業が、売上高構成比の最も高い事業となる計画を策定すること」を意味します。
中々ハードルが高いですが、実は売上高構成要件は必達の要件ではありません。
事業計画上で売上高構成が最も高くなれば良いので、頑張ったけど達成できなかったというケースの場合、ペナルティはないかと思われます。
事業再構築補助金のペナルティについては下記の記事で解説しています。
売上高構成要件のみが新分野展開と異なる要件となっています。
間違えないように注意しましょう。
実際の採択事例
各類型ごとの採択事例について、下記の記事に解説しています。
実際にどのような事業計画がどの類型に当てはまるのか、実際の採択事例から確認してみてください。
まとめ
今回は事業再構築の5つの類型の違いや要件、採択事例について解説してきました。
様々な類型があるので、一見する分かりにくいですが、過去の採択事例を参考にするとイメージがつきやすくなります。
本記事を参考に、自社がどの類型で申請すべきか判断してみてください。
「事業計画書が作成できず、困っている」「認定支援機関が見つからず、困っている」という方はまず一度ご相談ください。
事業再構築補助金について他にもまとめておりますので参考にしていただければ幸いです。
https://mono-support.com/saikouchiku/
また事業再構築補助金がどの様ものかわからないといった方は下記HPをご覧ください。
https://jigyou-saikouchiku.jp/
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