事業再構築補助金の主要な申請型である「成長枠」と「グリーン成長枠」。
似たような言葉ではありますが、内容は全く異なるので注意が必要です。
そこで今回は事業再構築補助金の成長枠とグリーン成長枠の違いについて解説していきます。
成長枠
まずは事業再構築補助金の成長枠について解説していきます。
概要
成長枠は、成長分野への大胆な事業再構築に取り組む中小企業等を対象としています。
この枠組みを利用することで、企業は新しい事業領域への進出や技術の導入、経営基盤の強化などを図ることができます。
補助金額
- 【従業員数 20 人以下】 100 万円 ~ 2,000 万円
- 【従業員数 21~50 人】 100 万円 ~ 4,000 万円
- 【従業員数 51~100 人】 100 万円 ~ 5,000 万円
- 【従業員数 101 人以上】 100 万円 ~ 7,000 万円
補助率
- 中小企業者等:1/2 (大規模な賃上げを行う場合は 2/3)
- 中堅企業等:1/3 (大規模な賃上げを行う場合は 1/2)
補助事業実施期間
交付決定日から12か月以内。ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14か月後の日まで。特例として、認められる理由により延長される場合もあります。
補助対象経費
建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費
要件
- 事業再構築要件:事業再構築指針の「事業再構築」定義に該当。
- 認定支援機関要件:事業計画の確認が認定経営革新等支援機関から得られる。補助金額が3,000万円を超える場合は、金融機関の確認も必要。
- 付加価値額要件:3~5年後に付加価値額の年率平均4.0%以上の増加。
- 市場拡大要件:10年間で市場規模が10%以上拡大する業種・業態。
- 給与総額増加要件:3~5年後に給与支給総額を年率平均2%以上増加。
採択率
通常枠の場合は35~50%前後。
成長枠は売上高減少要件が撤廃されたことで、対象者が大幅に増えたことから採択率は下がることが予想される。
予想は30~40%程度
グリーン成長枠
次にグリーン成長枠について解説していきます。
概要
グリーン成長枠は、環境に優しい取組みや技術の導入を行う中小企業等を対象としています。特に、グリーン成長戦略「実行計画」の14分野の課題の解決に資する活動が評価されます。
過去の採択者でも再申請が可能
補助金額
- 【従業員数 20 人以下】 100 万円 ~ 4,000 万円
- 【従業員数 21~50 人】 100 万円 ~ 6,000 万円
- 【従業員数 51 人以上】 100 万円 ~ 8,000 万円
- 中堅企業等(エントリー、スタンダード):最大 1.5 億円まで。
補助率
- 中小企業者等:1/2 (大規模な賃上げを行う場合は 2/3)
- 中堅企業等:1/3 (大規模な賃上げを行う場合は 1/2)
補助事業実施期間
交付決定日から14か月以内。ただし、補助金交付候補者の採択発表日から16か月後の日まで。特例として、認められる理由により延長される場合もあります。
補助対象経費
建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費
要件
【エントリー枠】
- 事業再構築要件、認定支援機関要件、付加価値額要件、給与総額増加要件は「成長枠」と同じ。
- グリーン成長要件:グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題解決に資する取組。1年以上の研究開発・技術開発や人材育成を含む。
【スタンダード枠】
- 事業再構築要件、認定支援機関要件、給与総額増加要件は「成長枠」と同じ。
- 付加価値額要件:3~5年後に付加価値額の年率平均5.0%以上の増加。
- グリーン成長要件:グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題解決に資する取組。2年以上の研究開発・技術開発や人材育成を含む。
採択率
毎回の公募で40%前後
成長枠とグリーン成長枠の違い
成長枠とグリーン成長枠の主な違いは下記の通りです。
- 成長枠は市場拡大要件に適した事業にしか取り組めない
- グリーン成長枠は脱炭素に関わる事業にしか取り組めない
- グリーン成長枠の方が取り組める事業が限定的
- 補助額はグリーン成長枠の方が優遇されている
- グリーン成長枠にはエントリー枠とスタンダード枠がある
- グリーン成長枠は過去採択を受けた事業者でもチャレンジ可能
- 採択率は成長枠の方が低くなると予想される
成長枠とグリーン成長枠はどちらも売上高減少要件が撤廃されており、どの事業者でも申請することが可能です。
しかしながら、取り組める事業は成長枠は市場拡大要件に適した事業、グリーン成長枠は脱炭素に関わる事業のみとなっており限定的であることは注意しなければなりません。
グリーン成長枠の代表的な事例は下記の通り。
成長枠はまだ採択事例がでていませんので、具体的な事例はありません。
対象業種・業態については下記の記事にて解説しています。
まとめ
成長枠とグリーン成長枠、これらは事業再構築を目指す企業にとって非常に魅力的な制度です。
成長枠は、新しいビジネスモデルや技術の導入をサポートするのに対して、グリーン成長枠は環境を考慮したビジネスモデルの推進をサポートします。
企業の方は、自社の事業内容や方針に応じて、適切な枠組みを選択し、日本の経済成長と持続可能な社会の実現に貢献していきましょう。
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