事業再構築補助金の申請を考えている建設業の方にとって、最も大きな問題の一つが事業テーマを何にするか?という点かと思われます。
様々な事業がある中で、自社に適した事業を選択するのはなかなか難しいところかと思います。
そこで今回は事業再構築補助金における建設業の事業テーマの決め方について解説していきます。
事業再構築補助金における建設業の有望事業テーマ
事業再構築補助金における建設業の有望事業テーマは事業再構築補助金事務局が提供している事業再構築~虎の巻~を参考にすることをおすすめします。
第3回から第4回の建設業の事業再構築補助金の申請結果が下記の通り。
(事業再構築虎の巻 事業再構築に向けた事業計画書作成ガイドブック 事業再構築補助金ホームページ)
右に行けばいくほど採択率が高く、上に行けば行くほど申請率が高いという形になります。
有望度が高いテーマほど採択率が高くなる傾向にありますが、最も重要なのは自社とのシナジー効果です。
自社の事業とシナジー効果がない事業の場合、有望度が高いテーマでも採択される可能性は低いでしょう。
自社の事業とシナジー効果が高い事業で、なおかつ有望度が高いテーマを選定することでおのずと採択される可能性は高くなってくるでしょう。
各事業テーマについて詳しく見ていきます。
有望度が高いテーマと具体例
建設業における有望度が高い事業テーマは下記の5つ。
- 宿泊・アウトドア事業・地域活性化
- 産業廃棄物処理・エコリサイクル事業
- 家具のデザイン・制作
- 介護・福祉事業への展開
- デジタル活用・DX推進
有望度が高いテーマは採択率が高い一方で、人気の高い事業のため、過当競争に陥りやすいという課題があります。
そのため、自社の強みを活かした差別化という点が非常に重要になってきます。
自社の強みを活かすためにはswot分析が必要です。
swot分析については下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
それでは各事業について具体例を挙げながら解説していきます。
宿泊・アウトドア事業・地域活性化
宿泊・アウトドア事業・地域活性化は建設業において有望なテーマとなります。
具体的にはワーケーション、貸別荘、バケーションレンタル、コテージ、グランピングなどが挙げられます。
アウトドア関連はコロナ禍で市場規模が伸びている分野です。
密になりにくい環境であることが主な要因です。
また、建設業であれば自社で必要な構築物を建設できることから、高いシナジー効果も見込まれます。
有力な選択肢の一つとして挙げられるでしょう。
アウトドア関連の事業については下記の記事も参考にしてみてください。
産業廃棄物処理・エコリサイクル事業
産業廃棄物処理・エコリサイクルといったSDGsに関わる事業も有望度が高いテーマとして挙げられています。
以前からSGDs関連の事業は採択率が高い傾向にあり、また第6回公募からはグリーン成長戦略に取り組む事業者に対して支援するグリーン成長枠も新たに設定されました。
グリーン成長戦略では資源循環関連事業に取り組む事業者に対して支援するという枠組みもあり、産業廃棄物処理・エコリサイクルは適した業態と言えるでしょう。
グリーン成長枠は過去に採択された事業者でも申請できますので、積極的にチャレンジしてみることをおすすめします。
家具のデザイン・制作
家具のデザイン・制作は建設業と親和性が高いため、有望度が高いテーマの一つです。
家庭用・オフィス用家具市場規模推移では全体としては98.7%と前年度比微減でした。
リモートワーク普及の影響で、オフィス用家具の需要が減少したためです。
しかしながら、家庭用家具の需要は巣ごもりの影響で好調でした。
(矢野経済研究所、家庭用・オフィス用家具市場に関する調査結果を発表 日本経済新聞)
家庭用家具の需要が好調に推移していることから、家庭用家具の製造・販売という事業は建設業において有力な選択肢となるかと思われます。
デジタル活用・DX推進
アナログメインの工程が進む建設業においては、デジタル活用・DX推進は特に有望度が高いテーマとして挙げられます。
デジタル技術を活用した合理化、スマートハウス、Iot活用ハウスなどが代表的な事業例です。
自社で取り組むのが難しいという場合、専門家経費を活用したり、地域のIT事業者と連携したりして事業再構築に取り組むことをおすすめします。
有望度が中のテーマ
有望度が中の事業テーマは下記の通り。
- ドローンの活用
- 解体事業の展開
- ICT技術の活用
- 木材製品の製造・販売
- リフォーム事業
- DIY事業の展開
有望度が中のビジネスモデルは参入障壁がやや高めであるものの、自社の強みが活かせるのであれば有力なテーマとなってくるでしょう。
①ドローンの活用は点検サービスの提供や測量サービス、スクール運営などの事業が主な事業再構築例です。
ドローンに関しては下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
②解体事業の展開は空き家を解体して、土地の売買や木材の売買を行う事業が代表例です。
空き家は平成30年に848万戸となり、右肩上がりに増加しています。
高齢化によって住宅から老人ホームへの入居する人が増えたことや人口減少によって需要と供給のバランスが悪化したことなどが主な要因です。
空き家は景観悪化や治安悪化を招くため、近年の大きな課題となっています。
空き家に関する採択事例は下記にまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
③ICT技術の活用はICT技術の活用による建設や検査プロセスの合理化をする事業が主な対象です。アナログな工程が進む建設業において、有望なテーマと言えるでしょう。
④木材製品の製造・販売はウッドショックの影響で木材が足りていないという課題を解決する事業です。
しかしながら、度重なる世界的な利上げの影響で、木材の需要が落ち込んできています。
市場環境が変わってきているので、状況を見ながら判断することをおすすめします。
⑤リフォーム事業もウッドショックや空き家の増加の影響で有望度が高いテーマとされています。
⑥DIY事業の展開はコロナ禍による巣ごもりの影響で、需要が増加しているテーマです。DIYキットの製造販売やスクール運営事業などが主な事業テーマとされています。
DIY関連事業については下記の記事も参考にしてみてください。
有望度が低いテーマ
有望度が低い事業テーマは下記の通り。
- 飲食業への転換
- カフェ・コミュニティ事業の展開
- キャンプ・アウトドア事業への展開
- 美容・健康事業への展開
- リノベーション事業
- 足場ビジネスの展開
- 塗装事業の新展開
- 不動産事業の展開
- モデルハウス事業
- レンタル事業の展開
- 体験型消費サービス
有望度が低いテーマは低成長市場/多数の事業者の参入で、厳しい競争環境にある事業です。
自社との強い親和性を見いだせない限り、無理にチャレンジする必要性は低いといえるでしょう。
まとめ
今回は建設業での事業再構築補助金事業テーマについて解説してきました。
事業テーマによって採択される可能性は大きく異なってきます。
建設業で事業テーマにお悩みの方はぜひ有望度高または有望度中の事業テーマの中から、自社と親和性の高いテーマを選定してみてください。
建設業で事業再構築補助金の申請を検討しているという方はまず一度ご相談ください。
事業再構築補助金について他にもまとめておりますので参考にしていただければ幸いです。
https://mono-support.com/saikouchiku/
また事業再構築補助金がどの様ものかわからないといった方は下記HPをご覧ください。
https://jigyou-saikouchiku.jp/
事業再構築補助金・ものづくり申請代行サポート(CPA)では事業再構築補助金の申請サポート・申請代行を実施しています