2023年度から第10回公募より既存の類型が変更となり、物価高騰対策・回復・再生応援枠となりました。
成長枠とは異なり、物価高騰対策・回復再生応援枠は市場規模要件がないため、非常に使いやすい類型となっています。
要件も緩和されており、使いやすい類型と言えるでしょう。
そこで、今回は物価高騰対策・回復・再生応援枠の概要や要件、金額、採択率について解説していきます。
2023年度第10回公募から物価高騰対策・回復再生応援枠が追加!
2023年度第10回公募から既存の回復・再生応援枠と緊急対策枠が統合され、「物価高騰対策・回復再生応援枠」に変更になりました。
内容については下記の通り。
(事業再構築補助金令和4年度第二次補正予算の概要 中小企業庁)
従前から似たような要件や採択率だったため、一つになり分かりやすくなりました。
成長枠(旧通常枠)の改悪で使いやすい類型に
物価高騰対策・回復再生応援枠は第10回公募以降で最も注目される類型となるでしょう。
理由は成長枠(旧通常枠)が改悪され、市場規模要件が追加されたためです。
市場規模要件とは事業再構築補助金事務局が指定した業態・業種でしか、新規事業ができないことをいいます。
詳細は下記の通り。
事業再構築補助金成長枠では宿泊業、旅行業、飲食業、小売業など他多数の事業に取り組むことが成長枠ではできなくなりました。
一方で、物価高騰対策・回復再生応援枠は市場規模要件がないため、事業の縛りがなく、様々な事業に取り組むことができます。
物価高騰対策・回復・再生応援枠は売上高減少要件が設定されており、依然として業績が好調だった企業は申請することができません。
しかしながら、売上高が減少している企業にとっては物価高騰対策・回復再生応援枠で申請した方が柔軟な事業に取り組みやすいと言えるでしょう。
物価高騰対策・回復再生応援枠の概要
物価高騰対策・回復再生応援枠の概要について解説していきます。
要件
物価高騰対策・回復再生応援枠は下記の3つの要件を満たすことが要件とされています。
- 事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む(必須要件)
- 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0以上増加 又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加(必須要件)
- ①2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、2019~2021年と比較して10%以上減少していること または ②中小企業活性化協議会等から支援を受け、再生計画等を策定していること
2023年度の事業再構築補助金から、売上高減少要件が必須要件ではなくなりました。
そのため、「中小企業活性化協議会等から支援を受け、再生計画等を策定していること」を満たせば売上高減少要件を満たす必要はありません。
2022年度の緊急対策枠や回復・再生応援枠よりも申し込みしやすくなったといえるでしょう。
補助上限金額、補助率
従業員規模 | 補助上限額 | 補助率 |
5人以下 | 1,000万円 | 【中小企業】 2/3(従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合は800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは3/4) 【中堅企業】 1/2(従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合は800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは2/3) |
6~20人 | 1,500万円 | |
21~50人 | 2,000万円 | |
51人以上 | 3,000万円 |
補助率は中小企業2/3、中堅企業1/2ですが、一定の部分までは中小企業3/4、中堅企業2/3となります。
大きな事業費をかけない中小企業にとっても、メリットが大きい類型となっています。
物価高騰対策・回復再生応援枠の応募件数や採択率は?
物価高騰対策・回復再生応援枠の応募件数は全体の3~4割程度になると予想されます。
第7回の公募結果では緊急対策枠と回復・再生応援枠合わせて全体の約34%の応募件数でした。
応募要件が緩めの緊急対策枠に合わされていますので、応募件数に関してはやや増加していくことが予想されます。
採択率については40~60%程度の高い水準になると思われます。
しかしながら、成長枠(旧通常枠)の売上高減少要件が撤廃された影響もあり、2023年度以降の事業再構築補助金は応募者数が増加すると考えられます。
また、サプライチェーン強靭化枠で大型の補助上限金額が組まれていることもあり、2022年度よりも早いペースで予算が消化されることが予想されます。
そのため、2023年度の事業再構築補助金は全体的に難易度が上がる可能性が高いです。
予算が消化される前に申請したほうが採択率が上がる可能性がありますので、2023年度の事業再構築補助金は第10回公募での申請をおすすめします。
まとめ
2023年度から変更となる物価高騰対策・回復再生応援枠について解説してきました。
ポイントは下記の通り。
- 2023年度から緊急対策枠と回復・再生応援枠が一つになり「物価高騰対策・回復再生応援枠」に
- 要件が全体的に緩和され、使いやすい類型に
- 採択率は前年度同様高くなる可能性が高い
- 売上高減少要件が設定されている
- 市場規模要件はないため、どの事業でもチャレンジ可能
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