事業再構築の要件として新分野展開と業態転換があります。
似たような要件なので、「2つの要件はどう違うの?」と疑問に思う方もいらっしゃいますよね。
そこで今回は事業再構築補助金の新分野展開と業態転換の違いについて解説させていただきます。
新分野展開と業態転換の定義と要件
最初に新分野展開と業態転換の定義と要件について確認していきましょう。
新分野展開の定義と要件
新分野展開の定義は主たる業種又は主たる事業を変更することなく、新たな製品等を製造等し、新たな市場に進出することとなります。
つまり、既存事業はそのまま変えることなく、主力商品や主力サービスを別に構築するということです。
主たる事業を変更する場合は事業転換、主たる業種を変更する場合は業種転換となります。
新分野展開の要件は①製品等の新規性要件、②市場の新規性要件、③売上高10%要件の3つを満たすこととなっています。
これらの要件については下記の記事で解説していますので、参考にしてみてください。
既存事業を変更する必要はないので、とっつきやすい類型である一方、過去に製造したことない商品やサービスを総売上高10%以上にするように取り組まなければなりません。
質の高いマーケティングや市場調査が必要となってくるでしょう。
業態転換の要件
業態転換とは製品等の製造方法等を相当程度変更することをいいます。
業種の変更や新分野に取り組む必要がないため、取り組みやすい類型といえるでしょう。
業態転換の要件は製造方法の変更か提供方法の変更かによって異なります。
例えば、「実店舗からオンラインショップへメインの販路を変更する」「IotやDXを通じて商品の製造方法を変更し、より付加価値が高い商品を製造する」といったケースが代表例といえます。
製造方法の変更の場合 ①製造方法等の新規性要件、②製品の新規性要件、④新事業売上高10%等を満たす必要があります。
提供方法の変更の場合 ①製造方法等の新規性要件、③商品等の新規性要件又は設備撤去等要件、④新事業売上高10%等要件を満たす必要があります。
業態転換については下記の記事で解説させていただいておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
新分野展開と業態転換の定義と要件について簡単に解説してきました。
次の章では具体的に2つの類型は何が違うのか解説していきます。
新分野展開と業態転換の3つの違い
新分野展開と業態転換の大きな違い3つを解説していきます。
- 定義の違い
- 要件の違い
- 取り組みやすさ
定義の違い
新分野展開と業態転換の定義は異なります。
新分野展開は「主力の商品やサービスを提供すること」業態転換は「製造方法やサービスの提供方法を変更させること」となっています。
例えばホテルが事業再構築補助金に取り組む場合、新分野展開は「新たにキャンプ場やグランピング施設を構築し、新たなさーびすを提供する」といったケースが当てはまります。
業態転換は「焼肉の提供方法にロボットを活用する、新たにEC事業を構築して販路を拡大させる」といったケースが当てはまります。
要件の違い
2つの類型は要件が異なります。
製品等の新規性要件、総売上高10%要件についてはいずれにも当てはまりますが、残り一つの要件は新分野展開は「市場の新規性要件」、業態転換は「製造方法等の新規性要件」となります。市場の新規性要件は「既存製品等と新製品等の代替性が低いこと」、製造方法等の新規性要件は「過去に同じ方法で製造等していた実績がないこと、主要な設備を変更すること、定量的に性能又は効能が異なることの3つを満たすこと」となります。
つまり、新分野展開は「既存商品と代替性が低い新たな商品を製造し、新たな商品が最も売上高比率が高い事業にする」ということが求められます。
一方で、業態転換は「過去とは異なる製造方法で、主要な設備を変更し、商品を製造すること」ということが求められます。
取り組みやすさの違い
新分野展開と業態転換はいずれも比較的取り組みやすいテーマです。
理由は既存の事業や商品を大きく変更する必要がないためです。
新分野展開は既存事業を残しつつ、新たな商品やサービスを提供するという性質のもの、業態転換は既存の商品やサービスを別の方法で提供するという性質のもの。
いずれも事業再構築補助金の枠組みの中では取り組みやすい類型と言えるでしょう。
印象的には新分野展開の方がハードルが低く、取り組んでいる人が多い印象ですが、難易度はそこまで変わりません。
まとめ
今回は新分野展開と業態転換の違いについて解説してきました。
ポイントをまとめると下記の通りです。
- 新分野展開の定義は「新たな商品やサービスを提供」、業態転換の定義は「製造方法や提供方法の変更」
- 新分野展開は「主力の商品やサービスを提供すること」業態転換は「製造方法やサービスの提供方法を変更させること」という点が要件が異なる
- 新分野展開と業態転換はいずれも取り組みやすい枠
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