小売業の方で事業再構築補助金を検討している方も多いかと思います。
特に実店舗を中心に事業展開している方は非対面が推奨されている状況では、苦しい戦いを強いられるかと思います。
とはいえ、「どうやって事業再構築補助金を使えば良いかわからない」という方も少なくないですよね。
そこで今回は小売業で事業再構築補助金を活用する方法と実際の採択事例について紹介していきます。
小売業の方はぜひ参考にしてみてください。
事業再構築補助金とは
事業再構築補助金とは新型コロナウィルスの影響を受けた中小企業が業績を回復させるための新たな取り組みを支援する補助金です。
補助額は最大1億円、補助率は最大2/3と過去最大級の補助金となっており、現在最も注目されている補助事業です。
事業再構築補助金の詳細については下記の記事で解説していますので、ぜひ確認してみてください。
小売業でももちろん事業再構築補助金の対象となります。
第一回の申請では全申請者のうち、小売業・卸売業の申請は約14.9%、採択件数は12.4%であったことから非常に多くの小売業の方が申し込みしたと言えるでしょう
小売業での事業再構築補助金採択事例について
小売業・卸売業で事業再構築補助金の採択を受けた事業者・事業計画は下記について公表されています。
事業再構築補助金 第1回公募 緊急事態宣言特別枠・通常枠・卒業枠・グローバルV字回復枠 採択案件一覧【事業計画書の概要】(小売業・卸売業)
この中から代表的な事業計画書例を紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
自社ECサイトの構築
事業計画名:自社ECサイト『FCpressONLINE』の構築を通じたEC市場への新展開
事業計画詳細
新型コロナウイルス感染症の拡大によって、百貨店などの商業施設に展開する弊社小売店の売上が大幅に減少しております。反面、EC市場の事業規模は拡大しているため、弊社の課題である『対面型のビジネスモデルの改善』や『販路の拡大』を実現すべく、自社ECサイトを立ち上げてEC市場への新展開を図ります。
最も代表的な事業再構築補助金の採択事例であるECサイトの構築です。小売業の事業再構築では最も多い業態の一つと言えるでしょう。
事業再構築補助金ではECサイトの構築も補助対象となっています。
ECサイトはコロナ禍で好調な業種の一つとなり、簡単に始めることができます。
大きく事業を変えたくないという方はまずECサイトへの展開を考えてみてはいかがでしょうか。
ECサイトへの事業展開は下記の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
宿泊業への事業展開
事業計画名:北海道内唯一!寝台特急「北斗星」を活用したポストコロナ時代の宿泊施設運営
事業計画詳細
コロナ禍で多大な影響を受けた「小売業」から、寝台特急北斗星と北海道の雄大な自然環境という強みを活かした「宿泊業」へと業種転換し、コロナで変容した消費者の旅行に対する価値観やニーズに寄り添った各種サービス提供を行い、地域における「ポストコロナ」観光のモデルケースとなる。
小売業から宿泊業へ業態転換する事業再構築例です。
一見するとリスクが高いように見えますが、宿泊業というのは事業再構築補助金に適した業態の一つであり、大きい補助金が見込まれるので、実は限定的なリスクで事業を始めることができます。
特にこの事業計画の場合は、観光に強みがあるという北海道ということもあり、地域性も上手く活用しています。
このように観光に強みがある地域で事業活動している場合は、宿泊業も有効な事業再構築となるかもしれません。
飲食業への事業展開
事業計画名:果実小売店としての経験を生かしたテイクアウト店舗への業態変換
事業計画詳細
果実小売店として商業施設や高速道路サービスエリア等で、観光客等を対象に営業を行ってきたが、観光客等が激減し大幅に売上高が減少している。人口が集中している地区で、人やペットを対象としたサンドイッチ等のテイクアウト店舗を新設することで、観光客等から地域住民へとターゲットを変更することで、リピート客の増加を図り安定した売上高を確保する。
自社で取り扱う商品に付加価値をつけて、販売するというビジネスモデルもよく見られました。
今回の場合は果実だけという付加価値の低いビジネスからサンドイッチ(おそらくフルーツサンドがベース)という付加価値の高いビジネスに展開する事業再構築になるかと思われます。
小売店なので、メインとなる果実の仕入先はあり、一定のシナジー効果があるかと思われます。
このように自社で取り扱っている商品に付加価値をつけて、別業態で販売するという手法も事業再構築補助金では有効なビジネスモデルと言えるでしょう。
小売業が事業再構築補助金を有効活用するためのポイント
小売業が事業再構築補助金を有効活用するためのポイントは下記の3つです。
- 建築費を有効活用する
- システム費用を活用する
- シナジー効果を高める
具体的に解説していきます。
建築費を有効活用する
事業再構築補助金を有効活用するためには建築費を上手く使うことをおすすめします。
通常の補助金では建築費は高額となるため、補助の対象とはなりません。
しかしながら、事業再構築補助金では建築費・修繕費が補助の対象となります。
金額が大きいため、利用しない手はありません。
小売業の代表的な建築費の活用方法は下記の通りです。
- ECサイト用に倉庫を建設する
- 飲食業で事業再構築し、店舗を再構築する
- 不採算店舗を取り壊し、新たな店舗を建てる
このように事業再構築補助金を活用するなら、建築費をベースとした事業計画書を作成することをおすすめします。
システム費用を活用する
事業再構築補助金ではシステム費用も補助の対象です。
予約管理システム、EC構築費用、業務改善ツールの導入など事業再構築に係わるシステム費用は軒並み対象になる可能性が高いです。
「システムが高額だったため、システム導入が進んでいない」「アナログな部分が多く、非効率な業務が多い」「ECによる販路拡大をしたい」という事業者の方は事業再構築補助金で、システムを導入してみてください。
シナジー効果を高める
小売業と新たなビジネスモデルでのシナジー効果も意識することをおすすめします。
事業再構築補助金で加点要素になることはさることながら、新たなビジネスを成長させるためには必須要素となってくるためです。
小売店の場合は取り扱い商品が多い傾向にあり、他業種でシナジー効果を得やすいという特徴があります。
- 自社の取り扱い商品を使い、実店舗からECをベースとした事業展開にする
- 自社の食品を使い、新たに飲食店を開業する
- レンタルスペースを開業し、自社の商品もスペース内で販売する
などが代表的なシナジー効果が期待できる例です。
このようにシナジー効果を意識することで、事業再構築補助金の採択確率が高まるだけではなく、将来的なビジネスの展望も明るくなるでしょう。
まとめ
今回は小売業で事業再構築補助金を活用する方法と採択事例について紹介していきました。
ポイントは下記の通りです。
- 小売業の採択事例はEC、飲食業など多い
- 有効活用するポイントは建築費・システム費用を有効活用すること
- シナジー効果を意識することで、採択確率やビジネスが成功する確率が高まる
もし、「事業計画書が作成できず、困っている」「認定支援機関が見つからず、困っている」という方はまず一度ご相談ください。
事業再構築補助金について他にもまとめておりますので参考にしていただければ幸いです。
https://mono-support.com/saikouchiku/
また事業再構築補助金がどの様ものかわからないといった方は下記HPをご覧ください。