東京商工リサーチの調査で事業再構築補助金に取り組む事業者は倒産確率が減少する傾向にあることが判明しました。
「業況が厳しすぎて、事業再構築補助金に取り組む余裕がない」という事業者も事業再構築補助金に取り組むことで経営が上向くこともあるようです。
今回は事業再構築補助金は倒産防止の一助になるという東京商工リサーチの調査結果について解説していきます。
事業再構築補助金の採択企業63社が倒産、倒産発生率は0.12%
東京商工リサーチのホームページで「事業再構築補助金の採択企業63社が倒産、倒産発生率は0.12% 東京商工リサーチ」という記事が紹介されていました。
概要は下記の通り。
第1回~7回まで採択された6万331社(交付決定前に事業中止・廃止・辞退含む)と、2022年12月末時点のTSR企業データベースを照合し、倒産企業を抽出した。
採択決定の資料に本社地の記載がないため、個人事業主(個人企業)の完全照合が難しいため、法人に限定(採択企業:5万2,831社)すると、63社の倒産が確認された。倒産発生率は0.12%となる。TSRの別の調査(2020年度「倒産発生率(普通法人)」調査)によると、倒産発生率は0.20%だ。時期は違うが、事業再構築補助金の活用予定だった企業の倒産発生率は半分程度にとどまった。
事前審査のほか、事業再構築を模索するなかでの認定支援機関などとの対話により、倒産発生率が抑えられたとみられる。
中小企業庁によると、交付決定前の事業中止・廃止・辞退を除く交付決定後の倒産・事業停止は9社(者)だ。採択後、経営環境の悪化などで事業再構築が望めなくなり、交付決定前に補助金事業の中止などを申請する企業も一定数ある。
全体としての倒産発生率は0.20%だったのに対して、事業再構築補助金の採択者の倒産発生率は0.12%でした。
全体の約半分近い倒産率となっていることや、第1回~第7回公募までの事業再構築補助金は基本的に業況が厳しい事業者を支援することを目的としていたことを考慮すると、事業再構築補助金は倒産防止の一助になっていたといえるでしょう。
記事にもある通り、認定支援機関などとの対話を通じ、自社の会社の状況を客観的に見ることができ業績が向上していったということでしょう。
他にも事業再構築補助金には下記のメリットがあります。
- 緻密な事業計画を策定することが必要なため、自社を見直すきっかけとなる
- 不採択の場合でも事務局からフィードバックをもらえる
- 金融機関に会社運営に対する意欲を見せることができる
事業再構築補助金には資金以外のメリットも大きいです。
業況が厳しい事業者でも事業再構築補助金に取り組むことで業績が上向くこともありますので、まだ申し込みしていない場合は積極的に申請してみることをおすすめします。
倒産した原因
事業再構築補助金に取り組んだものの、残念ながら破産してしまった事業者の特徴は下記の通り紹介されていました。
今回の調査で判明した倒産企業63社を分析した。第1回~7回までの公募別では、第2回の24社(構成比38.0%)が最も多かった。次いで、第3回の13社(同20.6%)、第1回の11社(同17.4%)、第4回の10社(同15.8%)、第5回の3社(同4.7%)、第6回の2社(同3.1%)、第7回は確認されなかった。
主たる事業別では、「製造業」が最多の15社(構成比23.8%)、次いで「宿泊業,飲食サービス業」が14社(同22.2%)、「建設業」の8社(同12.6%)、「卸売業,小売業」の7社(同11.1%)と続く。再構築を目指した機械の入替需要がある製造業や、コロナ禍の影響が直撃した「宿泊業,飲食サービス業」が多かった。
原因別では、「販売不振(売上不振)」が51社(構成比80.9%)で8割超を占め、事業再構築を進める前に、受注低迷で事業継続が難しくなった企業が大半を占める。次いで、赤字累積の「既往のシワ寄せ」が5社(同7.9%)の順だった。
形態別では、破産が58社(構成比92.0%)と9割超で、事業を続ける民事再生法は3社(4.7%)にとどまり、事業再構築の意欲はあるが再生が見込めず、消滅型の破産しか選択肢が残されていない企業が多い。
負債額別では、最多は1億円以上5億円未満の24社(同38.0%)、5億円以上10億円未満の12社(同19.0%)と中規模負債が目立つ。また、負債10億円以上の大型倒産も6社(同9.5%)あった。一方で、小規模負債の1千万円以上5千万円未満は11社(同17.4%)、5千万円以上1億円未満が10社(同15.8%)だった。
事業再構築補助金では投資金額が多くなりやすい「製造業」での倒産事例が多い傾向にありました。
また事業再構築補助金に関わらず、業種として倒産が多い傾向にある「宿泊業、飲食サービス業」も倒産発生率が多いという結果になりました。
倒産の原因では「販売不振(売上不振)」が8割以上を占めています。
そのため、これから事業再構築補助金に取り組もうと考えている事業者は販路の拡大やマーケティングに十分な力を注ぐようにすることをおすすめします。
事業再構築補助金では「広告宣伝・販売促進費」が補助の対象となっているため、費用負担も限定的になるでしょう。
まとめ
事業再構築補助金は倒産防止の一助になるという東京商工リサーチの調査結果について解説してきました。
ポイントをまとめると下記の通り。
- 事業再構築補助金に採択された事業者の倒産率は0.12%と全体の約半分程度
- 認定支援機関との通話や事業計画の策定などを通じ、業績が回復するケースも
- 「製造業」「宿泊業、飲食サービス業」での倒産事例が多い
- 倒産の原因は主に「販売不振(売上不振)」で8割以上を占める
- 事業再構築補助金は「広告宣伝・販売促進費」が補助の対象となるため、しっかりとした対策が必要
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