人手不足が深刻化する中で、
- AIで業務を省力化したいが、補助金の対象になるのか分からない
- 「AI」と書くと審査で不利にならないか不安
- 採択される計画書の書き方が知りたい
こうした悩みを抱える中小企業の経営者・個人事業主は少なくありません。
結論から言うと、省力化投資補助金(一般型)でAI活用は十分に採択されています。ただし、採択されているAI関連の事業計画には特徴があります。
「AIを入れます」では弱く、どの工程が・どれだけ減って・余力をどう再配置して付加価値を伸ばすかまで設計できている計画が強いです。
✅ 省力化投資補助金(一般型)でAI導入が採択される理由(制度趣旨との整合)
✅ 採択事例に多い「AI省力化」5つの型(生成AI/AI-OCR/画像解析/AIカメラ/AIエージェント)
✅ 通る事業計画に共通する“省力化の見せ方”(工数・品質・再配置・賃上げ)
✅ 不採択になりやすいAI計画のNGパターン(単なるIT化・効果不明・運用設計なし)
✅ 採択率を上げるための計画書テンプレ構造(そのまま使える項目立て)
Contents
省力化投資補助金(一般型)とは?AI導入と相性が良い理由
省力化投資補助金(一般型)は、ざっくり言えば「人手不足に対応する省力化投資」を支援する制度です。ここで大事なのは、補助金の主語がAIではなく省力化である点です。
AIは以下の特徴があるため、制度趣旨と相性が良いです。
- 間接業務(入力・転記・集計・資料作成)をまとめて削減できる
- 目視検査・監視・判定など、張り付き業務を省人化できる
- 属人化していた判断を標準化し、再現性を高められる
- 業務量が増えても人員増に直結しない体制を作りやすい
実際の採択事例(一般型・採択決定事業者一覧)でも、生成AI、AI-OCR、AIカメラ、画像解析、AIエージェントなど、AI活用が複数確認できます。
つまり、「AI=対象外」ではなく、むしろ“省力化として説明できるAI”は採択されやすい傾向にあります。
中小企業省力化投資補助金関連リンク
採択事例から読み解く「AI省力化」5つの型
採択されているAI活用は大体下記の5つの型になります。
ポイントは、AIの種類よりも「省力化の対象工程がどこか」です。
① 生成AIで“事務・開発・保守”の周辺業務をまとめて圧縮する
採択事例では、生成AIを使って資料作成・周辺事務・保守関連の定型業務を省力化する計画が確認できます。
実際の採択事例(事業計画名)
- 生成AI活用による既存作業省力化と成長加速プロジェクト
- パッケージシステム開発における開発・周辺事務・サーバ保守・ISMS業務の生成AIを活用した省力化事業
- AI活用による記事作成省力化システムの導入
(上記はいずれも採択決定事業者一覧に掲載)
よくある省力化ポイント
- 議事録・要約・報告書のドラフト作成
- 社内手順書・FAQ・ナレッジの整備
- 問い合わせ一次回答(社内向け)
- 仕様整理・テスト観点整理などの“前処理”
通る計画のコツ
生成AIは便利ですが、審査では「便利」よりも工数削減の根拠が問われます。
例:月○件×1件あたり○分削減=月○時間、のように業務量と削減幅を数字で置くと強くなります。
② AI-OCRで“入力・転記・照合”を自動化する
採択事例では、AI-OCRにより帳票処理を省力化する計画が確認できます。AI-OCRは省力化の説明がしやすく、実務導入もしやすいため相性が良いです。
実際の採択事例(事業計画名)
- JDL AI-OCRシステム導入による 税理士事務所業務の生産性向上計画
- AI-OCRを活用したM&A仲介業務の省力化と生産性向上計画
対象になりやすい業務
- 請求書・領収書・納品書のデータ化
- 紙・PDFの転記作業
- 会計・労務・総務の定型処理
- 複数システムへの二重入力の解消
通る計画のコツ
AI-OCR単体導入ではなく、前後工程(受領→読取→承認→登録→保管)まで含めて“工程設計”として書くと評価されやすいです。
「単体IT」ではなく「工程の省力化」として見せられるからです。
③ 画像解析AIで“検査工程”を自動化する(品質×省力化)
採択事例では、画像解析AIを用いて検査・検品の自動化を狙う計画が確認できます。
実際の採択事例(事業計画名)
- CTC検査の画像解析自動化システム導入による省力化・検査精度向上
- カリカリ梅原料の検品工程におけるAIを活用した検品の自動化
- ライブ画像を用いたAI自動解析システムの構築
対象になりやすい工程
- 外観検査(キズ・汚れ・欠陥の判定)
- 検品(食品・部品・資材など)
- 検査記録の自動作成・トレーサビリティ強化
通る計画のコツ
画像解析AIは「省人化」だけでなく、品質の安定も一緒に説明できるのが強みです。
審査上は「省力化→余力創出→付加価値向上」につなげると一段強くなります。例:検査工数削減分を新規案件対応・短納期化に回す、など。
④ AIカメラで“安全管理・防犯・火災監視”の張り付きを減らす
採択事例では、AIカメラやAI×ドローン等により現場監視・点検を省力化する計画が確認できます。
実際の採択事例(事業計画名)
- AIカメラ導入による建設現場の防犯・火災・安全管理省力化計画
- ドローンとAIシステムで高所点検安全化・施工管理省力化事業
省力化として説明しやすいポイント
- 巡回・点検頻度の削減
- 夜間・休日の監視負荷の軽減
- 異常検知時のみ対応する“例外対応型”への転換
通る計画のコツ
監視系AIは「導入したら便利」だけでは弱いので、巡回回数・人員配置・発生頻度を明確にし、導入後の運用(誰が、どう対応するか)まで書くのが重要です。
⑤ AIエージェント/チャットボットで“問い合わせ・検索・教育”を省力化する
採択事例では、AIエージェントやチャットボット、ナレッジ共有AIによって、問い合わせ対応・社内検索・教育コストを削減する計画が確認できます。
実際の採択事例(事業計画名)
- AIエージェントによる業務効率化と付加価値向上プロジェクト
- AIを活用したナレッジ共有によるコールセンター業務の効率化事業
- AI・チャットボット活用太陽光調査業務効率化事業
- AIを活用した日本語教育システム導入による業務省力化事業
対象になりやすい業務
- 社内問い合わせ(手順・規程・製品仕様)
- 顧客対応の一次受け(よくある質問)
- 新人教育(OJTの平準化)
通る計画のコツ
チャットボットは「FAQを置くだけ」だと弱く、データ整備(ナレッジの一次情報)と回答精度を維持する運用がセットで書けると強いです。
また、削減した時間を営業・提案・品質改善へ再配置する設計があると採択に寄りやすいです。
通るAI省力化計画に共通する“4つの審査ポイント”
採択事例を“省力化視点”で見ると、通る計画は次の4点が強いです。
1) 省力化の対象工程が具体的(どこが減るか明確にする)
「AIで効率化」では弱く、工程名が必要です。
例:
- 受領→転記→照合→登録→保管
- 検品→判定→記録→是正
- 問い合わせ受付→一次回答→エスカレーション
2) 削減効果が定量(時間・件数・頻度で説明)
削減効果を数字で表す必要があります。
- 現状:月○件 × 1件○分 = 月○時間
- 導入後:1件○分に短縮(または自動化率○%)
- 削減:月○時間(=○人月相当)
3) 余ったリソースの再配置が合理的
省力化投資補助金は、究極的には「省力化で生まれた余力を、付加価値へ回す」説明が強いです。
例:短納期対応、品質改善、新規顧客対応、提案力強化、保守品質の向上など。
4) 運用設計がある
AIは“入れて終わり”ではありません。採択されやすいのは、
- データ更新・学習(ルール/基準の見直し)
- 誤判定時のフロー(例外処理)
- 担当者・責任者・KPI
まで書けている計画です。
この4つのポイントを押さえている事業計画は採択につながりやすいです。
不採択になりやすいAI計画のNGパターン
AI計画は刺さる一方で、落ちる型もはっきりしています。ありがちなNGを先に潰しておきましょう。
NG1:AIを入れることが目的(省力化の主語がない)
「最新AIを導入してDX」だけでは、制度趣旨(省力化)と噛み合いません。
工程→工数→再配置がないと弱いです。
NG2:効果が“定性”のみ(便利・早い・精度が上がる)
便利さの主張だけだと、審査側は判断できません。削減時間・自動化率・処理件数を置きましょう。
NG3:単体ツール導入で、前後工程が変わらない
AI-OCRを入れても、結局印刷して回覧、Excel転記、二重入力…のままだと省力化が出ません。
業務設計の変更(フローの置換)が必要です。
NG4:運用が不明(誰が管理し、精度をどう保つか)
AIカメラ・画像解析・チャットボットは、運用次第で精度が落ちます。
審査は“導入後の再現性”を見ています。
省力化投資補助金「AI関連事業」の事業計画のポイント
AI導入を省力化投資として通しに行くなら、計画書の骨格は次の構成が強いです。
- 現状課題:人手不足/繁忙期負荷/属人化/ミス/張り付き業務
- 対象工程の特定:どの工程のどこが重いか(工程図があると強い)
- 投資内容(AI+周辺):AIツール/機器/システム/連携
- 省力化のメカニズム:何が自動化され、何が例外対応になるか
- 定量効果:月○時間削減、ミス率低下、処理能力○%増
- 余力の再配置:付加価値業務へ(営業/品質/新規対応)
- 運用設計:担当・ルール・KPI・改善サイクル
- 賃上げ・人材戦略:省力化→生産性→賃上げの整合
この骨格に沿って書くと、AI導入が「単なるIT導入」ではなく「省力化投資」として伝わりやすくなります。
まとめ
今回は「省力化投資補助金 AI」についてまとめてきました。ポイントは下記の通り。
- 省力化投資補助金(一般型)では、AI活用は実際に採択されている
- 採択されやすいAIは「生成AI/AI-OCR/画像解析/AIカメラ/AIエージェント」の5類型に整理できる
- 通る計画は「工程特定→定量効果→再配置→運用設計」が揃っている
- 落ちやすいのは「AI導入が目的」「効果が定性」「単体導入」「運用不明」
- AIは“ツール”であり、採択の決め手は省力化の設計にある
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