事業再構築補助金の第三回公募が終わりました。
もうすでに事業再構築補助金に採択されたという方も少ないかと思います。
採択された事業者の方の中には、交付決定後の流れがよくわからないという方もいらっしゃいますよね。
そこで今回は事業再構築補助金の採択後の流れを解説していきます。
事業再構築補助金に無事採択され、これから事業を開始するという方はぜひ参考にしてみてください。
交付決定後の流れは実績報告書等作成マニュアルを参考
交付決定後の流れは必ず経済産業省が2021年9月29日に公表した実績報告書等作成マニュアルを参考にしてください。
交付決定後の流れや実績報告書の作成方法、現地調査や補助金の受領など、交付決定後に必要な対応について明記されています。
今回はこの実績報告書等作成マニュアルに沿って、事業再構築補助金の採択後の流れを解説していきます。
事業再構築補助金の採択後の流れ
事業再構築補助金の採択後の流れはおおまかに下記の通りとなります。
- 補助事業の開始
- 実績報告書の作成
- 現地調査の対応
- 補助金の受領
具体的に解説していきます。
補助事業の開始
採択後は補助事業を開始する準備をしなければなりません。
ここで注意すべき点は必ず交付決定後に補助事業を開始するという点です。
補助事業開始前に事業を開始した部分の経費は補助の対象外となるので、気を付けましょう。
補助事業で建物の建設や改修を実施する場合は工事着工前の写真(可能ならば工事着工中の写真も)を撮影し、画像を保管する必要があります。
機械設備の場合も設置予定場所の写真(可能ならば設置時・据え付け時の写真も)を撮影し、保管します。
補助事業で導入した物件や機械などは当然事業再構築補助金の事業でしか利用することができません。
事業再構築補助金で利用する設備かどうかを明確に区分するために、事業再構築補助金で導入した物件に関してはシールを貼り、明確に区分する必要があります。
万一、補助事業以外で導入した設備や機械を使用した場合、補助金返還の対象となります。
必ず分けるようにしましょう。
事業再構築補助金で導入した建物や設備は補助事業開始後にも写真を撮影し、保管します。
補助事業で導入した機械・設備などの支払い方法は必ず銀行振込にしてください。
クレジットカードはやむを得ない事情でのみ支払うことができますが、必ず事務局に相談する必要がある上、クレジットカードのポイントを補助経費が減算する必要があるなど複雑な処理になります。
必ず銀行振込にするように、取引先にも依頼しておくのが良いと思います
実績報告書の作成
補助事業の機械や設備の導入が終わりましたら、次は実績報告書の作成をしなければなりません。
実績報告書の作成で必要な書類の「様式」と「参考様式」は下記からダウンロードできます。
補助金の交付申請にはjグランツを利用します。
jグランツの詳しい使い方については事業再構築補助金ホームページの「jグランツ入力ガイド」を参考にしてください。
jグランツで必要な添付書類は下記の通りです。
【必ず必要な書類】
- 出納帳のコピー
- 通帳のコピー
【経費に応じて必要な書類】
1. 建物費
・見積依頼書(仕様書)
・相見積書(1者のみの場合は業者選定理由書)
・発注書
・契約書または注文請書
・工事着工前や工事作業中の写真(画像データ用台紙<参考様式17>に貼りつけて
PDF化したもの)
・納品書または引渡書または完了報告書
・検収書(その代替として、納品書等のコピーに「検収」と手書きし「検収年月日」「立合者
氏名」をサインし、それをコピーしたものでも可。サインした原本は業者に渡る。)
・完成後の写真(画像データ用台紙<参考様式17>に貼りつけてPDF化したもの)
・完成後の平面図
・完成後の工事費内訳書
・請求書
・代金支払済みを示す証票★(銀行の振込金受領書または支払証明書等。ネット銀行の
場合は、代金支払済みを示す取引記録等の画面のコピー)
・領収書(存在する場合)
・補助金額1,000 万円超の場合、本事業により建設した建物等の施設又は設備を
対象として、保険または共済(付保割合が中小企業等は30%以上、中堅企業等は40%
以上)へ加入する義務があるため、その契約書・証券等のコピーを提出。
なお、小規模事業者(常勤従業員20人以下(卸売業、小売業及びサービス業は5人
以下)の会社または個人事業主)については加入推奨とし、非加入の場合は、保険
または共済への加入にかわり実施された取組の内容(事業継続計画等)を
「様式第6の別紙1」の「8.保険又は共済の加入状況等」へ記入する。2. 機械装置・システム構築費
・見積依頼書(仕様書)
・相見積書(1者のみの場合は業者選定理由書)
・発注書
・契約書または注文請書
・設置前・搬入時・据付時の写真(画像データ用台紙<参考様式17>に貼りつけて
PDF化したもの)
・搬入時の送付伝票の写真(上記<参考様式17>に貼りつけてPDF化したもの)
・納品書または引渡書または完了報告書
・検収書(その代替として、納品書等のコピーに「検収」と手書きし「検収年月日」「立合者
氏名」をサインし、それをコピーしたものでも可。サインした原本は業者に渡る。)
・設置後の写真。システム構築の場合は、システム等のトップ画面のスクリーンショット
画像(画像データ用台紙<参考様式17>に貼りつけてPDF化したもの)
・請求書
・代金支払済みを示す証票(9ページの★印参照)
・領収書(存在する場合)3. 技術導入費
・見積書
・発注書
・契約書(ただし、知的財産権等を所有する他者から取得(実施権の取得を含む)する
場合)
・指導契約書<参考様式5>(ただし、知的財産権等の導入の際に専門家と技術指導を
契約する場合)
・専門家業務報告書<参考様式11>(ただし、知的財産権等の導入の際に専門家と
技術指導を契約する場合)
・請求書
・代金支払済みを示す証票(9ページの★印参照)
・領収書(存在する場合)
・預り金元帳<参考様式19>(ただし、個人事業主と取引し源泉徴収を行った場合)
・源泉所得税の納付書のコピー(ただし、個人事業主と取引し源泉徴収を行った場合)4. 専門家経費
・相見積書(ただし、①大学教授・弁護士・弁理士・公認会計士・医師・准教授・技術士
・ 中小企業診断士・IT コーディネータ以外の専門家へ依頼の場合。②准教
授・技術士・中小企業診断士・IT コーディネータの謝金が1日4万円以上
5万円以下(税抜)の場合。①②とも謝金単価上限は1日5万円(税抜))。
・専門家就任承諾書<参考様式10>
・専門家業務報告書<参考様式11>(謝金がなく旅費を支給する場合も必要)
・旅費明細書<参考様式13>(ただし、旅費を支給する場合)
・宿泊証明書<参考様式14>または宿泊先の領収書(ただし、宿泊を伴う場合)
・請求書
・代金支払済みを示す証票(9ページの★印参照)
・領収書(存在する場合)
・預り金元帳<参考様式19>(ただし、個人事業主と取引し源泉徴収を行った場合)
・源泉所得税の納付書のコピー(ただし、個人事業主と取引し源泉徴収を行った場合)5. 運搬費
・見積書
・移送先、発送先のリスト(任意の様式)
・代金支払済みを示す証票(9ページの★印参照)
・領収書(存在する場合)6. クラウドサービス利用費
・見積書
・発注書
・契約書
・請求書
・代金支払済みを示す証票(9ページの★印参照)
・領収書(存在する場合)
・開発したアプリケーション等のトップページのスクリーンショット画像
(画像データ用台紙<参考様式17>に貼りつけてPDF化したもの)7. 外注費
・見積書
・発注書
・事業委託契約書(<参考様式9>で作成したものでも可)
・外注前の加工品等の写真(画像データ用台紙<参考様式17>に貼りつけてPDF化した
もの。ただし、従前から加工品等が存在している場合)
・納品時の送付伝票の写真(上記<参考様式17>に貼りつけてPDF化したもの)
・納品後の加工品等の写真(上記<参考様式17>に貼りつけてPDF化したもの)
・請求書
・代金支払済みを示す証票(9ページの★印参照)
・領収書(存在する場合)8. 知的財産権等関連経費
・見積書
・契約書(知的財産権等の権利が補助事業者に帰属することの内容が必要)
・公的機関の書類(補助事業期間内に出願手続きを完了したことがわかるもの)
・請求書
・代金支払済みを示す証票(9ページの★印参照)
・領収書(存在する場合)9. 広告宣伝・販売促進費
・見積書
・発注書
・契約書または注文請書
・納品書または完了報告書
・請求書
・代金支払済みを示す証票(9ページの★印参照)
・領収書(存在する場合)
・補助対象物件受払簿<参考様式4>(ただし、対象物件を「配布物」として
使用する場合)
・配布物(ポスター・チラシ・パンフレット等)作成の場合は、当該配布物に
「令和2年度第3次補正 事業再構築補助金により作成」と表示してある写真。
展示会・セミナー開催の場合は、当日の会場等の様子がわかる写真。
(画像データ用台紙<参考様式17>に貼りつけてPDF化したもの)10. 研修費
・見積書
・申込書
・契約書(存在する場合)
・請求書
・代金支払済みを示す証票(9ページの★印参照)
・領収書(存在する場合)11. 研修海外旅費(卒業枠・グローバルV字回復枠のみ)
・海外渡航計画書
・旅費明細書<参考様式13>
・代金支払済みを示す証票(9ページの★印参照)
・領収書(存在する場合)
非常に多くの証憑書類が必要となります。
補助事業を実施する前に必ず確認しておき、漏れがないようにしましょう。
現地調査の協力
補助事業は全て必要に応じて国の調査に協力しなければなりません。
事業再構築補助金の公募要領の補助事業者の義務の欄に下記の通り記載があります。
本事業の完了した日の属する会計年度(国の会計年度である4月~3月)の終了後5年間、毎会計年度終了後60日以内に本補助事業に係る事業化等の状況を事業化状況(収益状況含む)・知的財産権等報告書により報告するとともに、本事業に関係する調査に協力をしなければなりません。事業化状況等の報告が行われない場合には、補助金の交付取消・返還等を求める場合があります。
補助事業がしっかり実施されているか、各書類は整備されているかを確認するために、調査員がくることがあります。
事前に連絡がきますので、必ず書類を整備しておくようにしましょう。
補助金の受領
補助金の受領は下記を経て完了します。
- 確定通知書の受領
- 概算払請求書の受領
- 補助金の受領
補助金を受領しても、5年間は書類の保管義務があります。
忘れず整備するようにしましょう。
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