事業再構築補助金

2023年度の最低賃金枠の概要、要件、採択率を解説!【事業再構築補助金】

2023年度の最低賃金枠の概要、要件、採択率を解説!【事業再構築補助金】

過去の公募から採択率の最も高い類型であった最低賃金枠。
2023年の第10回公募以降でも引き続き継続されることが決定しました。
今回は最低賃金枠について解説していきます。

事業再構築補助金の最低賃金枠の概要

最低賃金枠とは最低賃金近辺での労働者が多い事業者に対して、最低賃金引き上げによる経営悪化を防ぐために補助金を出すという制度です。
詳細の概要は下記の通りです。

【最低賃金枠】

概要最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中
小企業等が取り組む事業再構築に対する支援。
補助金額【従業員数 5 人以下】 100 万円 ~ 500 万円
【従業員数6~20 人】 100 万円 ~ 1,000 万円
【従業員数 21 人以上】 100 万円 ~ 1,500 万円
補助率中小企業者等 3/4
中堅企業等 2/3
実施期間交付決定日~12 か月以内(ただし、採択発表日から 14 か月後の日まで)
補助対象経費建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、
広告宣伝・販売促進費、研修費
要件① 事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること【事業再構築要件】
② 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けていること【認定支援機関要件】
③ 補助事業終了後 3~5 年で付加価値額の年率平均 3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均 3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること【付加価値額要件】
④ 2022 年 1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が対2019~2021 年の同 3 か月の合計売上高と比較して 10%減少していること(当該要件を満たさない場合は、2022年 1月以降の連続する6か月のうち、任意の3か月の合計付加価値額が対 2019~2021 年の同3か月の合計付加価値額と比較して15%以上減少していることでも可。)【売上高等減少要件】
⑤ 2022 年 10 月から 2023 年 8 月までの間で、3 か月以上最低賃金+50 円以内で雇用している従業員が全従業員数の 10%以上いること【最低賃金要件】

通常枠よりも補助額は小さくなりますが、補助率は高くなっているのが特徴です。
大規模賃金引上枠が従業員数が101名以上と比較的大きな企業に対しての補助枠であるのに対して、最低賃金枠は従業員は5人以下から申し込めるので、比較的小さめの企業を想定した補助枠であるといえるでしょう。
制度内容を見ると、大規模賃金引上枠は体力のある企業でなければ取り組みが難しい一方で、最低賃金枠は体力のない企業でも取り組める内容となっています。

最低賃金枠が創設された背景

最低賃金枠が創設された背景には最低賃金の引上げがあります。
中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は2021年7月14日、2021年度の最低賃金を全国平均で28円を目安に引き上げ、時給930円とすると決めました。
最低賃金の引き上げとしては過去最高額です。
コロナ禍で業績が低迷している企業が多い中での賃金引き上げであり、中小企業・中堅企業にとって厳しいコスト増となるかと思われます。
特に最低賃金近辺で多くのアルバイトやパートタイマーなどを雇っている企業にとっては死活問題と言えるでしょう。
こうした背景があり、最低賃金枠が創設されました。

最低賃金枠の採択率の推移

最低賃金枠の過去の採択率の推移は下記の通り。

第8回公募第7回公募第6回公募第5回公募第4回公募第3回公募
応募件数165162252306391428
採択件数117131216243290375
採択率71%81%86%79%74%88%

通常枠が30%~45%前後の採択率で推移していたことを考慮すると、非常に高い採択率で推移しているといえるでしょう。

最低賃金枠の要件

最低賃金枠の要件は下記の通りです。

① 事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること【事業再構築要件】
② 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けていること【認定支援機関要件】
③ 補助事業終了後 3~5 年で付加価値額の年率平均 3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均 3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること【付加価値額要件】
④ 2022 年 1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が対2019~2021 年の同 3 か月の合計売上高と比較して 10%減少していること(当該要件を満たさない場合は、2022年 1月以降の連続する6か月のうち、任意の3か月の合計付加価値額が対 2019~2021 年の同3か月の合計付加価値額と比較して 15%以上減少していることでも可。)【売上高等減少要件】
⑤ 2022年10月から2023年8月までの間で、3か月以上最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること【最低賃金要件】

(事業再構築補助金 第10回公募要領より)

成長枠とは異なり、市場拡大要件が設定されていないため、どのような事業でも取り組むことが可能です
一方で、売上高減少要件が設定されているため、増収増益の好調な企業は申請できないケースが多い傾向にあります
採択率が高いため、要件に当てはまる中小企業は積極的に狙っていきたい類型といえるでしょう。

最低賃金要件の詳細

最低賃金の詳細としては下記のとおりです。

(9)【最低賃金要件】について
応募申請にあたり、以下の点に留意してください。
ア.全従業員数については、2021年10月から2022年8月までの間の対象月とする3か月それぞれの申請時点の常勤従業員数を基準とします。常勤従業員は、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」をいい、労働基準法第20条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」と解されます。これには、日々雇い入れられる者、2か月以内の期間を定めて使用される者、季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者、試みの使用期間中の者は含まれません。
イ.要件を満たす従業員数については、小数点以下を繰り上げて算出してください。
(例)全従業員数が25人の場合
25人(全従業員数)×10%=2.5人
⇒ 要件を満たす従業員が3人以上である必要があります。
ウ.事業場内最低賃金が最低賃金+50円以内であるかを確認するため、「賃金台帳」の提出を求めます。
エ.最低賃金額については、厚生労働省HPの地域別最低賃金額を参照してください。

従業員は基本的には正社員、アルバイト、契約社員などが含まれます。
従業員の定義については下記の記事に詳しく書いていますので、参考にしてみてください。

事業再構築補助金の従業員数の定義は?役員、アルバイト、派遣社員はどうなる?
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最低賃金枠の注意点

最低賃金枠には下記の注意点があります。

  • 過去に採択された事業者の再応募はできない
  • 最低賃金確認書を提出しなければならない

具体的に解説していきます。

過去に採択された事業者の再応募はできない

最低賃金枠は過去に事業再構築補助金に採択された事業者は対象外となります。

最低賃金確認書を提供しなければいけない

最低賃金枠で申し込みをする場合、最低賃金確認書を提出しなければなりません。
最低賃金確認書はフォーマットが決まっており、下記からダウンロードできます。

最低賃金確認書(エクセル)

また、最低賃金確認書と併せて、最低賃金要件の対象となる3か月分、最低賃金+30円以内の従業員全てがわかる賃金台帳(又はそれに相当する書類)も提出する必要があります。

まとめ

今回は事業再構築補助金における最低賃金枠について解説してきました。
ポイントは下記の通りです。

  • 最低賃金枠は補助額が100万~1,500万円と他の枠より低め
  • しかしながら、採択率は70~90%弱と非常に高い
  • 最低賃金付近で働いている労働者を多く雇用する事業者向け
  • 採択されなかった場合は通常枠で審査される

最低賃金引上枠は最低賃金で働く労働者を多く雇用する事業者にとって、有効的な補助金です。
不採択の場合は、通常枠での再審査されるので、積極的に申し込んでみることをおすすめします。

 

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