2023年度の事業再構築補助金は大幅に要件が変更となりました。
各類型が追加され、内容も大幅に変更されたためです。
そのため、2022年度までの事業再構築補助金とは全く別の補助金という認識で申請に望んだ方が良いかもしれません。
そこで今回は2023年度の事業再構築補助金の各類型の要件を改めて解説していきます。
これから事業再構築補助金に申請しようと考えている方は必ず事前に確認しておきましょう。
2023年度の事業再構築補助金の各類型の要件
2023年度の事業再構築補助金の各類型の要件は下記の通り。
- 成長枠:
- 事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
- 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けていること
- 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
- 取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していること
- 事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること
- 追加要件:補助事業期間内に給与支給総額を年平均 6%以上増加させること、補助事業期間内に事業場内最低賃金を年額 45 円以上の水準で引上げること
- グリーン成長枠(エントリー):
- 成長枠と同様の要件を満たすこと(市場拡大要件を除く)
- グリーン成長戦略「実行計画」14 分野に掲げられた課題の解決に資する取組であって、その取組に関連する1年以上の研究開発・技術開発又は従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行うこと
- 既に事業再構築補助金で取り組んでいる又は取り組む予定の補助事業とは異なる事業内容であること【過去に採択を受けている事業者の場合】
- 既存の事業再構築を行いながら新たに取り組む事業再構築を行うだけの体制や資金力があること【過去に採択を受けている事業者の場合】
- グリーン成長枠(スタンダード):
- 成長枠と同様の要件を満たすこと、ただし付加価値額の年率平均5.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること(市場拡大要件を除く)
- グリーン成長戦略「実行計画」14 分野に掲げられた課題の解決に資する取
組であって、その取組に関連する 2 年以上の研究開発・技術開発又は従業員
の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行うこと【グリーン成長要件】 - 既に事業再構築補助金で取り組んでいる又は取り組む予定の補助事業とは異なる事業内容であること【過去に採択を受けている事業者の場合】
- 既存の事業再構築を行いながら新たに取り組む事業再構築を行うだけの体制や資金力があること【過去に採択を受けている事業者の場合】
- 卒業促進枠
- 成長枠またはグリーン成長枠に申請する事業者であること。
- 成長枠またはグリーン成長枠の補助事業終了後3~5年で中小企業・特定事業者・中堅企業の規模から卒業すること【卒業要件】。
- 大規模賃金引上促進枠
- 成長枠またはグリーン成長枠に申請する事業者であること。
- 成長枠またはグリーン成長枠の補助事業終了後3~5年の間、事業場内最低賃金を年額 45 円以上の水準で引上げること【賃金引上要件】。
- 成長枠またはグリーン成長枠の補助事業終了後3~5年の間、従業員数を年率平均 1.5%以上増員させること【従業員増員要件】。
- 産業構造転換枠
- 成長枠と同様の要件を満たすこと(ただし付加価値は年率3.0%以上、市場拡大要件を除く)
- 現在の主たる事業が過去~今後のいずれか 10 年間で、市場規模が 10%以上縮小する業種・業態に属しており、当該業種・業態とは別の業種・業態の新規事業を実施すること、または地域における基幹大企業が撤退することにより、市町村内総生産の 10%以上が失われると見込まれる地域で事業を実施しており、当該基幹大企業との直接取引額が売上高の 10%以上を占めること【市場縮小要件】
- 最低賃金枠
- 成長枠と同様の要件を満たすこと(ただし付加価値は年率3.0%以上、市場拡大要件を除く)
- 2022 年 1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が対2019~2021 年の同 3 か月の合計売上高と比較して 10%減少していること。当該要件を満たさない場合は、2022年 1月以降の連続する6か月のうち、任意の3か月の合計付加価値額が対 2019~2021 年の同3か月の合計付加価値額と比較して 15%以上減少していることでも可(売上高等減少要件)
- 2021 年 10 月から 2022 年 8 月までの間で、3 か月以上最低賃金+30 円以内で雇用している従業員が全従業員数の 10%以上いること(最低賃金要件)
- 物価高騰対策・回復再生応援枠
- 成長枠と同様の要件を満たすこと(ただし付加価値は年率3.0%以上、市場拡大要件を除く)
- 以下(a)(b)のいずれかを満たすこと:
(a) 2022 年 1 月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が対 2019~2021 年の同 3 か月の合計売上高と比較して 10%減少していること(当該要件を満たさない場合は、2022 年 1 月以降の連続する6か月のうち、任意の3か月の合計付加価値額が対 2019~2021 年の同3か月の合計付加価値額と比較して 15%以上減少していることでも可。)(売上高等減少要件)
(b) 再生事業者(Ⅰ.中小企業活性化協議会等において再生計画を策定中の者又はⅡ.中小企業活性化協議会等において再生計画を策定済かつ再生計画成立後 3 年以内の者)であること(再生要件)
内容が長く分かりにくい点も多々あるかと思われますので、次の章ではもっとかみ砕いて説明させていただきます。
各類型を分かりやすく解説
各類型を簡単に解説していきます。
成長枠
成長枠は売上高減少要件が撤廃されたため、ほとんどの中小企業が申請できるようになりました。
一方で、最大の難点が市場拡大要件です。
市場拡大要件とは新事業が事務局が指定した業種・業態でしかできないということです。
対象業種・業態のほとんどが製造業で、卸売業・情報通信業が少し入っているという印象です。
詳細は下記の通り。
自社の取り組もうとしている事業が対象業種・業態に当てはまっているか必ず確認しておきましょう。
グリーン成長枠(エントリー)(スタンダード)
脱炭素関連に取り組む事業者への類型です。
市場拡大要件は設定されていませんが、脱炭素関連事業に取り組む必要があります。
脱炭素関連事業に関しては下記の記事を参考にしてみてください。
卒業促進枠
卒業促進枠は従業員や資本金を増やして、中小企業から中堅企業になるなど規模拡大を推進する類型です。
大規模賃金引上促進枠
大規模賃金引上促進枠は賃金を上げて、従業員を増やす類型です。
産業構造転換枠
産業構造転換枠は業界の市場規模が縮小している企業に対する類型です。
最低賃金枠
最低賃金枠は最低賃金を引き上げる性質の類型です。
売上高減少要件が設定されているため、業績が厳しい企業がメインとなります。
物価高騰対策・回復再生応援枠
物価高騰対策・回復再生応援枠は業績が厳しい事業者向けの類型です。
売上高減少要件または再生要件を満たした企業のみが申請できます。
おすすめは成長枠、物価高騰対策・回復再生応援枠
この中でおすすめの類型は成長枠または物価高騰対策・回復再生応援枠です。
成長枠は事業に制限があるものの、ほぼ全中小企業が申請できるのが魅力的なポイントです。
特に製造業に取り組む事業者にとってはメリットの大きい類型となるでしょう。
物価高騰対策・回復再生応援枠は売上高減少要件が設定されており、対象となる事業者しか利用できないものの、市場拡大要件が設定されていません。
どのような事業でも取り組むことができますので、成長枠の対象業種・業態から外れてしまった場合は物価高騰対策・回復再生応援枠を利用できないか検討してみることをおすすめします。
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