中小企業の新規事業を後押しする「新事業進出補助金」は、2026年3月27日に第4回公募要領が公開され、現行制度としては最終回の公募となる見込みです。
今後はものづくり補助金と統合されるため、大きな変更があるかもしれません。
今回の第4回公募では、これまでの公募と比べて、補助率の特例創設、賃上げ要件の見直し、加点・減点項目の追加、提出書類の増加など、実務に直結する変更が複数入っています。
そこで本記事では、新事業進出補助金の第4回公募について、公募要領や公式情報をもとに変更点を具体的に整理し、申請時に押さえるべきポイントまでわかりやすく解説します。
✅ 新事業進出補助金 第4回公募の変更点
✅ 第3回までとの具体的な違い
✅ 変更点が申請に与える影響
✅ 採択率を高めるための実務上のポイント
✅ 駒田会計事務所のサポート内容と相談方法
Contents
新事業進出補助金 第4回公募の概要
まず第4回公募の基本情報を確認しておきましょう。第4回公募のスケジュールは以下の通りです。
- 公募開始:2026年3月27日(金)
- 申請受付開始:2026年5月19日(火)
- 応募締切:2026年6月19日(金)18:00
- 採択発表:2026年9月頃予定
また、公募要領では補助事業実施期間について、交付決定日から14か月以内(ただし採択発表日から16か月以内)とされています。さらに、補助事業完了後は5年間にわたり事業化状況報告が必要です。
参考:中小企業新事業進出補助金 公式サイト
参考:第4回公募要領(PDF)
新事業進出補助金 第4回公募の主な変更点
第4回公募で押さえるべき変更点は、大きく分けると次の6つです。
- 地域別最低賃金引上げ特例の新設
- 賃上げ要件の一本化
- 賃上げ特例要件の評価軸変更
- 加点・減点項目の追加
- 提出書類の追加
- 実績報告期限の厳格化
ここから、それぞれを具体的に見ていきます。
1. 地域別最低賃金引上げ特例が新設された
第4回公募でもっとも大きい変更点のひとつが、「地域別最低賃金引上げ特例」の創設です。
第3回までは補助率が原則1/2でしたが、第4回ではこの特例に該当する事業者について、補助率が2/3に引き上げられる仕組みが設けられました。
これは自己負担額に大きく影響するため、該当可能性がある事業者は必ず確認すべき変更です。
公募要領では、この特例の要件として、2024年10月から2025年9月までの間に、補助事業の主たる実施場所で雇用している従業員のうち、「当該期間における地域別最低賃金以上かつ2025年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が30%以上である月が3か月以上あることとされています。
さらに、この特例を使う場合は、通常必要な「事業場内最賃水準要件」が除外される点も重要です。つまり、第4回では単なる補助率アップではなく、要件構造そのものが変わっています。
参考:第4回公募要領(PDF)
2. 賃上げ要件が一本化された
第3回までの賃上げ要件は、実務上やや複雑でした。具体的には、以下のような考え方が併記されていました。
- 一人当たり給与支給総額を、都道府県別最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上増加させる
- 給与支給総額を年平均2.5%以上増加させる
これに対し、第4回では要件が整理され、「一人当たり給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上増加させること」に一本化されました。
これは見た目以上に大きな変更です。なぜなら、第3回までは「総額ベース」で考える余地がありましたが、第4回では一人当たりの処遇改善がより明確に重視される設計に変わったからです。
公募要領でも、補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、一人当たり給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上増加させることが求められています。
また、申請時には目標値を設定し、交付申請時までに全従業員または従業員代表者に表明する必要があります。
このため、第3回までの感覚で「給与総額2.5%増を考えておけばよい」と理解していると、第4回では制度趣旨を外してしまう可能性があります。
参考:第4回公募要領(PDF)
3. 賃上げ特例要件の評価軸が変わった
補助上限額の引上げに関わる賃上げ特例要件にも変更があります。
第3回では、給与支給総額ベースで年平均6.0%以上の増加が求められていました。一方、第4回では、一人当たり給与支給総額ベースで年平均6.0%以上に変わっています。
つまり、数字だけを見ると「6.0%」で同じに見えますが、何を基準に評価するかが変わっているのです。
公募要領では、賃上げ特例の追加要件として、以下の2つが示されています。
- 賃上げ要件の3.5%に加え、さらに年平均成長率+2.5%(合計6.0%以上)増加させること
- 事業場内最低賃金基準値にさらに+20円(合計+50円以上)増加させること
この変更により、第4回では「大幅な賃上げ」に本気で取り組む企業かどうかが、よりはっきり問われるようになっています。
参考:第4回公募要領(PDF)
4. 加点項目と減点項目が追加された
第4回公募では、審査時の加点・減点の考え方も強化されています。
まず加点項目として、以下の2つが追加されました。
- 地域別最低賃金引上げに係る加点
- 事業場内最低賃金引上げに係る加点
前者は、地域別最低賃金以上かつ2025年度改定後最低賃金未満の従業員が一定割合以上いる事業者が対象です。後者は、2025年7月と応募申請直近月の事業場内最低賃金を比較し、63円以上の賃上げをしている事業者が対象とされています。
一方で、減点項目も明確化されました。
たとえば、過去に中小企業庁所管の補助金で賃上げ加点を受けて採択されたにもかかわらず、要件を達成できなかった場合、一定期間大幅な減点を受ける可能性があります。
また、類似テーマへの申請集中による過剰投資の懸念や、過去の補助事業の事業化が進んでいないケースも減点対象です。
これは第4回が、単に「申請書を書けば通る」公募ではなく、過去の実績や経営姿勢まで見られる公募になっていることを意味します。
5. 口頭審査は申請者本人のみ対応となった
第4回では、口頭審査の運用面でも重要な変更があります。
補助金ポータルの解説では、第3回からの変更点として、口頭審査では対応者が申請事業者本人(代表者等)に限定され、外部の支援者やコンサルタントによる同席・代行は一切認められないと整理されています。
この変更が意味するのは、申請書を外部に丸投げしても通用しないということです。
経営者自身が、自社の新規事業について、なぜ市場性があるのか、なぜ高付加価値なのか、どうやって賃上げ原資を確保するのかを自分の言葉で説明できなければなりません。
つまり、第4回は申請書の完成度だけでなく、経営者の理解度と実行責任まで見られる公募です。
6. 提出書類が増えた
特例や加点項目の追加に伴い、第4回では提出書類も増えています。
具体的には、以下のような書類が追加されています。
- 地域別最低賃金引上げ特例または加点を希望する場合:所定様式、任意3か月分の賃金台帳の写し
- 事業場内最低賃金引上げに係る加点を希望する場合:所定様式、2025年7月と応募申請直近月の賃金台帳の写し
これは地味な変更に見えますが、実務では非常に重要です。採択率を高めるために加点を狙うなら、単に条件に該当するだけでなく、その裏付け資料をきちんと揃えられるかが問われます。
申請直前に慌てて賃金台帳を整理しようとすると、抜け漏れや計算ミスが起きやすくなります。該当可能性がある事業者は、できるだけ早い段階から資料準備に着手すべきです。
7. 実績報告の期限が厳格化された
第4回公募では、採択後の実務にも厳しい変更があります。それが実績報告期限の厳格化です。
公募要領では、補助事業を完了したときは、その日から起算して30日を経過した日、または補助事業完了期限日のいずれか早い日までに実績報告書を提出しなければならないとされています。そして、期限までに提出されなかった場合、交付決定を取り消すと明記されています。
これは非常に重い変更です。せっかく採択され、設備投資まで行っても、実績報告が遅れれば補助金を受け取れない可能性があります。
第4回は「申請が通れば終わり」ではありません。採択後の進行管理、証憑管理、実績報告体制まで整えておくことが前提です。
参考:第4回公募要領(PDF)
参考:創業手帳 第4回公募解説
第4回公募の変更点が申請者に与える影響
第4回の変更点を全体で見ると、制度が明らかに「新規事業+賃上げ+実行管理」重視へと進んでいることがわかります。
特に影響が大きいのは、次のような事業者です。
- これまで給与総額ベースで賃上げ要件を考えていた事業者
- 賃金台帳や労務資料の整理が十分でない事業者
- 申請書作成を外部に依存しすぎている事業者
- 採択後の報告体制まで考えていない事業者
逆にいえば、第4回で評価されやすいのは、新規事業の市場性と収益性を示せるだけでなく、賃上げを含む会社全体の成長戦略として説明できる事業者です。
第4回公募で申請する際のポイント
第4回公募で申請する際は上記の変更点をおさえたうえで、下記のポイントをおさえて申請することをおすすめします。
新規性を曖昧にしない
新事業進出補助金では、既存事業の単なる延長は評価されません。
市場における新規性、自社にとっての新規性、高付加価値性の3点を整理し、なぜその事業が新市場への進出といえるのかを明確に説明する必要があります。
賃上げ計画は無理のない数字で組む
第4回では一人当たり給与支給総額3.5%増が必須です。
賃上げ特例を狙うなら6.0%以上が必要です。高すぎる目標を掲げれば審査では魅力的に見えるかもしれませんが、採択後に未達となれば返還リスクがあります。実現可能性を重視して設計すべきです。
賃金台帳・労務資料を早めに準備する
特例や加点を狙うなら、賃金台帳の整備は必須です。申請期限が近づいてからでは対応しきれないことが多いため、早めに必要資料を確認しておくべきです。
代表者自身が説明できる状態にする
口頭審査では本人対応が前提です。事業計画書の内容を経営者自身が理解し、自分の言葉で説明できるようにしておくことが重要です。
採択後の報告体制まで見据える
第4回では、実績報告30日ルールが明確化されました。採択後の経理処理、証憑整理、進捗管理まで含めて体制を整えておかないと、採択されても補助金を受け取れないリスクがあります。
専門家に相談する価値が高い理由
第4回公募は、制度理解が浅いまま申請するとミスが起きやすい回です。
特に、賃上げ要件の変更、特例の可否判断、加点書類の整理、採択後の報告体制まで含めて考えると、専門家のサポートを受ける価値は高いといえます。
ただし、注意したいのは、公募要領でも事業計画は申請者自身で作成する必要があるとされている点です。
専門家はあくまで整理・助言・ブラッシュアップの役割であり、丸投げはできません。
その意味で重要なのは、単なる代筆ではなく、経営者が理解しながら前に進める支援を受けることです。新規事業の方向性、収益計画、賃上げの実現可能性まで含めて伴走してくれる専門家を選ぶべきです。
まとめ
今回は新事業進出補助金の第4回公募の変更点と申請のポイントについてまとめてきました。ポイントは下記の通りです。
- 第4回では地域別最低賃金引上げ特例が新設され、補助率2/3の可能性が生まれた
- 賃上げ要件は一人当たり給与支給総額の年平均3.5%増へ一本化された
- 賃上げ特例要件は、一人当たり給与支給総額ベースで年平均6.0%以上へ変更された
- 加点・減点項目や提出書類が増え、申請実務の難易度が上がっている
- 実績報告30日ルールの明確化により、採択後の管理体制まで含めた準備が必要になった
参考リンク
まずは無料相談から始めてみませんか?
「自分の事業が補助対象になるか分からない」「どのように申請すればいいか不安」という方も、まずはお気軽にご相談ください。
駒田会計事務所では、初回無料相談を通じて、事業内容やビジョンに合った補助金の活用方法をご提案しています。
- 採択実績300件以上:ものづくり補助金・事業再構築補助金等
- 「新事業進出補助金」にもいち早く対応し、各業種で申請支援中
- 公認会計士が直接対応:制度に詳しい専門家が丁寧にサポート
- オンライン完結・地方対応OK:全国どこからでも相談可能です
📩【まずは無料相談から】 「どの補助金が使えるか分からない…」という方も安心してください。 貴社に合った補助金を一緒に探し、申請可能性を無料で診断いたします。





















