新規事業の立ち上げや事業拡大の際に活用できる「新事業進出補助金」。 近年、学習塾業界は、少子化の影響を受けながらも、高付加価値型の個別指導塾やオンライン学習サービスの需要が拡大しています。特に、新たな学習モデルやデジタル技術を活用した塾運営のニーズが高まっており、新規開業や業態転換を検討している企業や個人も増えています。しかし、「学習塾は補助対象になるのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。
結論から言うと、新事業進出補助金を活用して学習塾を開業・運営することは可能です。ただし、単なる学習塾運営ではなく、「新市場進出」や「高付加価値化」が求められます。
本記事では、新事業進出補助金を活用した学習塾開業のポイントや、採択事例について詳しく解説します。
学習塾市場の成長とビジネスチャンス
学習塾業界は、少子化や教育の多様化などの影響を受けながらも、依然として日本の教育産業において重要な役割を果たしています。
2023年度の教育産業全体の市場規模(主要15分野計)は、事業者売上高ベースで前年度比0.7%減の2兆8,331億7,000万円となりました。
この中で、学習塾・予備校市場は、少子化の進行や物価上昇による家計の教育投資抑制などの影響を受けつつも、依然として大きな市場を維持しています。
(教育産業市場に関する調査を実施(2024年) 矢野経済研究所)
学習塾市場の現状
学習塾業界の市場規模は、5,500億円程度と言われています。 生徒数は毎年横ばい傾向にある中、過去10年間で売上は年々増加しています。
これは、教育に対する需要が依然として高いことを示しています。
少子化の影響と市場の変化
少子化の進行により、学習塾業界は生徒数の減少という課題に直面しています。
しかし、その一方で、個別指導やオンライン教育など、多様な学習形態の導入が進んでいます。
これにより、生徒一人ひとりのニーズに合わせた柔軟な指導が可能となり、市場の多様化が進んでいます。
eラーニング市場との関連性
eラーニング市場も拡大を続けており、2024年度の国内eラーニング市場規模は、前年度比0.1%増の3,693億5,000万円を予測しています。
学習塾業界もこの流れを受けて、オンライン授業やデジタル教材の導入を進めています。
これにより、生徒は時間や場所を問わず学習できる環境が整いつつあります。
新事業進出補助金とは?学習塾も補助対象の可能性
新事業進出補助金(正式名称:中小企業新事業進出促進事業)は、既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とした補助金となっています。
公募開始は2025年4月からとなっており、注目されている補助金です。
補助率は1/2で、補助額は最大9,000万円となっています。
補助額 | ||
---|---|---|
従業員数 | 補助金額 | 大幅賃上げ特例適応時 |
21人以下 | 750万円以上2,500万円以下 | 3,000万円 |
21~50人 | 750万円以上4,000万円以下 | 5,000万円 |
51~100人 | 750万円以上5,500万円以下 | 7,000万円 |
101人以上 | 750万円以上7,000万円以下 | 9,000万円 |
補助対象経費 |
---|
建物費、構築物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費 |
補助率・補助額が高く補助対象経費も幅広いです。
採択率は低めに予想されている難易度が高い補助金となりますが、チャレンジする価値は十分にあるでしょう。
補助対象経費
- 設備投資費用(学習塾の教室設備・オンライン授業用機材の導入)
- 建物改装費(塾の内装・設備整備)
- システム構築費(オンライン学習プラットフォーム・CRMシステム)
- クラウドサービス利用費(生徒管理システムなど)
- 知的財産権等関連経費(独自教育プログラムの開発費)
- 広告宣伝・販売促進費(マーケティング・ブランディング)
- 外注費(ウェブサイト制作、教育動画制作)
補助率・補助額が高く、補助対象経費も幅広いため、学習塾の開業や拡大に活用しやすい補助金です。
採択事例
以下は、新事業進出補助金の前身である事業再構築補助金で採択された学習塾関連の事例です。
- 発達障害・適応障害向け学習塾の開設
- 鉄分やタンパク質、ミネラルなどのバランスを考えた「塾飯」を提供し、心と身体のケアを同時に行う。
- 体験型科学学習塾の運営
- つくば市の研究機関と連携し、STEAM教育を取り入れた体験型の学習塾を開設。
- 自然教育を取り入れた学習塾の開業
- 子どもたちに自然の大切さを学ばせるプログラムを提供する「自然を学ぶ学習塾」を展開。
- 学習塾向けCRMアプリ開発・販売
- 学習塾向けの出退勤管理アプリを開発し、集客支援やマーケティング分析機能を付加。
- 合宿所形式の学習塾運営
- 大分県別府市で合宿型の学習塾を開設し、地域人材との交流を通じた教育を提供。
- AIクリエイター育成塾の開設
- AIを活用したマンガ・アニメ制作の学習塾を開業し、職業紹介事業と連携。
- 学習塾向け人材紹介事業の展開
- 学習塾向けに講師を紹介するビジネスを開始し、業界特化のマーケティングノウハウを活用。
- AI活用の質問回答アプリの開発
- 全国の生徒に無料で個別指導を提供するAI学習アプリを開発し、教育格差の解消を目指す。
- 理数系特化型学習塾の開設
- コワーキングスペースと連携し、宇宙やプログラミングなどの学習アクティビティを提供。
- 伝統産業×学習塾の融合
- 京都の伝統産業と連携し、カルチャースクールと学習塾を組み合わせた教育事業を展開。
- AIによるオーダーメイドカリキュラム学習塾の開設
- スポーツ推薦志望の生徒向けに実技試験対策を提供する「学習塾×トレーニング」を展開。
まとめ
- 新事業進出補助金は、新市場・高付加価値事業への進出を支援する補助金であり、学習塾も対象となる可能性が高い。
- 学習塾市場は拡大しており、特にオンライン学習塾は前年比110%の成長を記録。個別指導塾やプログラミング塾も需要増。
- 補助率は1/2で、最大9,000万円の補助が受けられるため、事業規模に応じた活用が可能。
- 採択のポイントは、新市場進出や高付加価値化を意識し、オンライン教育・個別指導・プログラミング教育など新たな価値を提供すること。
補助金を活用し、学習塾の成長を実現しましょう!
弊社では、今後公募が開始される予定である「新事業進出補助金」「中小企業成長加速化補助金」についてもご相談をお受けしております。
弊社はこれまで、ものづくり補助金をはじめとして事業再構築補助金、中小企業省力化投資補助金のサポートも行っており、多数の採択実績があります。また、交付申請や事業化状況報告等の補助金申請後のご相談やサポートも承っております。お困りごとがございましたらお気軽にご連絡下さい。
こちらよりご相談ください。
ものづくり補助金の申請代行サポートについては、こちらよりご相談ください。
事業再構築補助金の申請代行サポートについては、こちらよりご相談ください。