新規事業の立ち上げや事業拡大の際に活用できる「新事業進出補助金」。 近年、美容業界は新たなトレンドの台頭やデジタル技術の進化により変革期を迎えています。特に、高付加価値型の美容サービスやDX(デジタルトランスフォーメーション)を取り入れたサロン運営が注目されています。しかし、「美容室は補助対象になるのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。
結論から言うと、新事業進出補助金を活用して美容室を開業・運営することは可能です。ただし、単なる美容室運営ではなく、「新市場進出」や「高付加価値化」が求められます。
本記事では、新事業進出補助金を活用した美容室開業のポイントや、採択事例について詳しく解説します。
美容業界の成長とビジネスチャンス
日本国内の美容市場は年々変化しており、2023年度の美容市場規模は2兆920億円と推計されており、前年比101.0%の成長を記録しました(出典:矢野経済研究所)。
特に、美容サロン業界は多様化が進み、消費者のニーズに合わせた新たなサービスが拡大しています。
特に、以下の分野において高い成長が見込まれています。
- ヘアサロン市場の堅調な成長:美容室の店舗数は増加傾向にあり、特に高付加価値サービスを提供するサロンの売上が向上。
- メンズ美容市場の拡大:男性専用の美容室やヘッドスパ、スキンケアサービスの需要が高まり、メンズ向けサービスの市場規模が拡大。
- サブスクリプション型美容サービス:月額制で利用できる美容室やヘアケアプランが登場し、安定した顧客基盤の確保が可能に。
- AI・データ活用型美容室:AIによるパーソナライズ診断や、オンライン予約管理の導入が進み、業務の効率化と顧客満足度向上を両立。
- ウェルネス×美容サービス:美容と健康を組み合わせた「ヘルスケア美容室」が増加。特にリラクゼーションや頭皮ケアに特化したサロンの需要が拡大。
このような市場環境を考慮すると、新たなサービスを展開する美容室の進出は大きなビジネスチャンスとなります。
新事業進出補助金とは?美容室も補助対象の可能性
新事業進出補助金(正式名称:中小企業新事業進出促進事業)は、既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とした補助金となっています。
公募開始は2025年4月からとなっており、注目されている補助金です。
補助率は1/2で、補助額は最大9,000万円となっています。
補助額 | ||
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従業員数 | 補助金額 | 大幅賃上げ特例適応時 |
21人以下 | 750万円以上2,500万円以下 | 3,000万円 |
21~50人 | 750万円以上4,000万円以下 | 5,000万円 |
51~100人 | 750万円以上5,500万円以下 | 7,000万円 |
101人以上 | 750万円以上7,000万円以下 | 9,000万円 |
補助対象経費 |
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建物費、構築物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費 |
補助率・補助額が高く補助対象経費も幅広いです。
採択率は低めに予想されている難易度が高い補助金となりますが、チャレンジする価値は十分にあるでしょう。
補助対象経費
- 設備投資費用(美容室の施術機器・デジタル機器の導入)
- 建物改装費(サロンの内装・設備整備)
- システム構築費(オンライン予約・CRMシステム)
- クラウドサービス利用費(顧客管理システムなど)
- 知的財産権等関連経費(独自施術技術の特許取得など)
- 広告宣伝・販売促進費(マーケティング・ブランディング)
- 外注費(ウェブサイト制作、PR動画制作)
補助率・補助額が高く、補助対象経費も幅広いため、美容室の開業や拡大に活用しやすい補助金です。
美容室関連の採択事例
以下は、新事業進出補助金の前身である事業再構築補助金で採択された美容室関連の事例です。
- スタイリスト育成事業の開始
- 岐阜県の美容業者が、美容室業界の慢性的な人手不足を解消するためにスタイリスト育成事業を展開。
- 美容専門学校の開校
- 京都・大阪で9店舗の美容室・アイラッシュサロンを運営する企業が、新たに滋賀で美容専門学校を開校し、新市場へ進出。
- 次世代型美容室の展開
- 美容ディーラーが、業界支援のノウハウを活かし、人に依存しない安定高収益型の美容室を開発し、FC展開を進める。
- 異業種からの美容室開業
- 既存の精密加工業から美容室業界へ進出し、新市場と新技術を融合。
- フリーランス美容師向けの新サービス
- 美容室の空きスペースをフリーランス美容師に提供するマッチングビジネスを開始。
- 総合美容複合施設の開発
- 山梨県で塗装業を営む企業が、新たに完全個室を備えた美容室を開業し、複合型施設として展開。
まとめ
- 新事業進出補助金は、新市場・高付加価値事業への進出を支援する補助金であり、美容室も対象となる可能性が高い。
- 美容市場は拡大しており、特にメンズ美容市場、AI活用、美容×ウェルネス分野の成長が著しい。
- 補助率は1/2で、最大9,000万円の補助が受けられるため、事業規模に応じた活用が可能。
- 採択事例を参考に、新市場進出や高付加価値化を意識した美容室の開業を検討すべき。
補助金を活用し、美容室の成長を実現しましょう!
弊社では、今後公募が開始される予定である「新事業進出補助金」「中小企業成長加速化補助金」についてもご相談をお受けしております。
弊社はこれまで、ものづくり補助金をはじめとして事業再構築補助金、中小企業省力化投資補助金のサポートも行っており、多数の採択実績があります。また、交付申請や事業化状況報告等の補助金申請後のご相談やサポートも承っております。お困りごとがございましたらお気軽にご連絡下さい。
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