厚生労働省から新たに注目の助成金が創設される見込みとなっています。
その名も産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)。
事業再構築補助金の自社の社員に対しては補助対象外というデメリットを打ち消す注目の助成金です。
今回は産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)の概要について解説していきます。
産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)が創設予定!
「事業再構築補助金令和4年度第二次補正予算の概要」の中で、新たに下記の文言が追加されました。
業況の厳しい事業者が行う事業再構築を人材の育成・確保の面から効果的に促すため、令和5年度より産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)(仮称)が創設される予定です。
※令和5年度予算の成立、厚生労働省令の改正などが必要であり、現時点ではあくまで予定です(詳細検討中)。
(参考)厚生労働省所管令和5年度予算案 概要資料
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001045586.pdf
事業再構築補助金は経済産業省の管轄ですが、新たに厚生労働省から産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)という助成金が創設される見込みとなりました。
事業再構築補助金は事業に対する支援なのに対して、産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)は雇用に対する支援となります。
まだ詳細の情報は出ていませんが、2023年1月31日時点で公開されている情報を元に次の章で解説していきます。
産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)とは
産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)の概要は下記の通り。
内容について解説していきます。
事業の目的
新型コロナウイルス感染症の影響等により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が行う、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するための新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編等の事業再構築を人材の育成・確保の面から効果的に促すため、当該事業主に雇用される労働者の雇用の安定の確保と当該事業再構築に必要な新たな人材(コア人材※)の円滑な受け入れ(労働移動)を支援する。
※専門的な知識等を有する年収350万円以上の者
事業再構築補助金と連携した助成金となっています。
事業再構築補助金のデメリットとして、自社の社員に対する支援がなかったことが挙げられます。
公募要領の中で「事業に係る自社の人件費、旅費」は補助対象外である旨、明記されていました。
そのため、自社で社員を雇用して大規模な事業再構築を行うということはやりにくく、既存の社員を有効的に活用したり、フリ―ランスなどの外注や専門家を活用するというケースが多い傾向にありました。
こういった事業再構築補助金のデメリットを打ち消すのがこの産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)です。
自社の社員の雇用に対しての助成金であるため、正社員を雇い入れて、腰を据えて新規事業に取り組むことができます。
具体的な対象者や要件について確認していきましょう。
対象事業主
下記の2点が現時点での対象事業主です。
・新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた中小企業事業主等
・事業再構築(※)に必要なコア人材を雇入れた事業主
※事業再構築補助金(中小企業庁)の採択を受けたもの
事業再構築補助金の採択を受けた事業者に限定し、活用できる助成金です。
助成要件
助成要件は下記の通り。
事業再構築の前後を通じて、労働者の雇用を確保した上で、当該事業再構築に必要なスキル等を保有する労働者(コア人材)を1人以上、常時雇用する労働者として雇い入れること
「労働者の雇用を確保した上で、」という文言があるため、人を解雇して新たに助成金で正社員を増やすというスキームは通用しません。
純粋に従業員数を減らさず、新たに正社員を雇い入れる必要があると思われます。
コア人材は「専門的な知識等を有する年収350万円以上の者」のことをいいます。
年収350万円以上支払う必要がありますので、十分な予算を確保しておくことをおすすめします。
助成額
助成額は下記の通り
中小企業 | 中小企業以外 |
280万円 (6か月ごとに140万円×2期) | 200万円 (6か月ごとに100万円×2期 |
予算額が89億円であることから、約3,000社前後への助成になると考えられます。(89億円/280万円)
まとめ
今回は産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)の概要について解説してきました。
ポイントは下記の通り。
- 厚生労働省から産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)が創設予定
- 事業再構築補助金に取り組む事業者が正社員を雇い入れる場合に助成
- 事業再構築補助金の自社の社員は支援対象外というデメリットを打ち消す助成金
- 中小企業が280万円、中堅企業が200万円の助成金
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