事業再構築補助金成長枠で新たにインバウンド向けの宿泊業が追加されました。
インバウンドに限定されていますが、多額の改修費がかかる宿泊業の追加は大きなチャンスと言えるでしょう。
また、ホテル、旅館を中心とする宿泊業はもちろんのこと、民泊などの簡易宿泊所も補助対象となっています。
前回までの公募でも人気があった事業テーマの一つで、今回の追加はかなり大きな変更となります。
そこで今回は事業再構築補助金の成長枠で活用できるインバウンド向けの宿泊業について解説していきます。
事業再構築補助金成長枠でインバウンド向けの宿泊業が追加!対象事業は?
事業再構築補助金の成長枠に、インバウンド向けの宿泊業が新たに追加されました。
この成長枠は、市場拡大の可能性を要件として設定されています。
具体的には、過去から今後10年間にわたり、市場拡大が10%以上見込まれる業種・業態が対象となるというもので、事務局が指定した事業しかできませんでした。
今回、インバウンド向けの宿泊業がその要件を満たすと判断されたことで、事業再構築補助金成長枠の対象になりました。
インバウンド向けの宿泊業をはじめようと考えていた事業者にとって大きな支援となります。
なお追加された業態は下記の通り。
旅館業法第 3 条に基づき許可を受けた「旅館業」を営むもの
日本標準産業分類においては以下2つの分類が該当する
・7511 旅館,ホテル
・7521 簡易宿所
上記に該当する業種・業態のうち、インバウンド顧客をターゲットとするもの
751 旅館,ホテ ル
7511 旅館,ホテ ル
主として短期間(通例,日を単位とする)宿泊等を一般公衆に提供する営利的な事業所をいう。
多数人が共用する構造設備を主とする簡易宿所は小分類 752[7521]に,長期滞在を原則とする下宿業は小分類 753[7531]に分類される。
○シティホテル;観光ホテル;ビジネスホテル;駅前旅館;割ぽう旅館;民宿(旅
館,ホテルに該当するもの)
×割ぽう料理店[7621];ベッドハウス[7521];山小屋[7521]
752 簡易宿所
7521 簡易宿所
宿泊する場所が主として多数人で共用する構造及び設備であって宿泊等を一般公衆に提供する営利的な事業所をいう。
○簡易宿泊所;ベッドハウス;山小屋;カプセルホテル;民宿(簡易宿所に該当するもの)
×会社の宿泊所[7591];合宿所[7599];ユースホステル[7591];ウィークリーマンション賃貸業[6921];貸別荘業[6921]
ホテル、旅館はもちろんのこと、民泊やカプセルホテルも対象となります。
また、以前の公表の中でグランピング、キャンプも対象となるとされていました。
この通り、インバウンド向けの宿泊業は大きなチャンスとなりうるでしょう。
インバウンド向けの宿泊業が市場拡大する根拠資料
インバウンド向けの宿泊業が市場拡大する根拠資料として提示されているのは下記の資料です。
・観光庁「訪日外国人消費動向調査」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/syouhityousa.html
・日本政府観光局「訪日外客統計」
https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/
・観光庁「旅行・観光産業の経済効果に関する調査研究報告書」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/page02_000183.html
・観光庁「宿泊旅行統計調査」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/shukuhakutoukei.html
SWOT分析や事業環境の分析にも活用できますので、ぜひ参考にしてみてください。
インバウンド向けの宿泊業が事業再構築補助金でおすすめできる3つの理由
インバウンド向けの宿泊業が事業再構築補助金でおすすめできる理由は
- 円安でインバウンド拡大が見込める
- 建設費が補助対象となり、大部分が補助される
- キャンペーンによる需要喚起が見込める
具体的に解説していきます。
急速な円安基調で相対的に割安に
日米の金融政策の違いから、現在急速な円安が進んでいます。
2022年1月の時点では1ドル115円だったのに対して、2023年6月時点では1ドル140円前後で推移しています。
円安基調となっている理由はアメリカが金融を引き締め、インフレ抑制に動いているのに対して、日本はインフレを促進するため、金融緩和しているためです。
お金は金利の低いところから高いところに流れる傾向にあるので、円売りドル買いが続いているということになります。
とはいえ、日本銀行が円安に対応して、金融緩和を縮小できるかといわれるとそうではありません。
日本は景気が縮小していますし、住宅ローンも変動金利で組んでいる人が多いためです。
急な引き締めに動くと家計にダメージがいくので、しばらくは円安ドル高傾向が続くと言えるでしょう。
建設費が補助対象となり、大部分が補助される
インバウンド向けの宿泊業は、既存施設の改装や増設といった形で新事業を展開することが一般的です。
これらの改修費用や増設費用は建設費として、事業再構築補助金の対象となります。
ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金など一般的な補助金は建設費が補助対象となることはほとんどありません。
建設業は多額な経費となりやすく、予算がすぐつきてしまうためです。
しかしながら、事業再構築補助金は多額の予算が組まれており、建設費を補助にするだけの余裕があります。
このため、宿泊施設を新設・改装する際の負担を大幅に軽減することが可能です。
政府主導の補助金やキャンペーンが見込める
今後、観光関連事業は政府主導の補助金やキャンペーンが見込めます。
GOTOトラベルキャンペーンを筆頭に、訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業費補助金(宿泊施設インバウンド対応支援事業)、インバウンド対応力強化支援補助金など様々な補助金やキャンペーンが打ち出されています。
政治家からも観光事業に関して、推進していく発言が複数見受けられました。
「岸田首相、2年ぶりの観光客の受け入れ再開表明 6月10日から」にあるように岸田総理の発言の中でも複数の観光事業を推進する発言がありました。
また、菅元総理も「菅前首相「円安メリット活用を」 訪日客増へ注文、秋田で講演」にるように、訪日客を増加させていくように推進しています。
インバウンド向けの宿泊業の採択事例
過去の公募でインバウンド向けの宿泊業での採択事例を紹介します。
事業計画名 | 事業計画の概要 |
都市型リゾート住宅によるワーケーション等向け宿泊事業への新分野展開 | コロナ禍及び物価高騰の影響を受け、新たな収益の柱の構築が課題。コロナ禍を機に拡大したワーケーション需要や直近で急回復しているインバウンド向けにリゾート住宅による宿泊事業を新たに立ち上げ、V字回復を図る。 |
建築設計業が世界遺産日光でインバウンド向け宿泊業に進出! | 弊社が本事業で取り組むのは「インバウンド向け宿泊施設兼日本文化を堪能できる飲食店」である。世界遺産日光で高齢により閉鎖する事になった飲食店兼土産物店を引き継ぎ、伸びしろのあるインバウンド向けの宿泊施設兼飲食店を和の文化を散りばめた改修工事を行い地方創生を図る。 |
アフターコロナ社会に適応した「移住体験民泊事業」への挑戦 | リモートワーク普及による地方移住希望者の増加やインバウンド需要に対応した、移住体験のできる民泊事業に挑戦します。当社の強みである物件管理ノウハウや語学力を生かしてV字回復と地方創生を目指します。 |
コワーキング施設を持つインバウンドに対応したホテルの運営 | コロナ禍で当社が賃貸するホテル運営会社が撤退。強みを活かして、今後増加するインバウンドに対応できるホテルへとコンセプトを変更し、自社でホテルを運営。外国人と日本をつなぐ事業を通じて事業再構築を図る。 |
池袋の好立地にインバウンドを促進!デジタル化ホテルでおもてなし事業 | インバウンド需要の再来を捉え、留学生寮をくつろげる長期滞在可能な無人ホテルへ改装する事業体制の構築。外国人との密なつながりとデジタルツールを活用し、非接触の運営体制により満足度高め売上のV字回復を図る。 |
インバウンド富裕層向け医療ツーリズム専用宿泊施設 | 現在国内において需要が増加傾向にある医療ツーリズムに着目し、当社では「インバウンド富裕層向け医療ツーリズム専用宿泊施設」の運営を予定している。具体的には、海外在住の外国人富裕層が日本の高度医療を受けるにあたり、富裕層の満足に足るサービスを受けながら長期滞在出来る宿泊施設の運営である。 |
民泊事業による事業再構築で挑む輸入品販売事業依存体制の経営改革 | 本事業は主に衣料品の通信販売事業を営んでいる当社が外国人に人気の観光地でインバウンド需要の獲得を目指し、古民家を非対面型で運用できるシステムを導入した民泊施設に改装して、新たに民泊事業を行う計画です。 |
まとめ
今回はインバウンド向けの宿泊業で事業再構築補助金成長枠が利用可能であるという点と採択事例を紹介してきました。
ポイントは下記の通り。
- インバウンド向けの宿泊業が新たに事業再構築補助金の成長枠補助対象に
- 建設費が補助対象となるため、おすすめ
- ホテル、旅館はもちろんのこと、カプセルホテルや民泊も大正
- インバウンドは急拡大しており、需要の取り込みが期待できる
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