事業再構築補助金では第三次の公募から大きな変更がありました。
大きな変更点の一つに「大規模賃金引上枠の創設」というものがあります。
今回は大規模賃金の引上枠の概要と具体的な内容について解説していきます。
事業再構築補助金の大規模賃金引上枠の概要
大規模賃金引上枠とは一定の賃金を引き上げた101名以上を雇用する中小企業に対して、補助上限を引き上げるという制度になります。
詳細の概要は下記の通りです。
【大規模賃金引上枠】
概要 | 多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる中小企業等の事業再構築を支援。 |
補助金額 | 8,000 万円超 ~ 1 億円 |
補助率 | 中小企業者等 2/3(6,000 万円超は 1/2) 中堅企業等 1/2(4,000 万円超は 1/3) |
実施期間 | 交付決定日~12 か月以内(ただし、採択発表日から 14 か月後の日まで) |
補助対象経費 | 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、 広告宣伝・販売促進費、研修費 |
大規模賃金引上枠の対象事業者は中小企業、中堅企業ともに補助額が8,000万円超~1億円となり、補助率は中小企業は2/3 (6,000万円を超える部分は1/2) 、中堅企業は1/2 (4,000万円を超える部分は1/3)となりました。
補助額は通常枠の場合、中小企業と中堅企業いずれも8,0000万円が上限となるので、改善といえるでしょう。
補助対象経費は通常枠と変わりません。
また、概要内に継続的な賃上げに取り組むという点と従業員を増やすという点が記載されているので、ある程度体力がある事業者でなければ難しいかもしれません。
大規模賃金引上枠が創設された背景
第三次公募で新たに大規模賃金引上枠が創設された背景には最低賃金の引上げがあります。
中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は2021年7月14日、2021年度の最低賃金を全国平均で28円を目安に引き上げ、時給930円とすると決めました。
最低賃金の引き上げとしては過去最高額です。
コロナ禍で業績が低迷している企業が多い中での賃金引き上げであり、中小企業・中堅企業にとって厳しいコスト増となるかと思われます。
こうした背景があり、今回の公募から新たにあ大規模賃金引上枠が創設されたということになります。
大規模賃金引上枠の要件
大規模賃金引上枠の要件は下記の通りです。
①事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること【事
業再構築要件】
②2020 年 4 月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高
が、コロナ以前(2019 年又は 2020 年1月~3月)の同3か月の合計売上
高と比較して 10%以上減少しており、2020 年 10 月以降の連続する6か月
間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019 年又は 2020
年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して 5%以上減少しているこ
と等【売上高等減少要件】
(※)売上高に代えて付加価値額を用いることも可能です。詳細については、
P15 の「(2)【売上高等減少要件】について」を参照してください。
③事業計画を認定経営革新等支援機関及び金融機関(金融機関が認定経営革新
等支援機関であれば当該金融機関のみでも可)と策定していること【認定
支援機関要件】
④補助事業終了後 3~5 年で付加価値額の年率平均 3.0%以上増加、又は従業
員一人当たり付加価値額の年率平均 3.0%以上増加する見込みの事業計画を策
定すること【付加価値額要件】
⑤補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から 3~5 年の事業計画期間終
了までの間、事業場内最低賃金を年額 45 円以上の水準で引き上げること【賃
金引上要件】
⑥補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5 年の事業計画期間終
了までの間、従業員数を年率平均 1.5%以上(初年度は 1.0%以上)増員させ
ること【従業員増員要件】(事業再構築補助金 第三次公募要領より)
①~④までは通常の事業再構築補助金と同じですが、⑤と⑥が新たに追加される要件となっています。
事業内の最低賃金を引き上げること及び従業員数を増員させることが要件となっています。
今までの事業再構築補助金では自社での人件費は補助の対象とならない点がデメリットとされていました。
しかしながら、大規模賃金引上枠であれば積極的に人件費を増やしていくことができます。
人件費が増える事業再構築をしたいといった場合は、大規模賃金引上枠を利用するのが良いかと思われます。
大規模賃金引上枠の注意点
大規模賃金引上枠には下記の注意点があります。
- 公募ごとに150社に限定されている
- 過去に採択された事業者の再応募はできない
具体的に解説していきます。
大規模賃金引上枠は公募ごとに150社限定
大規模賃金引上枠は公募ごとに150社に限定されています。
ですので、通常枠よりも厳しい審査となるのは間違いないでしょう。
ただし、大規模賃金引上枠は不採択でも、通常枠で再審査されます。
また、再審査の際、事業者側で特に必要な処理はありません。
そのため、要件に当てはまる事業者の方は必ず大規模賃金引上枠で申し込みするようにしましょう。
過去に採択された事業者の再応募はできない
大規模賃金引上枠は第三次公募から新設された枠です。
しかしながら、過去に事業再構築補助金に採択された事業者は対象外となります。
通常枠でも緊急事態宣言枠でも、一度でも採択された場合は対象外です。
まとめ
今回は事業再構築補助金における大規模賃金引上枠について解説してきました。
ポイントは下記の通りです。
- 大規模賃金引上枠は補助額が8,000万円~1億円
- 人員の増員と最低賃金引き上げに取り組む事業者が対象
- 大規模賃金引上枠で採択されなかった場合は通常枠で審査される
- 150社に限定されている
大規模賃金引上枠は人員増を伴う事業再構築には非常に有効的な補助金です。
不採択の場合は、通常枠での再審査されるので、積極的に申し込んでみることをおすすめします。
もし、「事業計画書が作成できず、困っている」「認定支援機関が見つからず、困っている」という方はまず一度ご相談ください。
事業再構築補助金について他にもまとめておりますので参考にしていただければ幸いです。
https://mono-support.com/saikouchiku/
また事業再構築補助金がどの様ものかわからないといった方は下記HPをご覧ください。
https://jigyou-saikouchiku.jp/
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