事業再構築補助金第10回公募が開始されました。
事業再構築補助金の第10回公募は第9回公募までとは要件が大きく異なっているため、注意が必要です。
そこで今回は事業再構築補助金第10回公募の変更点やスケジュール、締切について解説していきます。
事業再構築補助金第10回公募が開始!
事業再構築補助金第10回公募が令和5年3月30日に公募開始となりました。
(事業再構築補助金 第10回公募要領)
2023年度の事業再構築補助金は計3回の公募が予定されています。
3回しかチャンスがない反面、対象者が大幅に拡大したので、ライバルが増えることが予想されています。
事業再構築補助金は今年度で最後になる可能性も十分考えられますので、一回の公募で確実に採択を狙っていくことをおすすめします。
事業再構築補助金第10回公募からは従前の公募よりも大きな変更点があります。
具体的な内容について、次の章で解説していきます。
第10回公募 事業再構築補助金の主な変更点
第10回の事業再構築補助金は主に下記の点が変更となる見込みとなっています。
- 申請枠の大幅な変更
- 成長枠(旧通常枠)などで売上高減少要件の撤廃
- 成長枠(旧通常枠)で市場拡大要件が追加
- 成長枠(旧通常枠)などで給与総額増加要件が追加
- 成長枠(旧通常枠)・回復・再生応援枠・緊急対策枠の補助額・補助率の改悪
改悪される点もあれば、改善された点もあります。
詳しくは下記の通り。

(経済産業省関係令和4年度第2次補正予算案の事業概要(PR資料)P17)
具体的な内容について解説していきます。
申請枠の大幅な変更
2023年度(令和5年度の)の事業再構築補助金では申請枠が大幅な変更となりました。
詳しくは下記の通り。
2023年度(変更後) | 2022年度(変更前) |
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既存の通常枠が変更となり、成長枠という名称になりました。名称変更に伴い、内容も変更となっています。
大規模賃金引上枠は撤廃される方向ですが、実質的には通常枠の中に組み込まれるという形になりそうです。
産業構造転換枠(新設)・サプライチェーン強靱化枠(新設)が新設されました。
グリーン成長枠は申請者数が少ないためか、要件が緩和されるエントリー枠が新たに追加される予定となっています。
各変更点について解説していきます。
売上高等減少要件が撤廃に!
成長枠(旧通常枠)など、主要な類型で売上高等減少要件が撤廃されます。
売上高等減少要件とは下記の要件のことです。
2020 年 4 月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019 年又は 2020 年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して 10%以上減少していること等【売上高等減少要件】
(※)売上高に代えて付加価値額を用いることも可能です。
簡単に説明すると、コロナ前よりもコロナ後の方が売上高や付加価値が減少していなければ事業再構築補助金に申請できなかったということです。
以前もグリーン成長枠でも売上高等減少要件は撤廃されていましたが、2023年度からはメインの類型である成長枠での撤廃が決定しました。
そのため、コロナ後の方が売上高が伸びた、コロナ後でも売上高がそこまで落ちていない、コロナの影響はあったが10%も減少していないという企業も2023年度からは事業再構築補助金に申請できるようになりました。
今まで申請できなかった事業者にとっては大きなチャンスとなるでしょう。
市場拡大要件が追加
一方で、成長枠(旧通常枠)で市場拡大要件が追加されました。
「取り組む事業が、過去~今後のいずれか 10 年間で、市場規模が 10%以上拡大する業種・業態に属していること【市場拡大要件】」
市場規模が10%以上拡大する業種・業態については事業再構築補助金事務局が指定しています。
つまり、原則として事業再構築補助金事務局側が指定した事業しかできないということになります。
対象となる業種・業態については「◆成長枠の対象となる業種・業態の一覧」の中で紹介されています。
詳細は下記の通り。


対象者が広がった反面、対象となる事業は大幅に縮小したといえるでしょう。
市場拡大要件が求められるのは「成長枠、卒業促進枠(成長枠)、大規模賃金引上枠(成長枠)」です。
一方で、「グリーン成長枠、卒業促進枠(グリーン成長枠)、大規模賃金引上枠(グリーン成長枠)、産業構造転換枠、サプライチェーン強靱化枠、最低賃金枠、物価高騰対策・
回復再生応援枠」は市場拡大要件が必要ありません。
指定された業種以外で申請したい場合は他の類型を利用できないか検討してみてください。
給与総額増額要件が追加
市場拡大要件に加えて、下記の給与総額増額要件も追加されました。
「事業終了後 3~5 年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること【給与総額増加要件】」
インフレ率を超える給与増額が求められています。
「正当な理由無く、上記の水準に達していなかった場合には、その事業者名を公表します」と公募要領中でも記載がありますので、確実に達成できるように事業計画を策定していく必要があります。
給与総額増額要件が求められるのは「成長枠、卒業促進枠(成長枠)、大規模賃金引上枠(成長枠)、グリーン成長枠、卒業促進枠(グリーン成長枠)、大規模賃金引上枠(グリーン成長枠)」一方で、「産業構造転換枠、サプライチェーン強靱化枠、最低賃金枠、物価高騰対策・回復再生応援枠」は給与総額増額要件が必要ありません。
成長枠(旧通常枠)の変更点
成長枠(旧通常枠)では下記の点が変更になりました。
2023年度(変更後) | 2022年度(変更前) |
【補助額】
【補助率】
売上高減少要件なし 指定された事業しかできない 給与総額増額要件あり | 【補助額】
【補助率】
売上高減少要件あり 新規事業に指定なし 給与総額増額要件あり |
改悪点として上限補助額の減額・補助率の減少があります。
上限補助額が8,000万円から7,000万円に減額となりました。
また大きな改悪となったのが補助率です。
以前までは中小企業が2/3、中堅企業が1/2だったのに対して、第10回公募では中小企業が1/2、中堅企業が1/3となりました。
このことから、第9回公募で申し込みできる事業者は第9回で申し込みするべきといえるでしょう。
一方で大きな改善となったのが売上高減少要件の撤廃です。
上限の補助枠がやや縮小し、補助率が減少したという大きな改悪がありますが、売上高減少要件の撤廃は非常に大きいメリットです。
以前までの事業再構築補助金は業績好調な増収増益企業は売上高減少要件があったため、申請することができませんでした。
しかしながら、今回の売上高減少要件の撤廃により、ほとんどの中小企業・中堅企業が申し込みできるようになりました。
反面、第10回公募では新たに市場規模拡大要件・給与総額増額要件が追加されました。
今までは新規事業に制限はありませんでしたが、第10回公募からは事務局が指定した業種・業態の新規事業しかできなくなりました。
また、給与も増額させなければならないため、業績が好調で攻めの姿勢を行う企業が対象となるといえるでしょう。
回復・再生応援枠・緊急対策枠の変更点
回復・再生応援枠と緊急対策枠が一つになり、「物価高騰対策・回復再生応援枠」となりました。
詳細は下記の通り。
2023年度(変更後) | 2022年度(変更前) |
【補助額】
【補助率】
| 【補助額】
【補助率】
|
産業構造転換枠(新設)
2023年度(令和5年度)は新たに産業構造転換枠が創設されました。
簡単な概要は下記の通り。
事業概要 | 国内市場の縮小等の産業構造の変化等により、事業再構築が強く求められる業種・業態の事業者に対し、補助率を引き上げる等により、重点的に支援します |
補助額 |
※廃業を伴う場合は2,000万円増額 |
補助率 | 中小・・1/2 中堅・・1/3 |
ガソリン車・ハイブリッド車の部品製造のような縮小が余儀なくされている企業に対する枠のように思われます。
補助率・補助額が成長枠と変わらないので、採択率が優遇されるものと考えられます。
サプライチェーン強靱化枠(新設)
新設された枠として、サプライチェーン強靱化枠もあります。
簡単な概要は下記の通り。
事業概要 | 海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化及び地域産業の活性化に資する取組を行う事業者を支援します。 |
補助額 | 5億円 |
補助率 | 中小・・1/2 中堅・・1/3 |
円安により日本で生産するコストが相対的に安くなっていることや中国でのカントリーリスクが高まっていることを背景にした申請枠と考えられます。
補助額は5億円と最大級となっていますが、対象となる企業はそこまで多くないかと思われます。
グリーン成長枠(要件緩和)
グリーン成長枠はエントリー枠が追加され、要件が緩和される予定となっています。
現段階での変更点は下記の通り。
2023年度(変更後) | 2022年度(変更前) |
【補助額】 エントリー枠
スタンダード枠
| 【補助額】
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第10回公募のスケジュール、締め切り
第10回公募のスケジュール、締め切りは下記の通り。
【公募期間】
公募開始:令和5年3月30日(木)
申請受付:調整中(6月上旬予定)
応募締切:令和5年6月30日(金)18:00
スケジュール的には余裕がありますが、第10回公募はライバルが多くなるため激しい競争が予想されます。
しっかりと事前に対策していく必要があるといえるでしょう。
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