大規模成長投資補助金という注目の補助金の公募が開始されました。
その名の通り、投資金額が10億円以上、補助上限金額が50億円と大規模な投資を行う事業者向けの補助金です。
一般的な補助経費もさることながら、建設費なども補助対象となっており、幅広い補助対象経費も魅力的といえます。
そこで今回は大規模成長投資補助金のスケジュールとポイントについて解説していきます。
大規模成長投資補助金とは?
大規模成長投資補助金は、中堅・中小企業の大規模な投資を促進し、持続的な賃上げを実現する目的で設立された補助金です。
(中堅・中⼩成⻑投資補助⾦事務局 「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」 )
補助金の予算の総額は3000億円。
特に大規模なプロジェクトに対して、過去最大規模の補助上限額として50億円となっています。
補助率は1/3以下となっているものの、幅広い補助対象経費となっており、会社を大きく成長させたいと考えている企業の方にとっては最適な補助金であるといえるでしょう。
内容について具体的に解説していきます。
補助対象者
補助対象者は、従業員数が2,000人以下の中堅・中小企業です。みなし大企業、つまり大企業の子会社や課税所得が15億円を超える企業は対象外とされます。
採択率
採択率は低くなることが予想されています。
補助上限金額が高い一方で、補助金の予算はそこまで多くないためです。
(補助上限金額が50億円に対して、予算総額は3000億円程度)
また、補助金全般的に補助上限金額が高ければ高いほど、採択率が低くなる傾向にあります。
そのため、大規模成長投資補助金の採択率も同様に低ければ数%、高くても10~20%程度になることが予想されます。
賃上要件
補助事業の終了後3年間で、対象事業に関わる従業員1人当たりの給与支給総額の年平均成長率が、事業実施場所の都道府県の直近5年間の最低賃金の年平均成長率以上である必要があります。目標が達成できなかった場合は、補助金の返還が求められる可能性があるため注意が必要です
補助対象経費
主な対象経費には、新設される工場や大規模施設の建設費用、中古物件の取得が含まれます。さらに、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費も補助対象となります。
一方で、建物の単なる購入や賃貸、土地代などは補助対象外です
事業計画書作成のポイント
事業計画書の作成は、大規模成長投資補助金を含む様々な補助金や資金調達の申請で重要なステップです。審査ポイントを踏まえ、効果的な事業計画書を作成するためのキーポイントを解説します。
1. 先進性と成長性の強調
- 製品・サービスの差別化: 補助事業で開発または導入される製品やサービスが、どのように市場内で独自の地位を確立し、競合と差別化されるかを明確に説明してください。
- 労働生産性の向上: 投資によって労働生産性がどのように向上し、人手不足問題がどう改善されるかを示す必要があります。
- 売上高の成長予測: 補助事業関連の製品・サービスが市場の成長率を上回る売上をどのように達成するかの具体的な計画を提示してください。
2. 地域への波及効果の証明
- 経済的影響: 従業員1人当たりの給与増加、雇用創出、取引額の増加など、地域経済に与える具体的な影響を数値で示してください。
- コンソーシアムの利点: コンソーシアム形式で申請する場合は、リーダーシップの発揮や連携による相乗効果を具体的に説明してください。
3. 大規模投資と費用対効果の分析
- 投資の正当化: 投資が収益規模に見合ったリスクを背負っていること、補助金額に対する付加価値の大きさをどのように保証するかを説明してください。
- 行動変容の証明: 企業がこれまでにない成長や賃上げを目指していることをどのように示しているかを強調してください。
4. 実現可能性の確認
- 財務状況と実施体制: 財務状況の健全性とプロジェクトを成功に導くための組織体制を詳細に記載してください。
- 事業化計画の具体性: 課題設定、解決策、タイムラインなど、補助事業の実現可能性を具体的に示してください。
5. 経営力の証明
- 長期ビジョンの提示: 5~10年後の社会への価値提供に関する長期ビジョンを展開してください。
- 事業戦略の明確化: 外部環境や内部環境を踏まえた事業戦略を、補助事業を含めて具体的に記述してください。
- 成果目標と経営管理: 定量的な成果目標と、その達成に向けた効率的な体制の構築情報を記述してください
各審査ポイントについては事業再構築補助金と似ている部分も非常に多い傾向にあります。
そのため、過去の事業再構築補助金の採択事例を参考に、事業計画書を作成していくのもおすすめです。「事業再構築補助金 事業計画書」事例紹介 事業再構築補助金事務局HP」
大規模成長投資補助金の注意点
大規模成長投資補助金の注意点としては下記が挙げられます。
- 建物費がメインの経費となるため、建物費を使わない場合はおすすめできない
- 一次公募での申し込みを強くおすすめ(予算が少ないため)
- 二次審査はプレゼンがある
具体的に解説していきます。
1. 建物費が主要な経費となる
大規模成長投資補助金は、新設される工場や大規模施設の建設費用など、建物に関連する費用を主要な補助対象としています。
そのため、建物費を主体としない事業計画の場合、この補助金を活用するメリットは少ないかもしれません。
2. 一次公募での申し込みが推奨される
補助金全体の予算には限りがあるため、初期の段階で申し込みを行うことをおすすめします。
一次公募の段階で多くの申請が集まることが予想されるため、早めの準備と申請が成功の鍵となります。
遅れて申請すると、予算が枯渇してしまい、採択率が下がる・二次募集をやらないなど審査を受ける機会を逃してしまう可能性が高まります。
3. 二次審査にプレゼンテーションが含まれる
大規模成長投資補助金の申請プロセスでは、書類審査を通過した後に二次審査があり、従前の補助金とは異なり、プレゼンテーションがあります。
一般的な補助金ではプレゼンテーションまで行く機会は少ないですが、大規模成長投資補助金ではプレゼンテーションも審査に含まれます。
プレゼンテーションは慣れが必要なので、事前にしっかりと準備しておくことをおすすめします。
大規模成長投資補助金のスケジュール
「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」の2024年のスケジュールは以下を予定しています。
- 2⽉20⽇︓概要資料の公表(本資料)本事業に関する質問の募集開始
- 3⽉6日(水)︓1次公募開始 事務局コールセンター開設
- 4月30日(火)︓1次公募 締切
- 5月中旬〜6⽉中旬︓審査
- 6月中下旬頃︓ 採択発表(以降順次、交付決定)
- 補助事業期間: 最長令和8年(2026年)12月末まで
- 補助事業終了後3年間: 賃上げのフォローアップ
3月6日に公募開始、4月30日が一次公募の締切で、5月から6月にかけて審査が行われ、6月中旬に採択発表があります。
事業実施期間は令和8年12月末までで、その後3年間は賃上げのフォローアップが続けられることが予定されています。
まとめ
今回は大規模成長投資補助金のスケジュールとポイントについて解説してきました。
ポイントは下記の通り。
- 大規模成長投資補助金は過去最大規模の補助上限金額が50億円の大型補助金
- 予算は限られているため、一次での公募申し込みをおすすめ
- 建物費が主要な経費となり、新築や中古の購入も含まれる
- 審査ポイントを踏まえた事業計画の策定が求められる
弊社では、事業再構築補助金やものづくり補助金などの補助金サポートの実績が豊富にあります。
中堅・中小企業向けの「大規模成長投資補助金」についてもサポートしておりますので、気になることがありましたら、まずお気軽にご相談いただければと思います。
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