「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」(中堅・中小成長投資補助金)の公募が令和6年3月6日(水)より始まりました。公募締切は令和6年4月30日(火)17:00(厳守)となります。
弊社でも、大規模成長投資補助金(中堅・中小成長投資補助金)の申請サポートを行っております。詳細は以下の記事を参照ください。
先日、「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金(中堅・中小成長投資補助金)」の概要が中堅・中小成長投資補助金事務局から公表されておりましたが、概ね内容は同一のようでした。
2024年度最も注目されている補助金の一つである「中小企業省力化投資補助事業(省力化投資補助金)」が、中小企業・零細企業をターゲットとしたものであるのに対して、今回の「大規模成長投資補助金」は「中堅・中小企業」がターゲットとなります。
ただし、対象に「中小企業」が含まれているとはいえ、「投資額10億円以上」という条件があるため、実際には「中堅企業及び大型の中小企業」がターゲットになると思われます。
中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金(中堅・中小成長投資補助金)とは
大規模成長投資補助金は、中⼩企業が「持続的な賃上げ」を⽬的として、⾜元の⼈⼿不⾜に対応した省⼒化等による労働⽣産性の抜本的な向上と事業規模の拡⼤を図るために⾏う⼯場等の拠点新設や⼤規模な設備投資に対して補助を⾏います。
大規模成長投資補助金の概要は下記の通りとなります。
項目 | 内 容 |
1 補助対象者 | 中堅・中⼩企業(常時使⽤する従業員数が2,000⼈以下の会社等) |
2 補助対象要件 | ①投資額10億円以上(専⾨家経費・外注費を除く補助対象経費分) ②賃上げ要件を達成すること(詳細は以下のとおり)補助事業の終了後 3 年間の補助事業に関わる従業員及び役員の1人当たり給与支給総額が、補助事業実施場所の都道府県における直近5年間(2018 年度を基準とし、2019 年度~2023 年度の5年間を指す)の最低賃金の年平均上昇率以上であることが必要。 |
3 補助対象経費 | 建物費(拠点新設・増築・回収、中古建物の取得費用等)、機械装置費(器具・備品費含む)、ソフトウェア費(ソフトウェアや情報システムの購入・構築等)、外注費、専⾨家経費 ※建物費は⽣産設備等の導⼊に必要なものに限ります。なお、⼟地代は対象外です。 |
4 補助上限額 | 50億円(補助率1/3以内) |
5 事業期間 | 交付決定日から最長で令和 8 年 12 月末まで (補助事業終了後の賃上げのフォローアップは3事業年度分) |
6 予算額 | 総額3,000億円(令和8年度までの国庫債務負担含む) ※令和5年度補正予算1,000億円 |
(中堅・中⼩成⻑投資補助⾦事務局 「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」 )
次に補助事業のポイントを見ていきましょう。
大規模成長投資補助金(中堅・中小成長投資補助金)のポイント
令和6年3月6日に公表された「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」の公募要領によると、大規模成長投資補助金のポイントは3つあります。
投資額
10億円以上(外注費・専⾨家経費を除く補助対象経費分)
※ 投資場所が複数地域になる場合も対象となりますが、補助事業の⽬的・内容が⼀体的であることが必要となります。
賃上げ
補助事業の終了後 3 年間の補助事業に関わる従業員及び役員の1人当たり給与支給総額が、補助事業実施場所の都道府県における直近5年間(2018 年度を基準とし、2019 年度~2023 年度の5年間を指す)の最低賃金の年平均上昇率以上であることが必要。
一言で言うと、各都道府県における最低賃金の伸び率以上に賃上げしてください、ということになります。
成長投資計画の策定
企業全体における成⻑ビジョン(⻑期経営計画)を含めた成長投資計画の策定
応募時の審査では本補助金の趣旨に沿った成長投資計画を策定しているか確認し、評価の高
いものから補助金交付候補者として採択されます。
なお、採択されたことをもって応募時に計上している経費がすべて補助対象として認められる訳ではありません。
交付審査時に以下の経費区分に該当しないと判断される経費を計上されている場合は補助対象外となりますので、予めよくご確認の上申請してください。
※持続的な賃上げの実現には、補助⾦を活⽤した事業セグメントの成⻑のみならず、補助事業を通じて企業⾃⾝(経営全体)の持続的な成⻑につながっていくことが重要であることに鑑み、成⻑ビジョンの中での補助事業の位置付けや補助事業が企業⾃⾝の成⻑にどのようにつながるかについて、投資判断に必要な「経営⼒」の観点から、策定された事業計画や外部有識者へのプレゼン審査を通じて確認します。
補助対象経費
「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」に関する補助対象経費は以下の通りとなります。
項目 | 詳細 | 備考 |
1 建物費 | 専ら補助事業のために使⽤される⽣産施設、加⼯施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他事業計画の実施に不可⽋と認められる建物の建設、増築、改修、中古建物の取得に要する経費 | 建物の単なる購⼊や賃貸は対象外。また、⽣産設備等の導⼊に必要なものに限り、「⼟地」は補助対象外。 建物と切り離すことのできない付帯設備は原則として建物費に含めるが、「構築物」は補助対象外。 |
2 機械装置費 | ① 専ら補助事業のために使⽤される機械装置、⼯具・器具(測定⼯具・検査⼯具等)の購⼊、製作、借⽤に要する経費 ② ①と⼀体で⾏う、改良・修繕、据付け⼜は運搬に要する経費 | 減価償却資産の耐⽤年数等に関する省令(昭和40年⼤蔵省令第15号)における「機械及び装置」、「器具及び備品」、「⼯具」に係る経費が対象であり、「構築物」、「船舶」、「航空機」、「⾞両及び運搬具」に係る経費は補助対象外。機械装置と切り離すことのできない付帯⼯事は原則として機械装置費に含める。 |
3 ソフトウェア費 | ① 専ら補助事業のために使⽤される専⽤ソフトウェア・情報システム等の購⼊・構築、借⽤、クラウドサービス利⽤に要する経費 ② ①と⼀体で⾏う、改良・修繕に要する経費 | |
4 外注費 | 補助事業遂⾏のために必要な加⼯や設計、検査等の⼀部を外注(請負・委託)する場合の経費 ※上限は、1〜3の合計経費未満 | |
5 専門家経費 | 補助事業遂⾏のために依頼した専⾨家に⽀払われる経費 ※上限は、1〜3の合計経費未満 | 本事業の遂⾏に専⾨家の技術指導や助⾔が必要である場合の専⾨家に依頼したコンサルティング業務や旅費等の経費が対象。応募申請時の事業計画の作成に要する経費は補助対象外。 |
事業スキームについて
「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」に事業スキームは以下の通りとなります。
【注意】事務局への申請等は全て電子申請となり、申請には「GビズIDプライムアカウント」が必要です。GビズIDプライムアカウントは、専用ホームページで必要事項を記載し、必要書類を郵送して作成することができます。
アカウントの発行に時間を要する場合がありますので、申請をご検討の方は早めにIDを取得することをおすすめいたします。
事業計画・審査のポイントについて
大規模成長投資補助金(中堅・中小成長投資補助金)では成長投資計画書(事業計画書)の作成が必須であり、それについて審査が行われて採択・不採択が決まります。
審査は以下の5つの項目を定量的・定性的に審査し、採択事業者を決定します。
① 経営力
② 先進性・成長性
③ 地域への波及効果
④ 大規模投資・費用対効果
⑤ 実現可能性
よくある質問について
大規模成長投資補助金(中堅・中小成長投資補助金)のよくある質問について、以下のようなQ&Aの記載があります(要点を抜粋)。
- Q1. 2次公募の予定はありますか。
- A1. 1次公募の終了後に2次公募を⾏う予定です。採択数や予算の配分は、執⾏状況に応じて検討します。
- Q2. 当社は、製造業で、資本⾦1億円・常時使⽤する従業員数3,000⼈であり、中⼩企業基本法における中⼩企業者の定義に該当しますが、補助対象者の要件に該当しますか。
- A2. 本事業では、資本⾦の⾦額によらず、常時使⽤する従業員数が2,000⼈以下の会社等を補助対象者としているため対象外です。
- Q3. 同じ事業者が複数回応募することは可能でしょうか。
- A3. 同じ公募期間内において、同⼀の事業者が申請できる事業計画は1件までです。なお、1次公募で不採択となった場合、2次公募に申請することは可能です。ただし、1次公募で採択され、交付決定を受けた事業者については、2次公募でさらに採択を受けることは できません。
- Q4. 補助事業の内容に制限はありますか。
- A4. 補助対象とする事業の内容が、農作物の⽣産⾃体に関するものなど1次産業を主たる事業としている場合は対象外となります。ただ し、1次産業を営む事業者であっても、補助対象とする事業の内容が2次・3次産業に関する事業である場合は対象となり得ます。
- Q5. 採択される前に着⼿している事業でも、補助対象になりますか。
- A5. 交付決定より前に契約(発注含む)を⾏った経費については、補助対象外となります。そのため、採択された後であっても、交付決定前までに契約(発注含む)している経費については、補助対象外となりますのでご注意ください。
- Q6. 複数の地域で投資を⾏う場合も対象になりますか。また、対象になる場合、賃上げの要件に適⽤される基準値はどのように設定されるのでしょうか。
- A6. 補助事業の⽬的・内容が⼀体的であれば、投資場所が複数地域になる場合も対象となります。その場合、賃上げ要件については、事業実施場所ごとの基準値を適⽤しますので、事業実施場所ごとに賃上げ率を設定していただきます。127.よくあるご質問(2/2)
- Q7. 設備投資に当たって、リースを活⽤することは可能でしょうか。
- A7. 機械装置やソフトウェアに限り、リースやレンタルについて、交付決定後に契約したことが確認できるもので、事業期間中に要する経費については対象とすることが可能です。契約期間が事業実施期間を超える場合、按分等により算出された事業実施期間分の経費が対象となります。
- Q8. 補助⾦の概算払いは可能ですか。
- A8. 原則、補助⾦は精算払い(補助事業終了後に確定検査を経て⽀払い)としますが、補助事業終了前でも、個別の⽀出状況に応じて補助⾦を交付するといった柔軟な対応をいたします。
- Q9. 審査はどのように⾏われるのでしょうか。
- A9. 申請のあった事業計画に基づく1次審査を⾏い、通過した申請者は、2次審査として経営⽀援等を⾏う外部有識者に対するプレゼン審査(対話形式)を⾏います。当該審査を通じて、政策⽬的に沿った優れた提案を⾏った事業者を採択します。事業計画・審査のポイントについては、10ページ⽬をご参照ください。
- Q10. 賃上げ要件について、補助事業の終了後3年間は、毎事業年度、申請時に掲げた⽬標以上の賃上げ率を満たしていなければ、補助⾦を返還しなければならないのでしょうか。
- A10.補助⾦の返還対象の有無は、補助事業の終了後3年間の対象事業に関わる従業員1⼈当たり給与⽀給総額の伸び率(年平均成⻑率)が、申請時に掲げた賃上げ伸び率の⽬標以上であるかどうかで確認します。
弊社のサポートについて
弊社は大規模成長投資補助金(中堅・中小成長投資補助金)の申請サポートを提供しております。
この補助金の補助率は「1/3」とそこまで高くありませんが、金額が非常に大きいため、相当に審査の難易度の高いことが予想されます。
また、補助金の申請から受給までかなりの長期間に及び、その間も多くの悩み事・課題や事務局とのやり取りも多々出てくるでしょう。そのため、長期間に渡って伴走してくれる、信頼できる補助金コンサルタント・パートナーを見つけることが早道とも言えます。
弊社では、公認会計士が中心となり、事業再構築補助金、ものづくり補助金などの経済産業省や中小企業庁の補助金の支援、サポートの実績が数多くあります。
「大規模成長投資補助金」のお申込みをご検討の中堅・中小企業様は、お気軽にお問い合わせをいただければと思います。
大規模成長投資補助金のスケジュール
「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」の2024年のスケジュールは以下を予定しています。
- 2⽉20⽇︓概要資料の公表(本資料)本事業に関する質問の募集開始
- 3⽉6日(水)︓1次公募開始 事務局コールセンター開設
- 4月30日(火)︓1次公募 締切
- 5月中旬〜6⽉中旬︓審査
- 6月中下旬頃︓ 採択発表(以降順次、交付決定)
- 補助事業期間: 最長令和8年(2026年)12月末まで
- 補助事業終了後3年間: 賃上げのフォローアップ
最新の情報は、補助⾦事務局のホームページをご確認ください。
まとめ
今回は大規模成長投資補助金(中堅・中小成長投資補助金)の概要についてて解説してきました。ポイントは下記の通り。
- 補助対象の事業者: 中堅・中小企業
- 補助対象要件: 投資額10億円以上、一定の賃上げ要件あり
- 補助対象の対象経費: 建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費
- 補助率と上限額: 補助率は1/3以内、補助上限額は50億円
- スケジュール:3⽉6日に1次公募が開始、4月30日に締切
弊社では、事業再構築補助金やものづくり補助金などの補助金サポートの実績が豊富にあります。
大規模成長投資補助金(中堅・中小成長投資補助金)についてもサポートしておりますので、気になることがありましたら、まずお気軽にご相談いただければと思います。
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