新事業進出補助金を活用して、新規事業のための設備投資や建物の新築を計画する中小企業経営者の中には、
「銀行融資を受けるために建物や土地に担保を付けたいが、補助金のルール上大丈夫なのか?」
「根抵当権と抵当権の違いが分からず、どちらが認められるのか不安…」
といった疑問を持つ方が少なくありません。
実は、補助金で取得した財産(処分制限財産)に対する担保権の設定には厳しいルールがあります。特に、根抵当権は補助金制度上原則として禁止されているため、知らずに手続きを進めると補助金返還のリスクさえ生じます。
本記事では、
根抵当権と抵当権の違い
新事業進出補助金における担保権のルール
抵当権・根抵当権を設定した場合のモデルケース
資金調達と補助金を両立させるための注意点
をわかりやすく解説します。
✅ 新事業進出補助金で取得した建物等に抵当権を設定できるケース
✅ 根抵当権と抵当権の違いと、なぜ根抵当権が禁止されるのか
✅ 抵当権を設定した場合の具体的な資金調達例
✅ 根抵当権を設定してしまった場合に起こるリスク
✅ 駒田会計事務所による補助金と融資の調整サポート
Contents
根抵当権と抵当権の違いとは?
まず、補助金のルールを理解する上で重要なのが、「根抵当権」と「抵当権」の性質の違い」です。
根抵当権と抵当権の違いについて解説していきます。
抵当権
抵当権の特徴は下記の通り。
- 特定の債権(例えば、ある融資契約で借りた5,000万円)を担保するために設定される
- 担保の対象は明確で、借入金の返済が終われば抵当権は抹消できる
- 担保権の範囲が限定的なため、補助金のルールでも条件付きで設定が認められる場合がある
最も大きな特徴として借入が終われば、抵当権は消えるということです。
そのため、抵当権については事前申請をすることで、補助対象経費として認められることがあります。
根抵当権
一方で、問題となりやすいのが根抵当権です。
根抵当権の特徴は下記の通り。
- 将来発生する可能性のある複数の債権(継続的な取引や複数回の借入)をまとめて担保するための権利
- 担保の範囲が広く、どの債権のために担保が実行されるかが不特定
- この性質上、補助金対象の建物や設備を根抵当権の対象とすると、補助金の目的外に流用されるリスクが高い
補助金制度が根抵当権を禁止するのは、「将来の不特定債権にまで補助金財産が使われることを防ぐため」です。
根抵当権と抵当権の違いをモデルケースで解説
根抵当権と抵当権は、いずれも不動産を担保として借入を行う際に設定される権利ですが、担保の対象や使われ方が大きく異なります。
違いを理解するために、それぞれの典型的な利用シーンを見てみましょう。
抵当権を設定するケース(単発の借入に使う場合)
ケース1:工場新築のために5,000万円を銀行から借り入れる場合
製造業のA社が工場を新築するために銀行から5,000万円を借り入れるとします。この場合、銀行は融資の返済を担保するため、A社が新築する工場や所有する土地に抵当権を設定します。
抵当権は、この5,000万円という特定の債権を担保するためのものです。
借入金を返済し終えれば、抵当権は抹消されます。
担保の対象や範囲が明確なので、借入の目的や債務の管理がしやすいのが特徴です。
このように、抵当権は一度きりの借入や特定の融資に対して設定されるのが一般的です。
根抵当権を設定するケース(継続的な取引や複数借入に使う場合)
ケース2:運転資金や仕入資金など、繰り返しの借入を行う場合
小売業のB社が銀行と取引を続ける中で、仕入資金や運転資金のために都度借入を行うとします。
毎回新しい抵当権を設定・抹消するのは手間がかかるため、銀行と契約して、B社所有の土地に根抵当権を設定することがあります。
根抵当権は、将来発生する複数の債権(たとえば仕入資金の借入、短期運転資金の借入など)をまとめて担保するために利用されます。
借入が返済されても、根抵当権の極度額(担保できる上限額)が残る限り、銀行は同じ担保を使って新たな借入を担保できます。
継続的な資金需要がある企業にとっては便利ですが、担保が長期間拘束されるというデメリットもあります。
2つの違いを整理すると?
抵当権は「1回の借入を担保」するシンプルな仕組み
根抵当権は「将来にわたる複数の借入をまとめて担保」する柔軟な仕組み
その分、根抵当権の方が契約範囲が広く、企業の資金繰りに柔軟性を持たせますが、担保の解放が難しい場合があるため、利用には慎重さが求められます。
新事業進出補助金における「処分制限財産」とは?
新事業進出補助金を活用して取得した建物や高額な設備等は、処分制限財産として取り扱われます。
補助金を活用して取得した財産が、補助事業の目的から逸脱して売却・担保提供などに使われないようにするための制度です。
処分制限財産に該当する場合、原則として第三者への譲渡や抵当権設定などの「担保に供する処分」は認められません。違反すると補助金の返還やペナルティの対象となる可能性があるため注意が必要です。
新事業進出補助金の公募要領の中には下記の通り記載があります。
処分制限財産である建物等に対して、抵当権などの担保権を設定することは、「担保に供する処分」に該当するため、原則認められません。ただし、補助事業遂行のための必要な資金調達をする場合に限り、担保権実行時に納付をすることを条件に認められます。必ず、事前に事務局の承認を受ける必要があります。
なお、処分制限財産である建物等に対して、根抵当権の設定を行うことは認められません。また、根抵当権が設定されている土地に、補助事業により建物を新築する場合は、根抵当権設定契約において、処分制限財産となる建物等に対する追加担保差入条項を定めることは認められません。
※ 仮登記及び登記留保は本登記と同様に取り扱います。したがって、抵当権の仮登記及び登記留保は事前に事務局の承認を受けることが必要であり、根抵当権の仮登記及び登記留保は認められません。
つまり、根抵当権は不可、抵当権は条件付でOK
つまり、新事業進出補助金においては下記の扱いになります。
根抵当権:不可(本登記・仮登記・登記留保すべて禁止)
将来発生する不特定多数の債権まで担保対象となるため、補助事業以外の債務返済に流用されるリスクがあるためです。抵当権:条件付きでOK
補助事業遂行のための資金調達を目的とする場合に限り、事務局の事前承認を得る
抵当権実行時に補助金返還分を含めた納付を行う
という条件を満たせば設定可能です。
補助金を使った財産を担保にできるのは「抵当権のみ」「厳格な条件付き」で、根抵当権は一切認められないというルールです。
土地に既存の根抵当権がある場合の注意点
新事業進出補助金においては、建物を新築する場合、建築予定地に根抵当権が既に設定されているときも注意が必要です。
根抵当権契約に基づき、新築する建物を「追加担保」として差し入れることは、補助金制度上認められません。
銀行と調整し、建物を担保の対象から外すか、根抵当権の解除を行う必要があります。
根抵当権の解除方法と注意点
上記の通り、根抵当権は、将来にわたる複数の借入や継続的取引を担保する便利な制度ですが、一度設定すると長期間担保が拘束されるという特徴があります。
そのため、新たな事業計画や補助金を使った投資の際には、根抵当権を解除する必要があるケースが少なくありません。
ここでは、根抵当権の解除手続きの流れと注意点を整理します。
根抵当権の解除方法
根抵当権の解除には、大きく分けて「債務完済による抹消」と「契約上の合意による解除」の2つの方法があります。
1. 債務を全額返済して抹消する方法
根抵当権の極度額内で借入がある場合は、その借入金をすべて返済します。
借入がゼロになったことを確認した上で、金融機関から「根抵当権抹消書類(登記原因証明情報、委任状など)」を受け取ります。
司法書士を通じて法務局で抹消登記を行います。
注意点
根抵当権は借入残高がゼロになっても、自動的には抹消されません。
登記簿上で権利が残ったままだと、新規融資や補助金活用時の障害になります。
2. 極度額をゼロにするか、契約期間満了で解除する方法
根抵当権契約には、極度額(担保できる上限額)と契約期間が定められています。
契約期間が満了していれば、借入がなくても解除の申し出が可能です。
金融機関と合意し、抹消登記の手続きを進めます。
注意点
契約期間満了前でも、銀行の承諾があれば極度額をゼロにする契約変更ができます。
ただし、銀行側に担保を外すインセンティブが少ない場合、交渉が必要です。
根抵当権解除の具体的な流れ
根抵当権の解除の具体的な流れは下記の通りです。
借入残高の確認
現在の借入額と極度額を確認し、完済や極度額ゼロの見通しを立てます。金融機関に解除の意向を伝える
補助金活用や新規融資のために担保を解放したい旨を説明します。金融機関と協議
完済スケジュールや、場合によっては代替担保の提供を交渉します。抹消登記の準備
金融機関から抹消書類を受け取り、司法書士に依頼して法務局で登記手続きを行います。登記完了証の受け取り
登記簿上で根抵当権が削除されたことを確認します。
根抵当権解除の際の注意点
根抵当権の解除の際は下記の点の注意が必要です。
借入がなくても自動的には消えない
根抵当権は借入がゼロでも残り続けるため、必ず抹消登記が必要です。抹消には金融機関の協力が不可欠
抹消書類(登記原因証明情報や委任状)は銀行で発行されるため、必ず連絡と交渉が必要です。補助金や新規融資の審査に影響する
根抵当権が残っていると、新築物件を担保に入れられない、補助金対象財産とできないなどの支障が出る場合があります。費用がかかる
登録免許税や司法書士報酬が発生します(一般的には数万円〜)。
よくあるトラブルと注意点
根抵当権を解除せずに補助金や融資を進めようとすると、以下のトラブルが発生することがあります。
補助金の交付決定が遅れる(処分制限財産に根抵当権が残っているため)
解除に時間がかかり、補助金の申請期限に間に合わない
追加担保を求められ、金融機関との交渉が難航する
特に補助金の申請スケジュールは厳格なため、根抵当権の解除準備を早めに進めることが成功の鍵となります。
この他にも新事業進出補助金においては多数の注意点があります。
「新事業進出補助金の採択後の注意点とは?」の記事の中でもありがちなトラブルについて記述していますので、ぜひ参考にしてみてください。
補助金と融資を両立させるためのポイント
補助金を活用する事業では、自己資金だけでなく銀行融資を組み合わせるのが一般的です。
しかし、担保権の設定ルールを誤ると、補助金の採択が取り消されるリスクや、補助金返還のトラブルにつながります。
安全に進めるためには、
補助金制度のルールに精通した専門家
金融機関との担保契約調整が可能なコンサルタント
に相談することが重要です。
駒田会計事務所では、
新事業進出補助金の申請サポート
融資と担保契約のチェック
をワンストップで対応しています。
補助金と融資を両立させ、安心して新事業に挑戦したい経営者様は、ぜひご相談ください。
まとめ
今回は、新事業進出補助金における根抵当権と抵当権の取り扱いについて解説しました。重要なポイントは次の通りです。
補助金で取得した建物や設備(処分制限財産)には、根抵当権の設定は一切不可(本登記・仮登記・登記留保すべて禁止)
抵当権は、補助事業の資金調達を目的とし、事務局の承認と補助金返還時の納付を条件に設定可能
土地に既存の根抵当権がある場合、新築建物を追加担保にすることも禁止
根抵当権を解除するには、借入完済や極度額ゼロ化、契約期間満了を活用し、金融機関と調整の上で抹消登記が必要
補助金と融資を安全に両立させるには、制度に詳しい専門家のサポートが不可欠
根抵当権の解除や担保権の設定は、融資や補助金の採択に大きく影響します。駒田会計事務所では、金融機関との交渉から登記の手続き、補助金申請支援までワンストップで対応しています。
補助金と融資を安心して組み合わせ、新規事業を円滑にスタートさせたい方は、ぜひご相談ください。
まずは無料相談から始めてみませんか?
「自分の事業が補助対象になるか分からない」「どのように申請すればいいか不安」という方も、まずはお気軽にご相談ください。
駒田会計事務所では、初回無料相談を通じて、事業内容やビジョンに合った補助金の活用方法をご提案しています。
- 採択実績300件以上:ものづくり補助金・事業再構築補助金等
- 「新事業進出補助金」にもいち早く対応し、各業種で申請支援中
- 公認会計士が直接対応:制度に詳しい専門家が丁寧にサポート
- オンライン完結・地方対応OK:全国どこからでも相談可能です
📩【まずは無料相談から】 「どの補助金が使えるか分からない…」という方も安心してください。 貴社に合った補助金を一緒に探し、申請可能性を無料で診断いたします。




















