「新事業進出補助金」は、中小企業が新たな分野への事業展開にチャレンジする際に支援を受けられる補助制度です。
しかし、補助金を活用する上で意外と見落とされがちなのが「保険への加入義務」です。
特に、建物や設備を取得・建設するケースでは、自然災害によるリスクに備えた保険への加入が必須条件となっており、これを怠ると補助金の交付や最終精算に影響が出る可能性があります。
この記事では、新事業進出補助金における保険加入義務のルールと付保割合の考え方を詳しく解説します。
Contents
事業再構築補助金の保険加入義務とは?
事業再構築補助金の保険加入義務とは新事業進出補助金で導入した建物や設備に対して、保険加入義務を負うというものです。
詳細は下記の通り。
(保険への加入義務)
⚫ 最低でも事業計画期間終了までの間、補助事業により建設した建物等の施設又は設備を対象として、申請した補助金の補助率以上の付保割合を満たす保険又は共済(補助対象である施設、設備等を対象として、自然災害(風水害を含む)による損害を補償するもの)への加入義務を負います。
補助事業者自身が、実績報告時に、保険・共済への加入を示す書類を提出していただき、補助対象物件に対して適切に付保がなされていることを証明いただく必要があります。
(新事業進出補助金 公募要領P39)
内容をまとめると下記の通り。
加入義務の対象期間:事業計画期間終了まで
対象資産:補助事業により建設・取得した建物や設備など
保険・共済の内容:自然災害による損害補償が含まれていること
付保割合の基準:申請した補助金の補助率以上を満たすことが必要
たとえば、補助率が2/3で申請している場合、対象物件には保険価額の少なくとも66.7%以上の保険金額で付保されている必要があります。
新事業進出補助金により建設した建物などの施設や設備は全て対象です。
事業再構築補助金や中小企業省力化投資補助金でも保険加入義務はありましたが、1,000万円以上という制限がありました。
しかしながら、新事業進出補助金は金額の制限はありませんので、注意しましょう。
付保割合とは?
付保割合とは、保険金額の保険価額に対する割合をいいます。
保険価額に付保率を乗じて算出したものが保険金額となります。
火災保険を例にあげましょう。
例えば、1億円の建物に対して、1億円の火災保険をかけると保険料が高額になります。
しかしながら、1億円の建物の5,000万円の部分だけ火災保険で賄うという契約をすると保険料は安くなります。
新事業進出補助金は申請した補助率以上を満たすことが必要です。
通常新事業進出補助金の補助率は1/2なので、最低でも50%以上の保険に加入する必要があります。
実績報告時に保険加入の証明が必要
保険加入の有無は口頭ではなく、補助事業の実績報告時に書類として提出しなければなりません。
補助対象物件に対して、補助率以上の割合で適切な保険(または共済)に加入していることを書面で証明する必要があります。
これを怠ると、補助金の精算が認められず、交付の取消や返還対象になる可能性があるため、非常に重要です。
保険加入が義務付けられている理由とは
保険加入が義務付けられている理由は支障なく、新規事業が運営できるようにするためです。
補助金は「企業の成長支援」を目的に支給されます。
しかしながら、補助金で導入した施設や設備が自然災害で損壊すれば、企業の成長どころか事業の継続さえ困難になる可能性があります。
このようなリスクを避けるため、新事業進出補助金では保険加入を必須条件とすることで、事業者が支障なく新規事業に取り組めるような環境を整えているのです。
よくある質問(FAQ)
Q. 保険料は補助金で支払えるの?
A. 原則として、保険料は補助対象外となります。補助事業者の自己負担での加入が求められます。
新事業進出補助金の公募要領6-2.補助対象外となる経費にも各種保険料は補助対象外となる旨、記載されています。
Q. どんな保険に加入すればよい?
A. 自然災害(風水害を含む)による損害を補償できる内容であれば、火災保険・企業財産保険・動産総合保険などが対象になります。
Q. 補助率はどうやって確認する?
A. 補助率は基本的に1/2となります。
まとめ
今回は新事業進出補助金の付保割合について解説してきました。
ポイントは下記の通り。
保険加入義務の対象は、補助金で取得・建設した施設・設備
保険の付保割合は、申請した補助金の補助率以上(原則50%以上)
実績報告時に、保険加入を証明する書類の提出が必要
加入保険は自然災害(風水害含む)への補償を含むもの
保険料は原則自己負担
駒田会計事務所では、申請書作成から事業化報告まで、補助金活用の「最初から最後まで」を一貫してサポートいたします。
「自社が対象になるか不安」「採択の可能性を高めたい」など、気になる点があればぜひお気軽にご相談ください。
こちらから
実績のある認定支援機関が無料相談に対応します
再申請・アフターサポートも万全です