事業再構築補助金成長枠で新たに宇宙機器産業が追加されました。
宇宙関連事業は製造業が強い日本において、今後注目されてくる事業テーマの一つといえるでしょう。
今回は事業再構築補助金の成長枠で活用できる宇宙機器産業について解説していきます。
事業再構築補助金成長枠で宇宙機器産業が追加!対象事業は?
事業再構築補助金成長枠で宇宙機器産業が追加されました。
宇宙に関する設備や機器を製造管理する業種・業態が主な対象事業者となる見込みです。
具体的には下記の通り。
- ロケット
- 人工衛星
- 宇宙機
- 宇宙ステーション
- 地上施設に係る機器・部品・材料
- ソフトウエア等の製造及び打上げサービスと運用管制
宇宙は日本が強みを持つ製造業が活用できる産業です。
特にガソリン車に関する部品を製造していた事業者にとって、宇宙機器産業は狙い目の事業テーマの一つとなるでしょう。
宇宙機器産業が市場拡大する根拠資料
宇宙機器産業が市場拡大する根拠資料として提示されているのは下記の3つです。
指定要望団体は経済産業省 製造産業局航空機武器宇宙産業課宇宙産業室が提供しています。
SWOT分析や事業環境の分析にも活用できますので、ぜひ参考にしてみてください。
宇宙機器産業は事業再構築補助金に適している
宇宙機器産業は事業再構築補助金に適した業種・業態といえます。
理由は下記の2つ。
- 幅広い範囲が補助対象となる
- 補助上限金額も高い
具体的に解説していきます。
幅広い経費が補助対象となる
事業再構築補助金は幅広い経費が補助対象となります。
基本的な補助対象経費は下記の通り。
建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費
一方で、代表的な補助金であるものづくり補助金の基本的な補助対象経費は下記の通り。
機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費
(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(14次締切分) )
事業再構築補助金は建物費、広告宣伝・販売促進費、研修費が補助対象として含まれます。
特に宇宙産業関連において大きいのは建設費です。
建物費は主に改装費で利用できる費用ですが、宇宙産業関連の部品製造など工場を建設する場合は新築での経費が認められる可能性があります。(新築の場合、新築でなければならない状況を除き補助対象外とされている)、
他にも機械装置・システム構築費や知的財産権関連経費など主要な経費はほぼカバーされています。
この経費の幅広さが宇宙産業関連で事業再構築補助金がおすすめできる一つの理由といえるでしょう。
補助上限金額も高い
補助上限金額が高いのも事業再構築補助金がおすすめできる理由の一つです。
事業再構築補助金の最も代表的な類型である通常枠(第10回公募より成長枠)の補助上限金額は下記の通り。
【従業員数 20 人以下】 100 万円 ~ 2,000 万円 【従業員数 21~50 人】 100 万円 ~ 4,000 万円 【従業員数 51~100 人】 100 万円 ~ 5,000 万円 【従業員数 101 人以上】 100 万円 ~ 7,000 万円 |
一方で、ものづくり補助金の補助上限金額は下記の通り。
従業員数 5 人以下 :100万円~750万円 6人~20人:100万円~1,000万円 21人以上 :100万円~1,250万円 |
二倍以上の補助上限金額となっており、特に従業員数が多ければ多いほど補助上限金額の差が大きくなっています。
宇宙産業関連への投資は多額の費用がかかります。
補助額が大きい事業再構築補助金は宇宙機器産業にとって、大きなメリットとなるでしょう。
宇宙機器産業での採択事例
宇宙機器産業では自動車部品製造の株式会社モリタアンドカンパニーが策定した「航空・宇宙エンジン部品事業に新分野展開して事業再構築します!」という事業計画が代表的な採択事例です。
詳細は下記の通り。
車の部品はロケット関連の部品と似ています。
そのため、車部品メーカーと親和性が高くおすすめできる事業の一つといえるでしょう。
その他代表的な事業計画は下記の通り。
事業計画名 | 事業計画の概要 |
入間市町工場の業態転換、熱抑制技術を用いた高精度加工化事業 | コロナ、ウクライナ危機により激減した売上と利益拡大が課題。成長市場である「ロボット、宇宙」産業で当社が培ってきた加工技術と、新たに熱抑制技術を用いたを高精度加工を実現し、減少した売上のV字回復を図る。 |
人工衛星用磁気センサ製造のための設備導入で宇宙産業参入 | コロナ予算の増加で顧客(官公庁)の関連予算は減少し、当社への発注も減少しています。宇宙産業分野・宇宙機搭載センサの製造販売市場へ参入して事業の柱とします。開発中の小型軽量な磁気センサで新顧客(衛星開発会社)の需要を満たし、日常生活を豊かにする衛星ミッションを支えます。 |
宇宙ステーション用バルブ装置への設備導入と自社開発による新分野展開 | 本事業は、当社の既存事業である産業用特殊バルブの製造販売から、横型マシニングセンタと自動溶接システムの設備導入により生産性の向上を図り、宇宙ステーション用特殊バルブ製造販売への新分野展開を目指します。 |
H3ロケット燃料配管系大型ベローズ組品の新規開発による宇宙事業分野の事業再構築の実現 | 宇宙開発・ロケット部品に対する技術と知見を活用し、新たにH3ロケット用「燃料配管系大型ベローズ組品」を開発生産し、日本の宇宙輸送能力の獲得・宇宙を活かした安全で豊かな社会の実現に貢献いたします。 |
防衛・宇宙・航空機のエンジン製造用の治工具製造事業への新分野展開 | 当社既存事業は、新型コロナによる航空機製造市場の低迷により打撃を受けた。信頼関係のある航空部品製造メーカーの動向に合わせ、精密治工具の製造能力を活かし、防衛・宇宙・エンジン製造用の治工具製造事業へ進出する。 |
高精度複合旋盤加工体制の構築による宇宙産業分野への参入 | これまで主力であった航空機部品の需要減少を受け、今後の市場拡大が見込まれる宇宙分野に参入すべく、最新のCNC複合旋盤を導入し、当社の高度な品質管理体制を活かしながら、品質複雑形状部品の高精度加工体制を構築する。 |
難削材を用いたボルト製造で電力発電・航空宇宙市場へ参入する | 今後成長が見込まれる、電力発電・航空宇宙事業分野では、高い耐久性、耐熱性、耐圧性が求められる。当社の高い切削技術力を用いてステンレスなど難削材を用いたボルトを製造し電力発電・航空宇宙事業分野に参入する。 |
「九州から宇宙へ」更なる高精度・高品質・高付加価値な部品提供体制の構築 | 幅広い分野の産業用機械部品を製造し、また民間人工衛星の開発・製造プロジェクトに参画したノウハウを活かし、航空宇宙産業分野に挑戦する。 |
まとめ
今回は宇宙機器産業で事業再構築補助金成長枠が利用可能であるという点と採択事例を紹介してきました。
ポイントは下記の通り。
- 宇宙機器産業は事業再構築補助金の成長枠補助対象
- 事業再構築補助金では幅広い経費が補助対象となり、補助上限金額も高い
- 工場を建設する場合は新築でも補助対象となる可能性がある
- 日本が強いものづくりの分野であり、模範事例として事業計画書が公開されていることから有望な事業テーマ
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