事業再構築補助金は過去最大規模の補助金であり、その使いやすさから大きな注目を集めています。しかし、事業再構築補助金の適用要件は複雑であり、正確な理解と適切な手続きが求められます。
特に難しいのが再構築要件で、事業再構築指針に適した事業を行わなければ補助金を受け取ることができません。
なかなか再構築要件が理解できない!という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、2023年版の事業再構築補助金の再構築要件について、詳しく解説します。
事業再構築補助金とは?
事業再構築補助金は、企業が新しい事業領域に進出する際の支援を目的とした補助金です。
2023年度からはメインとなる成長枠で売上高減少要件が撤廃されたことから、ほとんどの中小企業が申請できる環境となりました。
事業再構築補助金の成長枠での補助上限金額は最大7,000万円、補助率は1/2と極めて大きい支援であり、なおかつ補助範囲も幅広いことから利用しないと損といっても過言ではありません。
しかしながら、要件が複雑であることで知られており、特に事業再構築要件が難しいとされています。
事業再構築要件とは「事業再構築指針」に基づき、「新市場進出」、「事業転換」、「業種転換」、「事業再編」、「国内回帰」のいずれかに該当する事業計画を策定するというものです。(事業再構築指針の手引き(3.0版) 令和5年3月30日 経済産業省 中小企業庁)
「新市場進出」、「事業転換」、「業種転換」、「事業再編」、「国内回帰」について次の章で詳しく解説していきます。
事業再構築の定義と要件
事業再構築補助金に申請するには、事業計画が「新市場進出」、「事業転換」、「業種転換」、「事業再編」、「国内回帰」の定義に当てはまる必要があります。
それぞれの定義と要件について解説していきます。
新市場進出(新分野展開、業態転換)
新市場進出とは、主たる業種や事業を変更せずに新たな製品を製造し、新たな市場に進出することを指します。新市場進出に該当するためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
- 製品等の新規性要件
- 市場の新規性要件
- 新事業売上高10%等要件
事業転換
事業転換とは新たな製品等を製造することにより、主たる業種を変更せず、主たる事業を変更することを指します。「事業転換」に該当するためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
- 製品等の新規性要件
- 市場の新規性要件
- 売上高構成比要件
業種転換
業種転換とは新たな製品等を製造することにより、主たる業種を変更することを指します。「業種転換」に該当するためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
- 製品等の新規性要件
- 市場の新規性要件
- 売上高構成比要件
事業再編
事業再編とは会社法上の組織再編行為等を交付決定後に行い、新たな事業形態のもとに、新市場進出(新分野展開、業態転換)、事業転換、又は業種転換のいずれかを行うことを指します。「事業再編」に該当するためには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
- 組織再編要件
- その他の事業再構築要件
国内回帰
国内回帰とは、海外で製造等する製品について、その製造方法が先進性を有する国内生産拠点を整備することを指します。「国内回帰」に該当するためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
- 海外製造等要件
- 導入設備の先進性要件
- 新事業売上高10%等要件
これらの各要件について、下記の章で詳しく解説していきます。
事業再構築の具体的な要件
下記の要件について解説していきます。
- 製品等の新規性要件
- 市場の新規性要件
- 新事業売上高10%等要件
- 売上高構成比要件
- 組織再編要件
- 新事業売上高10%等要件
製品等の新規性要件 [新市場進出(新分野展開、業態転換)、事業転換、業種転換]
製品等の新規性要件の要件は下記の2つを満たす要件のことです
- 過去に製造等した実績がないこと
- 過去に製造等していた製品等を再製造等は×。
- 過去に製造等した実績がないものにチャレンジすること。
- 定量的に性能又は効能が異なること(製品等の性能や効能が定量的に計測できる場合に限る。)
- 性能や効能の違いを定量的に説明する必要あり(定量的とは数字でということ)
- 例:既存製品と比べ、新製品の強度、耐久性、軽さ、容量等が、X%向上する等
新事業売上高10%等要件[新市場進出(新分野展開、業態転換)、事業転換、業種転換]
新事業売上高10%等要件とは、新たな製品の売上高が総売上高の10%以上となることを指します。
売上高構成比要件[事業転換、業種転換]
売上高構成比要件とは、新たな製品が売上高構成比の最も高い事業となることを指します。
市場の新規性要件 [新市場進出(新分野展開、業態転換)]
市場の新規性要件では既存事業において対象となっていなかったニーズ・属性(法人/個人、業種、性別・年齢、所得、行動特性等)を持つ顧客層を対象とする必要がある。
- 市場の新規性要件については、既存事業と顧客層が異なることを証明する必要がある
- 3~5年間の事業計画期間終了後、新たな製品等の属する事業が、売上高構成比の最も高い事業となる計画を策定することが必要です。【売上高構成比要件】
海外製造等要件 [国内回帰]
海外製造等要件は下記の2つを満たす要件のことです
- 海外で製造・調達している製品であること
- 国内で生産拠点を整備する計画であること
導入設備の先進性要件[国内回帰]
導入設備の先進性要件は下記の2つの要件を満たすことです。
- 先進的な設備を導入すること
- 既存設備と同程度の設備で製造することでは認められない。
- 補助事業により導入する設備が特注品又は製造機器メーカーの最新カタログに掲載されているもの(またはこれに相当するもの)であることを示す必要がある。
- 導入設備の導入効果を証明すること
- 性能や効能を定量的に説明することで、生産性や付加価値向上等の導入効果があることを示す必要がある
- 例:○○部品の製造にあたり、○○設備を導入することで、○○加工を行えるほか、 生産効率がX%向上する等
事業再構築要件は3つの選択肢を考えるべき
事業再構築要件は新市場進出(新分野展開、業態転換)、業種転換、事業転換の3つが主要な選択肢です。
新市場進出は、新たなニーズや顧客層を探求し、製品やサービスの新たな価値を創出する機会を提供します。
業種転換や事業転換は、企業が自身の強みを活用しながら、新たなビジネスモデルや業界に参入するための道を開きます。
それに対し、事業再編や国内回帰は、実施のハードルが高いため、あまりおすすめできません。
まずは新市場進出、業種転換、事業転換の可能性を探ることをおすすめします。
まとめ
今回は、2023年版の事業再構築補助金の再構築要件についてまとめてきました。
ポイントは下記の通り。
- 新市場進出(新分野展開、業態転換)は新たな製品と市場へ展開する
- 事業転換は主たる事業を変更する
- 業種転換は主たる業種を変更する
- 事業再編や国内回帰はハードルが高め
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