事業再構築補助金

2023年度(令和5年度)事業再構築補助金の補正予算について解説

2023年度(令和5年度)事業再構築補助金の補正予算について解説

2023年度(令和5年度)の事業再構築補助金が継続することが正式に決定しました。
2022年11月10日に経済産業省が【経済産業省関係令和4年度第2次補正予算案の事業概要(PR資料)】を公開しているため、本決まりと考えて間違いないでしょう。
資料の中で、来年度の事業再構築補助金は大幅に変更になり、要件緩和などの改善措置がみられます。
そこで今回は事業再構築補助金の補正予算の内容及び2023年度(令和5年度)事業再構築補助金の概要について解説していきます。

事業再構築補助金の補正予算の概要

経済産業省関係令和4年度第2次補正予算案の事業概要(PR資料)の中で事業再構築補助金に関する記事は下記の通りです。

ポイントは下記の通り。

  • 予算規模が縮小(現状使いきれていない可能性が高いが)
  • 事業目的がやや変更に
  • 申請枠の大幅な変更
  • 補助額の変更
  • 売上高減少要件の撤廃

具体的なポイントについて解説していきます。

予算規模が縮小

2023年度(令和5年度)の事業再構築補助金は予算規模が5,800億円と縮小しました。
2022年度(令和4年度)の事業再構築補助金は予算6,123億円だったことから323億円程度縮小しました
しかしながら、過去の採択数や過年度の予算を2023年度に使っていることを考慮すると、過去の予算は使いきれていない可能性が高いです。
そのため、予算規模が縮小したからといって、採択率が低くなったり、要件が厳しくなったりする可能性は低いと言えるでしょう。

事業目的がやや変更に

あまり影響がないかもしれませんが、事業目的もやや変更になっています。
変更箇所は下記の通り。

長引く新型コロナウイルス感染症の影響に加え、物価高騰等により、事業環境が厳しさを増す中、中小企業等が行う、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応した、感染症等の危機に強い事業への大胆な事業再構築の取組を支援することで、中小企業等の付加価値額向上や賃上げにつなげるとともに、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。

物価高騰、感染症対策事業、賃上げがより意識された事業目的となっています。
これらに関連する取り組みを行う企業は採択率が高まるでしょう。

申請枠の大幅な変更

2023年度(令和5年度の)の事業再構築補助金では申請枠が大幅な変更となりました。
詳しくは下記の通り。

2023年度(変更後)2022年度(変更前)
  • 緊急対策枠(変更なし)
  • 回復・再生応援枠(変更なし)
  • 最低賃金枠(変更なし)
  • 成長枠(旧通常枠)
  • 産業構造転換枠(新設)
  • サプライチェーン強靱化枠(新設)
  • グリーン成長枠(要件緩和)
  • 緊急対策枠(変更なし)
  • 回復・再生応援枠(変更なし)
  • 最低賃金枠(変更なし)
  • 通常枠(変更あり)
  • 大規模賃金引上枠(撤廃→成長枠に?)
  • グリーン成長枠(要件緩和)

具体的な変更点について解説していきます。

成長枠(旧通常枠)

成長枠(旧通常枠)では下記の点が変更になりました。

2023年度(変更後)2022年度(変更前)
【補助額】

  • 2,000万円
  • 4,000万円
  • 6,000万円
  • 7,000万円

【補助率】

  • 中小・・1/2
  • 中堅・・1/3

売上高減少要件なし

【補助額】

  • 2,000万円
  • 4,000万円
  • 6,000万円
  • 8,000万円

【補助率】

  • 中小・・2/3
  • 中堅・・1/2

売上高減少要件あり

上限の補助枠がやや縮小し、補助率が減少したという大きな改悪がありますが、売上高減少要件の撤廃は非常に大きいメリットです。
以前までの事業再構築補助金は業績好調な増収増益企業は売上高減少要件があったため、申請することができませんでした。
しかしながら、今回の売上高減少要件の撤廃により、ほとんどの中小企業・中堅企業が申し込みできるようになりました。
まだ、詳細な要件が出ていないので、新たな要件が設けられる可能性も十分考えられますが、今までと対象者が大きく変わるのは間違いありません。
売上高減少要件を満たせず、あきらめてきた事業者は大きなチャンスといえるでしょう。

産業構造転換枠(新設)

2023年度(令和5年度)は新たに産業構造転換枠が創設される見込みとなっています。
簡単な概要は下記の通り。

事業概要国内市場の縮小等の産業構造の変化等により、事業再構築が強く求められる業種・業態の事業者に対し、補助率を引き上げる等により、重点的に支援します
補助額
  • 2,000万円
  • 4,000万円
  • 6,000万円
  • 7,000万円

※廃業を伴う場合は2,000万円増額

補助率中小・・1/2
中堅・・1/3

ガソリン車・ハイブリッド車の部品製造のような縮小が余儀なくされている企業に対する枠のように思われます。
補助率・補助額が成長枠と変わらないので、採択率が優遇されるものと考えられます。

サプライチェーン強靱化枠(新設)

新設された枠として、サプライチェーン強靱化枠もあります。
簡単な概要は下記の通り。

事業概要海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化及び地域産業の活性化に資する取組を行う事業者を支援します。
補助額5億円
補助率中小・・1/2
中堅・・1/3

円安により日本で生産するコストが相対的に安くなっていることや中国でのカントリーリスクが高まっていることを背景にした申請枠と考えられます。
補助額は5億円と最大級となっていますが、対象となる企業はそこまで多くないかと思われます。

グリーン成長枠(要件緩和)

グリーン成長枠はエントリー枠が追加され、要件が緩和される予定となっています。
現段階での変更点は下記の通り。

2023年度(変更後)2022年度(変更前)
【補助額】

エントリー枠

  • 4,000万円
  • 6,000万円
  • 8,000万円
  • 1億円(中堅企業のみ)

スタンダード枠

  • 中小企業・・上限1億円
  • 中堅企業・・上限1.5億円
【補助額】

  • 中小企業・・上限1億円
  • 中堅企業・・上限1.5億円

 

まとめ

今回は事業再構築補助金の補正予算案について解説してきました。
来年度からの事業再構築補助金は大きな変更点がありそうです。
特に大きいのは売上高減少要件の撤廃。
対象となる企業が増えることが考えられますので、目を離さないようにしましょう。

 

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