採用しても応募が来ない。採用できても定着しない。賃上げ圧力は強まる一方。
このように人手不足に困っている企業は多いのではないでしょうか。
結論から言うと、人手不足は「採用強化」だけで解決する時代ではなく、省力化投資で“少ない人数でも回る仕組み”を作ることが必要な時代です。
その省力化投資を後押しするのが「中小企業省力化投資補助金」です。
本記事では、制度の全体像(カタログ注文型・一般型)を整理したうえで、実際の採択事例を使って、採択される申請ポイントを解説します。
- 省力化投資補助金が人手不足対策に有効な理由
- カタログ注文型と一般型の違い(特に一般型がおすすめな理由)
- 実際の採択事例(会社名なし)から見る成功パターン
- 不採択になりやすいケースと、申請で落とし穴になりやすい点
- 専門家に相談・依頼するべきタイミング
Contents
人手不足は「構造問題」になった
日本の人手不足は、一時的な採用難ではなく、人口減少と高齢化によって労働力が長期的に減少している構造的な課題です。
厚生労働省の「令和6年版 労働経済の分析」によると、2010年代以降の人手不足は、過去の局面と比較して「長期かつ粘着的」であり、人口減少と高齢化が背景にあることが示されています。
企業が求人を出しても充足しにくく、欠員が埋まらない「求人の充足困難」が続いている状況です。
さらに、労働市場調査では、2025年7月時点の企業アンケートで約50%の企業が正社員の人手不足を感じているという実態が報告されており、特に人材派遣・建設・製造・サービス業などで顕著です。
人口構造を見ると、15〜64歳の生産年齢人口は長期的に減少を続けており、若年層(15〜34歳)は過去20年間で大幅に減少している一方、高齢就業者が増えています。
このように、労働人口の絶対数が減っていることに加え、企業が欲しいタイミング・スキルの人材を確保することが難しくなっているため、求人倍率が高止まりする一方で、実際の人員の確保が進まない「ミスマッチ」や慢性的な人手不足が生じています。
関連資料
- 総務省統計局「人口推計(2024年10月1日現在)」:
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2024np/index.html - 帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2025年10月)」:
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20251117-laborshortage202510/ - 厚生労働省「令和6年版 労働経済の分析(公表ページ)」:
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43038.html - 厚生労働省「令和6年版 労働経済の分析(PDF)」:
https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/001299623.pdf - 日本銀行「経済・物価情勢の展望(2026年1月、PDF)」:
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2601b.pdf
省力化投資補助金とは?まず全体像を整理
このような人手不足に対応するための補助金として、有力なのが省力化投資補助金です。
省力化投資補助金は、IoT・ロボット・デジタル技術などを活用した設備投資により、人手不足の解消・生産性向上・賃上げにつながる取組を支援する制度です。
カタログ注文型と一般型の2つがある
省力化投資補助金には大きく「カタログ注文型」と「一般型」があります。ざっくり言えば次のイメージです。
| 区分 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| カタログ注文型 | 登録済みの汎用製品から選んで導入しやすい | 小規模・定番設備を素早く入れたい |
| 一般型 | オーダーメイド性が高く、設備やシステムを柔軟に組める | 自社課題に合わせて“仕組みごと”省力化したい |
おすすめは「一般型」:汎用性が高く、使いやすい
結論として、人手不足を本気で解決したい企業ほど一般型がおすすめです。
- 汎用性が高い(業種・業務プロセスに合わせて設計できる)
- 使いやすい(ハード・ソフト、工程全体を一体で設計しやすい)
- 採択率が高い傾向(計画が作り込まれた申請が集まりやすく、審査観点と整合しやすい)
カタログ型は決まった設備しか導入できない一方で、一般型は自社に適した様々な設備が導入できるのが強みといえるでしょう。
省力化投資補助金の実際の採択事例
省力化投資補助金の実際の採択事例について紹介していきます。
製造業の採択事例が多いものの、様々な業種が採択されています。
カタログ注文型の採択事例
事例1:飲食業(注文・会計の省力化)
- 課題:少人数運営で注文・会計が負担。調理中断や訪日客対応が重い。現金対応で衛生面の手間も発生。
- 導入設備:タッチパネル式券売機(多言語対応・キャッシュレス・視認性の高いメニュー表示)
- 狙い/効果:注文・会計を機械に寄せて調理に集中。対応負担が軽くなり、体感として1.5〜2人分の業務を代替できた、という整理が可能。
事例2:宿泊業(厨房の省力化)
- 課題:採用難が深刻で、特に料理人確保が難しい。注文対応に限界が出る。
- 導入設備:スチームコンベクションオーブン
- 狙い/効果:省力化でサービス維持・向上に寄与。温度管理や掃除時間短縮など、厨房の負担を下げる。
事例3:施設管理(清掃の省力化)
- 課題:郊外立地で採用難。共用部清掃に人手が取られ、現場負担が大きい。
- 導入設備:AI自律走行型の清掃ロボット(自動床洗浄・障害物回避など)
- 狙い/効果:共用部床清掃の自動化で、スタッフ負担を大きく軽減。人手不足現場で「毎日の一定作業」を置き換えやすい。
事例4:印刷業(熟練依存工程の省力化)
- 課題:大判・薄紙の積み作業が熟練依存で、腰や膝への負担も大きい。精度不足が停止・ロスにつながる。
- 導入設備:印刷用紙の高積装置
- 狙い/効果:積み作業の省力化で初心者でも対応しやすくなり、生産性向上・用紙ロス低減・定着改善にもつなげやすい。
事例5:運送・倉庫(構内搬送の省力化)
- 課題:部品移動や事務所〜現場の書類運搬が人手に依存し、残業や往復時間が増える。
- 導入設備:無人搬送車(AGV/AMR)
- 狙い/効果:フォークリフト作業・往復運搬を置き換え、残業削減やバックオフィス効率化へ。
一般型の採択事例(オーダーメイド性の高い投資)
事例6:建設業(見積・積算の省力化)
- 課題:積算〜見積作成に時間がかかり属人化。ミスや計上漏れによる追加コストが発生。営業時間が確保できない。
- 導入設備:AI機能を搭載した工事見積自動作成システム(過去実績や資材価格データ等を活用)
- 狙い/効果:見積作成時間を短縮し、精度を上げて利益確保。削減できた事務工数を営業・提案に再配分。
事例7:小売業(加工〜値付けの自動化)
- 課題:加工・パッキング・ラベル貼りが人手依存で、慢性的な人手不足。提供タイミング遅れが機会損失・廃棄ロスに直結。
- 導入設備:自動計量包装値付機
- 狙い/効果:一連工程(計量・値付・ラベル)を自動化し、日次で大幅な時間削減。品出し改善で売上・利益率向上、廃棄ロス低減へ。
事例8:飲食業(セントラルキッチン化で省力化+拡大)
- 課題:仕込みがボトルネックで回転数・売上が頭打ち。人件費や光熱費なども利益を圧迫。
- 導入設備:調理回転釜・攪拌機・加熱調理器・スチームコンベクション・自動皮むき器・充填機・真空包装機等+自動製造レーン(オーダーメイド)
- 狙い/効果:仕込み工程を集約し、多くの工程を少人数で運用。回転率向上により顧客数・売上増。レトルト販売やECなど新たな収益源も狙える。
事例9:宿泊業(清掃を90%近く削減し高付加価値へ再配置)
- 課題:清掃に時間が取られ、顧客満足に直結する業務へ人員を寄せられない。汎用機器では自動化しにくい施設特性がある。
- 導入設備:清掃ロボット(オーダーメイド)
- 狙い/効果:清掃時間を大幅に削減し、イベント・観光ガイドなどへ再配分。顧客満足と従業員モチベーション向上を狙う。
事例10:倉庫業(仕分け人員を約50%削減、処理能力を大幅向上)
- 課題:仕分け・出荷・ラベル作成を人手で実施し、ヒューマンエラーと再作業がコスト増に。
- 導入設備:自動仕分けロボット(自社スペースに合わせカスタマイズ、既存システムと連携)
- 狙い/効果:エラー削減と再検品の圧縮、仕分け人員の大幅削減。浮いた人員を在庫最適化など高付加価値業務へ再配置。
事例11:温浴施設(運営の省人化+付加価値サービスへ再配置)
- 課題:運営維持の大半が人手。入浴補助などの付加価値サービスに人員を割けず、利益率も上げにくい。湯温調整も手動。
- 導入設備:自動ゲート・温泉温度制御システム・受水槽
- 狙い/効果:番台業務の省人化と湯温調整の自動化。浮いた人員を清掃や補助サービスへ振り替え、新たな客層の呼び込みも狙える。
採択される3つのポイント
省力化投資補助金で採択されるためには下記の3つのポイントを押さえることが重要です。
ポイント1:人手不足を数字で記載する
採択事例に共通するのは、「人が足りない」という主張に、現場の数字が添えられていることです。
- 作業時間(1日/1件あたり)
- 残業時間・外注費
- ヒューマンエラーの再作業時間
- 機会損失(品出し遅れ、受注できない等)
課題が数値で示せるほど、投資の妥当性が伝わりやすいす。
ポイント2:導入後の効果が“工程”で説明できている
「省人化できます」では弱く、
- どの工程が
- どう置き換わり(自動化/半自動化/デジタル化)
- どの程度削減され
- 浮いた時間を何に再配分するか
まで説明できている計画が採択されやすい傾向にあります。
特に一般型は、工程全体を設計できるため、この説明が作りやすいのがメリットです。
ポイント3:「省力化=成長戦略」になっている
採択されやすいのは、省力化を単なる人件費削減で終わらせず、
- 売上拡大(回転率向上・処理能力向上・新規受注)
- 品質向上(ミス削減・標準化)
- 高付加価値化(人を“単純作業”から“価値を生む仕事”へ)
に繋げているケースです。これが、一般型が「おすすめ」と言える理由でもあります。
不採択になりやすいケース
設備が目的化している
「この機械が欲しい」だけでは評価が伸びません。審査はあくまで、投資の結果として省力化と付加価値がどう実現されるかを見ています。
現場課題と投資がつながっていない
課題は書いてあるのに、導入設備が“効く場所”に刺さっていない。あるいは工程が分断され、効果が部分最適で終わっている。こうした計画は説得力が落ちやすいです。
数字の根拠が弱い(効果が盛れてしまう)
削減時間や売上計画が「希望的観測」に見えると、評価が不利になります。現場の実測・過去データ・試算ロジックで“守れる数字”に落とすのが大切です。
自力申請は可能?専門家に依頼すべき判断基準
省力化投資補助金は自力申請は可能です。
ただ、一方で次のどれかに当てはまると途中で詰まりやすい傾向があります。
- 工程整理が苦手で「どこを省力化すべきか」言語化できない
- 数字(削減時間・付加価値・賃上げ等)の整合が不安
- 本業が忙しく、申請書に十分な時間を割けない
- 一般型で“工程全体”の設計をしたいが、構成が組めない
省力化投資補助金は「書類を作る」作業ではなく、経営課題を構造化し、投資の意思決定を審査目線で説明する仕事です。
だからこそ、早い段階で専門家と設計したほうが、結果的に最短距離になりやすいです。
駒田会計事務所の申請サポートでできること
駒田会計事務所では、省力化投資補助金(特に一般型)について、次のような観点で申請をサポートします。
- 現場ヒアリングからボトルネック工程の特定
- 設備導入後の削減時間・効果の算定ロジック整理
- 売上・利益・人員配置の再設計(省力化=成長戦略へ)
- 審査視点での文章設計(伝わる構成・表現)
- 採択後を見据えた実行計画の整備
「何をどう書けば採択されるのか分からない」「一般型で計画を組みたいが不安」という段階での相談ほど、改善余地が大きく、組み立て直しが効きます。
よくある質問
Q. カタログ注文型と一般型、どちらを選ぶべき?
A. 定番設備を手早く導入したいならカタログ注文型も選択肢です。一方で、人手不足が深刻で「工程全体」を変えたい場合は、一般型のほうが汎用性が高く使いやすいためおすすめです。
Q. 採択率を上げるために一番大切なことは?
A. 「人手不足」を訴えるだけではなく、どの工程が、どれだけ、どう改善されるのかを数字と工程で示すことです。事例の通り、効果が具体的な計画ほど強いです。
まとめ
今回は「人手不足対策に省力化投資補助金は使えるのか」についてまとめてきました。ポイントは下記の通り。
- 人手不足は採用だけでは解決しにくく、省力化投資が現実的な打ち手
- 省力化投資補助金には「カタログ注文型」と「一般型」がある
- 特に一般型は汎用性が高く、工程全体の設計がしやすくおすすめ
- 採択事例の共通点は「数字」「工程」「成長戦略」の3点
- 不安があるなら、早い段階で専門家に相談するほど改善が効く
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