省力化投資補助金

省力化投資補助金【一般型】はリース利用できる?結論:利用可能。ただし注意点が多い

省力化投資補助金【一般型】はリース利用できる?結論:利用可能。ただし注意点が多い

「省力化投資補助金(一般型)で設備投資をしたい。でも自己資金が足りないのでリースで導入できないか?」──この悩みはかなり現実的です。

結論から言うと、省力化投資補助金【一般型】はリース利用が可能です。
ですが、通常の“自己購入”と比べて手続き・契約条件・制限が増え、落とし穴も多いのが実務のポイントです。

本記事では、公益社団法人リース事業協会が事務局へ確認のうえ作成したQ&A(2025年6月30日版)をもとに、失敗しないための注意点を、経営者目線でわかりやすく解説します。

駒田裕次郎

監修: 駒田 裕次郎(こまだ ゆうじろう)

駒田会計事務所 【コマサポ】代表

【来歴】大手監査法人の経験を活かし、創業支援・補助金支援を中心とする「駒田会計事務所」を東京・渋谷に設立。資金調達や事業計画の作成、税務や経営相談まで顧客に寄り添うきめ細やかなサポートを提供。

【実績】創業融資・補助金の支援実績は、累計3,000件以上(2025年1月末現在)

【所有資格】公認会計士・税理士・認定支援機関

「一人ひとりの起業家の成功を願い、日本の未来を明るくする」をモットーに、日々奔走。

Contents

省力化投資補助金【一般型】でリースを使う仕組み(共同申請が基本)

まず重要なのは、リースを使う場合の基本構造です。

リース活用には大きく2パターンがあり、特に混同しやすいので整理します。

パターン1:ユーザー(中小企業)+リース会社の「共同申請」

一般型のリース活用で中心となるのがこの「共同申請」です。共同申請の場合、補助対象経費の考え方は次のとおりです。

  • 補助対象経費は、リース会社が購入するリース物件(機械装置・システム構築費)の購入費用
  • 補助金相当分は、ユーザーが支払うリース料から減額されることが条件
  • 共同申請では、同じ契約についてリース料を補助対象として二重申請できない

つまり「補助金が出た分だけ、月々の支払いが軽くなる」設計が前提です。

パターン2:ユーザー単独申請で「リース料」を補助対象にする

Q&A上、ユーザー単独申請でも、機械装置のリース料を補助対象経費とする扱いが示されています。
ただし、補助事業実施期間内(最長18か月)に要するリース料部分のみが対象で、リース期間が長い場合は按分が必要になります。

実務では、どちらのパターンが適切かは「導入形態・契約条件・審査ストーリー」で変わります。
この記事では、事故が起きやすい共同申請(リース会社と組む形)の注意点を中心に解説します。

【重要】利用できるリース・できないリースの線引き

共同申請で対象となるのは「ファイナンス・リース」のみ

共同申請で補助金の交付対象となるのは、ファイナンス・リース取引(所有権移転/移転外)に限られます
オペレーティング・リースは対象外です。

「うちはオペレーティングで柔軟に…」と考えている場合、ここで詰みます。
契約形態の判断は、リース会社側の理解も必要なので、早めにすり合わせてください。

対象外になりやすい取引:セール&リースバック、転リース

Q&Aでは、ファイナンス・リースに該当していても、セール&リースバック取引転リース取引は対象外とされています。
資金繰り目的で既存資産を売ってリースし直すような設計は、ここで弾かれやすいと理解しておきましょう。

省力化投資補助金(一般型)×リースの注意点10選(ここが落とし穴)

結論として「リースは使える」が、注意点を知らないと補助対象外・交付取消・返還のリスクが出ます。実務で重要なポイントを10個に絞ります。

注意点1:交付決定前に契約(発注)したら一発アウト

交付決定より前にリース契約や売買契約(発注)を結ぶと、その経費はどんな事情でも補助対象になりません
採択=OKではなく、交付決定が基準です。「納期が迫っているから先に契約」は危険です。

注意点2:応募申請後に「購入→リース」へ変更できない

応募申請で「自己取得予定(借入含む)」として出した設備を、後から「リース共同申請に変更」することはいかなる事情があっても不可とされています。
資金繰りの見通しが怪しいなら、最初から方針を固めて申請設計する必要があります。

注意点3:共同申請できるリース会社は「1社だけ」

共同申請は「1つのユーザー × 1つのリース会社」の組み合わせに限られます。複数社に分けて組むことはできません。設備が複数ある場合の切り分け設計に注意が必要です。

注意点4:補助金は“ユーザーに一括送金”できない(減額が必須)

補助金をリース会社が受け取ったあと、リース料から減額せずユーザーに一括で渡すような運用は不可です。補助金の目的外使用に当たり、交付取消につながり得ます。必ずリース料軽減(減額)で反映させる設計が前提です。

注意点5:リース期間は「財産処分制限期間」を前提に設計

補助対象設備は処分制限のルールが絡みます。リース契約期間は、原則として財産処分制限期間中の使用を前提に設定する必要があります。なお、契約期間が短くても再リース規約があり、契約+再リースが処分制限期間を満たすなら対象となり得ます。

注意点6:処分制限期間内に所有権移転はできない

リース期間終了後に所有権をユーザーへ移したい、という希望は多いですが、処分制限期間内の所有権移転(有償・無償問わず)は禁止とされています。
購入選択権付・譲渡条件付・残価設定型なども、ファイナンス・リースに該当するなら対象になり得ますが、移転時期には厳格な制約があります。

注意点7:リース料の前倒し支払いはNG

年1回払いや不均等払い(逓増・逓減)は、ファイナンス・リースに該当するなら認められ得ます。
一方で、リース期間に関わらず大きく前倒し(例:12か月一括払い)のような形は、制度趣旨に反するため認められないとされています。

注意点8:共同申請でも「その他経費」は使えるが上限に注意

共同申請であっても、リース会社以外に支払う経費(例:クラウドサービス利用費など)は、補助上限額の範囲で認められ得ます。
ただし、機械装置・システム構築費以外の経費は総額500万円(税抜)までという上限に注意が必要です。

注意点9:「リース会社の変更」は基本できない(例外のみ)

応募申請時に記載したリース会社を変更できるケースは限定的です。
例外として、リース事業協会側の確認手続で問題があり確認を断られる場合など、一定の事由があると変更が認められ得ますが、最初の選定が極めて重要です。

注意点10:倒産時の処分手続きは原則リース会社側が対応(返還もあり得る)

財産処分制限期間中にユーザーが倒産した場合、補助金はリース会社に交付されているため、原則としてリース会社が財産処分手続を行うことになります。
その際、原則として減価償却後の金額×補助率相当を国へ返金する整理が示されています。経営者としては、倒産リスクだけでなく、契約条項・違約時の負担設計も確認しておくべきです。

申請・契約の流れ(リース活用時にズレやすいポイント)

リース活用で混乱しやすいのが、採択と交付決定の違いです。大まかな流れは次のとおりです。

  1. 応募申請
  2. 審査
  3. 採択(結果通知)
  4. 交付申請
  5. 交付決定(ここから契約・発注OK)
  6. 事業実施
  7. 実績報告
  8. 補助額確定→請求→補助金支払

「採択されたから契約していい」は誤りです。
交付決定前契約は補助対象外になるため、社内稟議・発注管理・ベンダー調整の導線を最初に作っておくのが安全です。

よくある質問:リース会社が大企業でも共同申請できる?

この点も誤解が多いですが、Q&Aでは、ユーザー側が中小企業者等の要件を満たすなら、リース会社が大企業でも共同申請者になれる旨が示されています。
補助上限額・補助率は、あくまでユーザー(中小企業者等)基準になります。

実務チェックリスト:申請前に最低限ここだけ確認

  • 共同申請か単独申請か(どちらの設計が適切か)
  • 共同申請の場合、契約がファイナンス・リースになっているか
  • 交付決定前に契約しない運用になっているか
  • 補助金相当分がリース料から減額される設計か
  • セール&リースバック・転リースなど対象外取引を踏んでいないか
  • 処分制限期間とリース期間(再リース含む)の整合
  • 機械装置・システム構築以外の経費は500万円上限に収まるか

まとめ:省力化投資補助金(一般型)でリースは使えるが、設計力が必要

省力化投資補助金【一般型】でリースを使うことは可能です。むしろ、キャッシュフローを守りながら省人化投資を進める手段として、リースは有効になり得ます。

ただし、共同申請は「ファイナンス・リース限定」「交付決定前契約NG」「処分制限期間内の所有権移転禁止」など、うっかり違反が起きやすい論点が密集しています。制度を“使える状態”にするには、契約形態・スケジュール・費用区分の三点セットを、最初から固めることが重要です。

最後に結論を一言でまとめます。

省力化投資補助金(一般型)はリース利用できる。
しかし、契約条件と手続きを誤ると補助対象外になり得るため、注意点を理解した上で進めるべきです。

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