近年注目されている事業の一つに宇宙産業があります。
地理的や技術的な面から日本は有利な産業ともいわれており、今後期待できる市場といえるかと思います。
しかしながら、宇宙産業関連は未成熟な市場であることもあり、多額なコストがかかるため補助金を利用したいと考えている事業者も多いのではないでしょうか。
そこでおすすめしたいのが事業再構築補助金です。
今回は事業再構築補助金が宇宙産業関連でおすすめできる理由と採択事例について紹介していきます。
宇宙産業関連に事業再構築補助金が最適な3つの理由
宇宙産業関連に事業再構築補助金が最適な理由は下記の3つです。
- 幅広い範囲が補助対象となる
- 補助上限金額も高い
- 2023年度からは対象者が拡大する
具体的に解説していきます。
幅広い経費が補助対象となる
事業再構築補助金は幅広い経費が補助対象となります。
基本的な補助対象経費は下記の通り。
建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費
一方で、代表的な補助金であるものづくり補助金の基本的な補助対象経費は下記の通り。
機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費
(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(14次締切分) )
事業再構築補助金は建物費、広告宣伝・販売促進費、研修費が補助対象として含まれます。
特に宇宙産業関連において大きいのは建設費です。
建物費は主に改装費で利用できる費用ですが、宇宙産業関連の部品製造など工場を建設する場合は新築での経費が認められる可能性があります。(新築の場合、新築でなければならない状況を除き補助対象外とされている)、
他にも機械装置・システム構築費や知的財産権関連経費など主要な経費はほぼカバーされています。
この経費の幅広さが宇宙産業関連で事業再構築補助金がおすすめできる一つの理由といえるでしょう。
補助上限金額も高い
補助上限金額が高いのも事業再構築補助金がおすすめできる理由の一つです。
事業再構築補助金の最も代表的な類型である通常枠(第10回公募より成長枠)の補助上限金額は下記の通り。
【従業員数 20 人以下】 100 万円 ~ 2,000 万円 【従業員数 21~50 人】 100 万円 ~ 4,000 万円 【従業員数 51~100 人】 100 万円 ~ 6,000 万円 【従業員数 101 人以上】 100 万円 ~ 8,000 万円(2023年度より7,000万円になる見込) |
一方で、ものづくり補助金の補助上限金額は下記の通り。
従業員数 5 人以下 :100万円~750万円 6人~20人:100万円~1,000万円 21人以上 :100万円~1,250万円 |
二倍以上の補助上限金額となっており、特に従業員数が多ければ多いほど補助上限金額の差が大きくなっています。
宇宙産業関連への投資は多額の費用がかかります。
特に製造業の場合、億単位の設備投資となるケースも珍しくありません。
補助上限金額が大きいのはブランド化を推進する事業者にとって、大きなメリットとなるでしょう。
2023年度からは対象者が拡大する
2023年度からは事業再構築補助金の対象者が大幅に拡大する見通しとなっています。
理由は通常枠(2023年度から成長枠)などの売上高減少要件が撤廃される見通しとなっているためです。
売上高減少要件の詳細は下記の通り。
2020 年 4 月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019 年又は 2020 年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して 10%以上減少していること等【売上高等減少要件】
(※)売上高に代えて付加価値額を用いることも可能です。
第9回公募までの事業再構築補助金はコロナの影響で業績が厳しい事業者が行う事業再構築を支援するという意味合いが強い補助金でした。
そのため売上高等減少要件が設定されており、コロナ禍でも業績が好調な企業や売上高が伸びている企業は補助の対象とはなりませんでした。
しかしながら、第10回公募からは売上高減少要件が撤廃される見込みとなっており、業績が好調な企業や売上高が伸びている企業でも対象となる見込みです。
多くの企業が使える補助金となり、今まで対象とならなかった企業も幅広く対象となる見込みとなっています。
業績が好調な企業にとって、来年度の事業再構築補助金は大きなチャンスとなるでしょう。
宇宙関連での事業再構築補助金採択事例
宇宙関連事業での採択事例を紹介していきます。
宇宙関連事業ではは事業再構築補助金の採択事例の中で模範事業計画として紹介されていました。
自動車部品製造の株式会社モリタアンドカンパニーが策定した「航空・宇宙エンジン部品事業に新分野展開して事業再構築します!」という事業計画です。
詳細は下記の通り。
車の部品はロケット関連の部品と似ています。
そのため、車部品メーカーと親和性が高くおすすめできる事業の一つといえるでしょう。
その他代表的な事業計画は下記の通り。
事業計画名 | 事業計画の概要 |
入間市町工場の業態転換、熱抑制技術を用いた高精度加工化事業 | コロナ、ウクライナ危機により激減した売上と利益拡大が課題。成長市場である「ロボット、宇宙」産業で当社が培ってきた加工技術と、新たに熱抑制技術を用いたを高精度加工を実現し、減少した売上のV字回復を図る。 |
人工衛星用磁気センサ製造のための設備導入で宇宙産業参入 | コロナ予算の増加で顧客(官公庁)の関連予算は減少し、当社への発注も減少しています。宇宙産業分野・宇宙機搭載センサの製造販売市場へ参入して事業の柱とします。開発中の小型軽量な磁気センサで新顧客(衛星開発会社)の需要を満たし、日常生活を豊かにする衛星ミッションを支えます。 |
宇宙ステーション用バルブ装置への設備導入と自社開発による新分野展開 | 本事業は、当社の既存事業である産業用特殊バルブの製造販売から、横型マシニングセンタと自動溶接システムの設備導入により生産性の向上を図り、宇宙ステーション用特殊バルブ製造販売への新分野展開を目指します。 |
H3ロケット燃料配管系大型ベローズ組品の新規開発による宇宙事業分野の事業再構築の実現 | 宇宙開発・ロケット部品に対する技術と知見を活用し、新たにH3ロケット用「燃料配管系大型ベローズ組品」を開発生産し、日本の宇宙輸送能力の獲得・宇宙を活かした安全で豊かな社会の実現に貢献いたします。 |
次世代航空機開発関連部品の高精度化と短納期製造ラインの構築 | 当社はコロナウイルスの影響により、既存事業である宇宙・航空機関連事業の売上が大幅減少。そのため、補助事業にて三菱重工が主体となって取り組む、次期戦闘機開発事業への参入により、売上を確保する事業計画。 |
防衛・宇宙・航空機のエンジン製造用の治工具製造事業への新分野展開 | 当社既存事業は、新型コロナによる航空機製造市場の低迷により打撃を受けた。信頼関係のある航空部品製造メーカーの動向に合わせ、精密治工具の製造能力を活かし、防衛・宇宙・エンジン製造用の治工具製造事業へ進出する。 |
高精度複合旋盤加工体制の構築による宇宙産業分野への参入 | これまで主力であった航空機部品の需要減少を受け、今後の市場拡大が見込まれる宇宙分野に参入すべく、最新のCNC複合旋盤を導入し、当社の高度な品質管理体制を活かしながら、品質複雑形状部品の高精度加工体制を構築する。 |
難削材を用いたボルト製造で電力発電・航空宇宙市場へ参入する | 今後成長が見込まれる、電力発電・航空宇宙事業分野では、高い耐久性、耐熱性、耐圧性が求められる。当社の高い切削技術力を用いてステンレスなど難削材を用いたボルトを製造し電力発電・航空宇宙事業分野に参入する。 |
「九州から宇宙へ」更なる高精度・高品質・高付加価値な部品提供体制の構築 | 幅広い分野の産業用機械部品を製造し、また民間人工衛星の開発・製造プロジェクトに参画したノウハウを活かし、航空宇宙産業分野に挑戦する。 |
宇宙関連事業はほとんどが製造業による取り組みでした。
まとめ
今回は宇宙産業関連事業で事業再構築補助金が最適な理由と採択事例を紹介してきました。
ポイントは下記の通り。
- 宇宙産業関連事業には事業再構築補助金が最適
- 事業再構築補助金では幅広い経費が補助対象となり、補助上限金額も高い
- 工場を建設する場合は新築でも補助対象となる可能性がある
- 日本が強いものづくりの分野であり、模範事例として事業計画書が公開されていることから有望な事業テーマ
宇宙関連で事業再構築補助金の申請を検討している方は一度ご相談ください。
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弊社は事業再構築補助金のサポートを行っており、通常枠補助上限を含む、多数の採択実績があります。
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