結論から言うと、宿泊施設の新規事業に踏み出すタイミングとして「今」は悪くありません。
旅行需要の回復・インバウンドの増加・ワーケーションや長期滞在など新しいニーズの拡大により、上手にポジションを取れれば中長期で安定した収益を狙える局面です。
一方で、人手不足や物価高騰など、従来型の運営をそのまま拡大すると行き詰まりやすいのも事実です。
本記事では、宿泊施設の新規事業アイデア、初期費用と収益イメージ、活用しやすい補助金、そして失敗を避けるための事業計画の考え方までを、実務目線で整理します。
「宿泊施設の新規事業を検討しているが、何から考えればいいか分からない」という方に向けて解説していきます。
✅ 宿泊施設の新規事業が「今」チャンスと言われる理由
✅ 体験型・サウナ・一棟貸し・ワーケーションなど具体的な新規事業アイデア
✅ 初期費用・収益モデルの考え方とシミュレーション例
✅ 省人化・DX・建物改修などに活用できる主要な補助金の概要
✅ 失敗しやすいポイントと、成功に必要な事業計画の作り方
✅ 宿泊施設の新規事業を進める際に専門家へ相談すべきタイミング
Contents
1. 宿泊施設の新規事業が「今」チャンスと言える理由
1-1. 旅行需要は回復+ニーズは多様化している
コロナ禍を経て、国内・インバウンドともに旅行需要は回復基調にあります。 ただし「以前と同じ団体旅行が戻ってくる」というよりも、 少人数・高単価・体験重視といった新しいニーズが伸びています。
- 地元の食材や文化に触れる体験型コンテンツ
- 自然の中での滞在を楽しむグランピング・一棟貸し
- 仕事と休暇を組み合わせるワーケーション・長期滞在
- ペット同伴・子連れ・サウナなど、テーマ性のある宿泊
こうしたニーズは、規模の小さい宿泊施設や新規事業者でも入りやすい領域です。 むしろ、意思決定の早い中小規模のほうが柔軟に対応しやすいと感じます。
1-2. 人手不足に対する設備が増えているを後押ししている
宿泊業界では長時間労働・不規則勤務のイメージもあり、人材確保は年々難しくなっています。 その結果として、 「省人化」「無人運営」への投資を前提とする設備や仕組みが増えています。
例えば、以下のような設備や仕組みは、新規事業と非常に相性が良いです。
- 自動チェックイン機・セルフレジ
- スマートロック・キーBOX・顔認証などの非対面入室
- 清掃・配膳ロボット、チャットボットによる問い合わせ対応
- クラウドPMS・予約一元管理システム
新規事業として宿泊施設を立ち上げるのであれば、「人を増やす前提」ではなく「省人化を前提とした設計」を行うことが、結果的に収益性・働きやすさの両方を高めやすいと考えます。
1-3. 補助金を活用すれば初期投資の負担を抑えられる
建物改修・設備投資・システム導入・販路開拓など、宿泊施設の新規事業にはどうしてもまとまった資金が必要です。 ここで頼りになるのが、国や自治体の補助金制度です。
制度の詳細は毎年変わりますが、代表的なものとしては以下のようなタイプがよく使われます。
| 制度イメージ | 主な用途 | 宿泊施設での典型例 |
|---|---|---|
| 省人化投資系補助金 | IoT・ロボット・無人化設備の導入 | 自動チェックイン機、清掃ロボット、スマートロックなど |
| 新事業進出・設備投資系補助金 | 建物改修・新たなサービス導入 | 古民家リノベ、一棟貸し施設への用途変更、サウナ新設 など |
| 販路開拓・IT導入系補助金 | ホームページ・予約システム・広告 | 公式サイト制作、多言語予約ページ、オンライン広告費など |
「建物・設備」+「省人化」+「IT・集客」をできるだけセットで検討し、それぞれに合う補助金を組み合わせるのが現実的だと考えます。
2. 宿泊施設で検討したい新規事業アイデア一覧
ここでは、既存のホテル・旅館のリニューアル、新規参入のどちらでも検討しやすい宿泊施設 新規事業のアイデアを整理します。
| アイデア | 概要 | ポイント |
|---|---|---|
| 体験型コンテンツ付き宿泊 | 農業体験、漁業体験、伝統工芸、酒蔵見学など地域体験をセットにする。 | 客室数が少なくても単価を上げやすく、リピーター化もしやすい。 |
| サウナ・温浴施設の導入 | 小規模でも出来るサウナや水風呂、外気浴スペースを整備。 | 「ととのう」体験は根強い人気。日帰り利用との組み合わせも可能。 |
| ワーケーション・長期滞在プラン | 高速Wi-Fi・デスク・チェアを整え、1週間〜1か月単位のプランを用意。 | 稼働の安定化に寄与。閑散期の売上確保に向く。 |
| ペット同伴型宿泊 | ドッグラン・ペットアメニティ・専用客室を整備。 | 競合がまだ少ないエリアも多く、高単価設定がしやすい。 |
| 古民家・一棟貸しの無人宿 | 空き家・古民家をリノベし、一棟貸し+スマートロックで無人運営。 | 省人化と高付加価値化を両立しやすい。補助金との相性も良い。 |
| 合宿・研修・企業合宿プラン | 会議室や多目的スペースを整備し、法人利用を開拓。 | 一度決まると毎年利用してもらえるケースもあり、安定収入源になり得る。 |
どのアイデアを選ぶにしても、「誰に」「どんな価値を」「いくらで」提供するのかを明確に言語化することが最初の一歩になります。
新規事業のアイデアとして参考になるのが、「新事業進出補助金の採択事例」です。
過去の宿泊関係の採択事例がのってありますので、今後のビジネスに参考にしていただくことをおすすめします。
3. 初期費用と収益イメージをざっくり把握する
3-1. 典型的な費用項目
宿泊施設の新規事業では、主に以下のような費用が発生します。
- 建物関連:改修工事費、設備工事費、消防・保健所対応費用 など
- 備品・インテリア:ベッド・寝具・家具・家電・アメニティ など
- IT・省人化設備:PMS、予約システム、自動チェックイン機、スマートロック など
- 販促費:公式サイト制作、写真撮影、広告費、OTA手数料 など
- 運転資金:オープン後、軌道に乗るまでの人件費・諸経費
3-2. シンプルな収支イメージ(例)
イメージがつきやすいよう、あくまでざっくりとした例を示します。
| 項目 | 設定例 |
|---|---|
| 客室数 | 10室 |
| 平均客室単価 | 1室あたり 10,000円 |
| 稼働率 | 60% |
| 月間売上の目安 | 約300万円 (10室 × 30日 × 10,000円 × 稼働率60%) |
もちろん、ここから人件費・光熱費・リネン費・システム利用料などが差し引かれます。
大切なのは、「単価」「稼働率」「コスト構造」を数字でざっくりでも把握したうえで、新規事業のアイデアを検討することです。
4. 宿泊施設の新規事業に活用しやすい補助金の考え方
制度名や募集時期は年度ごとに変わるため、ここでは考え方の整理に留めます。
実際に申請する際は、最新の公募要領を必ず確認してください。
4-1. 省人化・DXを支援する補助金
- 自動チェックイン機・清掃ロボット・スマートロックなどの導入
- クラウドPMS・予約一元管理・チャットボットなどのシステム構築
人手不足が深刻な業種であるため、宿泊業は省人化・DX系の補助金と相性が良い傾向があります。 新規開業と同時に省人化投資を行う計画は、政策的にも評価されやすい方向性です。
4-2. 新事業・設備投資を支援する補助金
- 古民家を一棟貸し宿にリノベーション
- 既存の旅館をサウナ特化型・体験型宿泊施設として改装
- 飲食スペースやカフェ、物販コーナーの新設
「これまでと異なる市場・客層」に向けた設備投資を行う場合、こうした補助金の対象になり得ます。
4-3. 販路開拓・PR・IT導入を支援する補助金
- 公式サイトの多言語対応・予約エンジンの導入
- 写真・動画の撮影、SNS広告、地域とのコラボキャンペーン
宿泊業の場合、写真・レビュー・公式サイトの情報量は売上に直結します。 それらの整備を補助金で後押しできると、投資対効果を高めやすくなります。
補助金全般の注意点
・申請〜採択まで時間がかかるため、スケジュールに余裕を持つこと。
・「後払い(精算払い)」が基本であり、一旦は自己資金や融資で立て替える必要があること。
・事業計画書の内容によって採択の可否が左右されるため、計画の中身づくりが最重要であること。
5.宿泊施設の新規事業に活用できる補助金まとめ
宿泊施設の新規事業では、建物改修・設備投資・省人化・集客(Web・広告)の4つをどう資金調達するかが重要なポイントになります。
ここでは、宿泊施設との相性が良い代表的な補助金を整理し、とくに新事業進出補助金について重点的に解説します。
新事業進出補助金(宿泊施設の設備投資に最適)
新事業進出補助金は、既存事業とは異なる市場・業種へ挑戦する中小企業を支援する補助金で、
宿泊施設の新規立ち上げや、大規模なリニューアルと非常に相性の良い制度です。
- 対象イメージ:これまで宿泊事業を行っていない企業がホテル・旅館・一棟貸しを始める/既存の素泊まり宿をサウナ付き高付加価値宿へ転換 など
- 補助対象経費の特徴:建物改修、内外装工事、サウナ・浴室・客室設備、厨房設備、空調・給排水設備 等、ハード系投資を幅広くカバーしやすい
- 宿泊施設との相性:「新市場」「高付加価値」「売上・付加価値の増加」といった観点が評価されるため、コンセプト設計と収益計画が重要
宿泊施設での具体的な活用イメージ
- 空き家・古民家をリノベーションして一棟貸しの無人宿として新事業参入
- 既存のビジネスホテルを、サウナ・サ飯付きの滞在型施設へコンセプト転換
- 農業法人が、自社圃場体験+宿泊を組み合わせたアグリツーリズム型宿を新設
新事業進出補助金で特に注意したいポイント
- 「新事業性」:既存事業との違い(市場・顧客・提供価値)を明確に説明できるか
- 「高付加価値性」:客室単価アップや付帯サービス(体験・飲食・物販)による付加価値向上を数字で示せるか
- 「実現可能性」:過大な投資になっていないか、人員体制・運営フローが現実的か
宿泊系の事業は投資額が大きくなりやすいため、
・銀行融資(長期返済)+ 新事業進出補助金 + 自己資金
のような3本立ての資金計画を組むのが一般的です。
新事業進出補助金の内容については下記の記事で詳細に解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:新事業進出補助金申請サポート徹底ガイド|制度概要・補助率・要件・事例を全て解説
公式情報はこちら:
中小企業省力化投資補助金(無人化・省人化の導入に最適)
中小企業省力化投資補助金は、現場の人手不足を補うための省人化設備・DXツールの導入を支援する補助金です。
宿泊施設では、既存の建物に対して「無人化・自動化」を進める際に活用しやすい制度です。
- 対象イメージ:人手不足・長時間労働を改善するための設備・システム導入
- 宿泊業で代表的な対象例:
- セルフチェックイン機・自動精算機
- スマートロック・顔認証・キーレスシステム
- 清掃ロボット・搬送ロボット・配膳ロボット
- クラウドPMS・予約一元管理・バックヤード業務の自動化システム
ポイント:
新事業進出補助金で「ハード(建物・設備)」を整備し、
中小企業省力化投資補助金で「省人化・DX設備」を補う、という組み合わせも検討に値します。
小規模事業者持続化補助金(Webサイト・広告PR向け)
小規模事業者持続化補助金は、比較的少額の販路開拓・PR・IT導入を支援する制度で、
小規模な宿泊施設や一棟貸しのオーナーとも相性が良い補助金です。
- 公式Webサイト(多言語対応含む)の制作・リニューアル
- 予約エンジンの導入、写真・動画のプロ撮影
- チラシ・パンフレット・ガイドマップの作成
- SNS広告・Web広告の出稿費 一部 など
建物や設備を整えたあと、「知ってもらうための予算」を確保することは非常に重要です。
そうした販路開拓部分を小規模事業者持続化補助金で一部補う、という考え方が現実的です。
観光庁系の地域観光事業補助金(年度による)
観光庁・地方自治体などが公募する、地域観光をテーマにした補助金も、宿泊施設の新規事業と相性が良いケースがあります。
年度ごとに公募内容が大きく変わるため、最新情報のチェックが必須です。
- 地域一体となった観光コンテンツ造成・周遊促進事業
- インバウンド受け入れ環境整備(多言語化・キャッシュレス対応 等)
- 高付加価値化・長期滞在促進を目的としたモデル事業 など
「単なる宿泊」ではなく、「地域体験のハブ」としての機能を強める事業は、こうした観光庁系の補助金と相性が良い傾向があります。
補助金を使った場合の資金計画モデル
宿泊施設の新規事業では、「自己資金+融資+補助金」をどう組み合わせるかが非常に重要です。
簡易的な例として、以下のようなイメージが考えられます。
| 項目 | 内容イメージ |
|---|---|
| 建物改修・大型設備 | 新事業進出補助金 + 銀行融資(長期) |
| 省人化・DX設備 | 中小企業省力化投資補助金 + 自己資金 |
| Webサイト・広告・クリエイティブ | 小規模事業者持続化補助金 + 自己資金 |
補助金は「原則・後払い」であるため、いったん全額を立て替えられるだけの資金計画が必要です。
そのため、・いつ いくら支出が発生し、
・いつ 補助金が入金される見込みかを資金繰り表に落とし込んでおくことが重要です。
6. 宿泊施設の新規事業で失敗しやすいパターン
6-1. 客層がぼやけて「誰のための宿か分からない」
「観光客もビジネス客もファミリーもインバウンドも…」と広げ過ぎると、結局誰からも選ばれにくくなります。
ターゲットを1つ決め、それ以外は「来てくれたら嬉しい」程度に考えるくらいの割り切りが大切です。
6-2. 地域ニーズの調査をせずに設備投資してしまう
サウナ・ペット・グランピングなど、どれもトレンドとして魅力的ですが、そのエリアで本当に求められているかは別問題です。
- 周辺の宿泊施設・温浴施設・観光資源との関係
- 来訪者の交通手段(車中心か、公共交通中心か)
- 季節性(冬場にどの程度集客できるか)
こうした要素を見ずに大きな投資をすると、回収に苦労するケースが少なくありません。
6-3. 固定費が重すぎてキャッシュフローが回らない
建物の借入・家賃・人件費が重すぎると、想定より少し稼働率が下振れしただけで資金繰りが苦しくなります。 特に新規事業では、「想定より売上が2〜3割低くても耐えられる設計か」を必ずチェックすべきです。
7. 宿泊施設 新規事業を成功に近づける事業計画づくり
7-1. 5つのステップで考える
- ターゲットの明確化(誰に来てほしいのか)
- 提供価値の設計(他と何が違うのか、どこに感動があるか)
- 料金戦略(単価・プラン構成・閑散期の打ち手)
- 集客導線(OTA・公式サイト・SNS・リピーター施策)
- 投資・資金計画(自己資金・融資・補助金の組み合わせ)
7-2. 高付加価値化と省人化をセットで設計する
個人的には、これからの宿泊施設 新規事業は、
「お客様にとっての体験価値を高める」ことと「現場の省人化・効率化」をセットで考えることが必須だと思います。
- チェックイン〜チェックアウトは可能な限り非対面・省人化
- スタッフは「おもてなし」「体験提供」に集中できる環境を整える
- 定量的なKPI(稼働率・単価・粗利・レビュー評価)を数字で追う
こうした思想で事業計画を書いていくと、補助金の審査や金融機関の評価の面でもプラスに働きやすくなります。
8. 専門家に相談した方がいいタイミング
宿泊施設の新規事業は、「不動産」「建築」「旅館業法・消防法」「補助金」「融資」「マーケティング」など、非常に多くの専門分野が絡む事業です。
そのため、すべてを自社だけで判断しようとすると、見落としや誤算が起きやすい領域でもあります。
次のような段階に来ているなら、一度専門家に相談するメリットは非常に大きいです。
- 物件候補が具体的にあり、用途変更や改修のイメージが見えてきた
- 大まかな投資額が見えてきたが、資金計画に不安がある
- 補助金を使いたいが、どの制度が自社に合うのか判断がつかない
- すでに簡単な事業計画は作ったが、第三者目線でのチェックが欲しい
全てを丸投げするというより、「自分なりに組んだ計画をブラッシュアップしてもらう」というスタンスで専門家を活用するのが、費用対効果の高い使い方です。
▼ 駒田会計事務所へ相談するメリット
- 新事業進出補助金をはじめ宿泊業向けの補助金に精通しており、採択されやすい事業計画のポイントを具体的にアドバイスできる
- 建物改修・設備投資・省人化投資を含む資金計画の設計を、融資も含めて現実的に組み立てられる
- 宿泊業のマーケット動向・収益構造に基づいた売上・収益シミュレーションの作成が可能
- 初回相談から申請書作成サポート、採択後の実績報告まで一貫サポート
宿泊の新規事業は投資規模も大きく、後戻りが難しい領域です。
「この方向性で進めていいのか?」と迷いがある段階でも、早めに相談いただくことで、着地が大きく変わるケースが多くあります。
駒田会計事務所は全国からの相談を初回無料で受け付けています。
まずは気軽な相談でも構いませんので、お気軽にご連絡ください
まとめ
今回は宿泊施設の新規事業についてまとめてきました。ポイントは下記の通りです。
- 旅行需要は回復しており、体験型・長期滞在・テーマ型など新しいニーズに応える宿にはチャンスがある。
- 人手不足が続く中、省人化・無人運営を前提にした設計を行うことが、持続可能な新規事業の鍵になる。
- 補助金を活用すれば、建物改修・設備投資・IT導入・販促費の一部をカバーできるが、事業計画の質が採択の分かれ目になる。
- ターゲット・提供価値・料金戦略・集客導線・投資回収を一体で考えた数字ベースの事業計画が重要。
- 物件や投資額が具体化してきた段階では、補助金・資金計画・法令対応に詳しい専門家に早めに相談すると失敗リスクを下げやすい。
まずは無料相談から始めてみませんか?
「自分の事業が補助対象になるか分からない」「どのように申請すればいいか不安」という方も、まずはお気軽にご相談ください。
駒田会計事務所では、初回無料相談を通じて、事業内容やビジョンに合った補助金の活用方法をご提案しています。
- 採択実績300件以上:ものづくり補助金・事業再構築補助金等
- 「新事業進出補助金」にもいち早く対応し、各業種で申請支援中
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