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補助金の消費税区分を完全解説!非課税・不課税・返還処理・仕訳までわかりやすく

補助金の消費税区分を完全解説!非課税・不課税・返還処理・仕訳までわかりやすく

「補助金を受けたけど、これって消費税がかかるの?」――そんな疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。補助金は国や自治体から支給されるありがたい制度ですが、会計処理や返還時の扱いを誤ると、税務調査で思わぬ指摘を受けるリスクがあります。

結論から言えば、補助金は原則として「消費税の課税対象外」です。
ただし、「課税対象外」とはいえ、補助金を使って購入した設備や備品などに関しては、仕入税額控除の対象になるかどうかなど、実務上の判断が必要になるケースもあります。

本記事では、補助金と消費税の関係を、国税庁の見解と実際の会計処理の両面からわかりやすく解説します。
補助金の活用を検討中の方や、処理方法に不安を感じている方は、実務経験豊富な駒田会計事務所が具体的なポイントを詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください

駒田裕次郎

監修: 駒田 裕次郎(こまだ ゆうじろう)

駒田会計事務所 【コマサポ】代表

【来歴】大手監査法人の経験を活かし、創業支援・補助金支援を中心とする「駒田会計事務所」を東京・渋谷に設立。資金調達や事業計画の作成、税務や経営相談まで顧客に寄り添うきめ細やかなサポートを提供。

【実績】創業融資・補助金の支援実績は、累計3,000件以上(2025年1月末現在)

【所有資格】公認会計士・税理士・認定支援機関

「一人ひとりの起業家の成功を願い、日本の未来を明るくする」をモットーに、日々奔走。

Contents

補助金と消費税の課税対象外(不課税)

補助金は、国や自治体などからの一方的な給付であり、対価を得て役務や商品を提供する取引ではありません。
したがって、消費税法上の課税対象外(不課税)として取り扱います。

補助金は原則「消費税の課税対象外」

・補助金は「対価性」がないため課税売上には含まれません
・会計上は「雑収入」や「補助金収入」等で処理しますが、消費税は発生しません
・ただし、補助金を使って購入した資産・経費の仕入税額控除の可否には注意が必要です。

課税(対価あり)
非課税(法律で課税しない)
不課税(そもそも課税対象外) ← 補助金はココ
区分意味補助金の扱い
課税商品や役務の提供など、対価を得る取引。消費税の対象。× 対象外
非課税社会的配慮等により課税しないと法で定めた取引(例:土地の譲渡、利子など)。× 該当しない
不課税そもそも消費税の課税対象外となるもの(取引に該当しない一方的給付など)。○ 該当(補助金)

補足:「課税」「非課税」「不課税」は似ていますが、課税売上割合の計算や仕入税額控除の可否に影響します。
補助金は不課税のため、課税売上高には含めません。

「消費税を含む」「含まない」の扱い

補助対象経費に含まれる消費税の考え方

  • 補助金交付額は原則「税抜価格」を基準に算定します。
  • 多くの制度で消費税相当額は補助対象外(=事業者負担)とされています。
  • 例:機械購入費 1,000,000円(税抜)1,100,000円(税込) → 補助対象は税抜1,000,000円のみ

項目金額補助対象
機械購入費(税抜)1,000,000円○ 対象
消費税(10%)100,000円× 対象外(原則)
合計(税込)1,100,000円

補足:補助率の計算も「税抜ベース」が前提です。交付要領で税込基準が認められていない限り、税込金額で申請しないよう注意してください。

課税事業者と免税事業者で異なる処理

課税事業者の場合

  • 原則、税抜ベースで補助対象を計上。
  • 消費税相当額は事業者負担。仕入税額控除の可否は事業内容や課税売上割合に依存。
  • 交付要領に「消費税は対象外」と明記されていることが多い。

免税事業者の場合

  • 消費税を納めないため、税込で補助対象とする取扱いが認められる制度もあり。
  • ただし制度ごとに異なるため、交付要領・募集要項の明記を必ず確認。
  • 将来、課税事業者選択やインボイス登録をする場合の整合性にも留意。

チェックリスト:
・交付要領/募集要項に「消費税は対象外」の記載があるか
・申請書・見積書・請求書の金額が税抜/税込のどちら基準か
・(課税事業者)仕入税額控除・課税売上割合への影響を整理したか

補助金を返還したときの消費税処理

返還が必要となるケース

補助金の返還が必要となるのは、以下のような場合です。

  • 実績報告で経費が減少した場合
  • 補助事業の中止・取り下げを行った場合
  • 不正受給など、行政側から返還を求められた場合

注意:返還は原則として「消費税の課税対象外」であり、返還額に対して消費税を上乗せして納付する必要はありません。

補助金返還時の仕訳例

借方貸方摘要
補助金収入(雑収入)現金預金補助金返還

ポイント:補助金返還は消費税の課税対象外であるため、
「仮受消費税」や「仮払消費税」などの勘定科目には一切影響しません。

 

補助金と仕入税額控除の関係

注意してほしい点として補助金と仕入税額控除があります。

補助金を受けた経費に含まれる消費税は控除対象?

  • 仕入税額控除の対象は、「課税売上に対応する課税仕入れ」に係る消費税です。
  • 補助金で全額まかなった部分は、実質的に事業者の支出ではないと評価され、控除対象外とされる取扱いがあり得ます。
  • この判断は、課税売上割合や費用配賦の考え方にも関係するため、個別の制度・実態に即した検討が必要です。

注意:補助金は不課税(課税対象外)であり課税売上には含めません。
ただし、補助金で取得した資産・経費に含まれる消費税の控除可否は、支出の負担関係用途(課税/非課税対応)によって変わります。

ケース負担関係仕入税額控除の扱い(概要)
全額補助消費税相当額を含め、実質的に事業者負担なし控除対象外となる取扱いがあり得る
一部補助事業者が一部を自己負担自己負担部分に対応する消費税は控除対象になり得る
非課税対応あり資産・経費が非課税売上にも共通対応課税売上割合に応じて按分(控除一部不可)

メモ:課税売上割合=課税売上高 ÷ 総売上高
補助金は不課税のため分母・分子のいずれにも含めませんが、資産・経費の用途配賦には影響します。

簡易課税事業者のケース

  • 補助金収入は「課税売上高」に含めない(不課税のため)。
  • したがって、みなし仕入率の計算にも影響しないのが原則。
  • ただし、補助金で取得した資産の用途(課税/非課税対応)や将来の課税選択には留意。

チェックポイント:
・交付要領(税抜/税込の扱い)
・資産の用途(課税売上対応か、共通対応か)
・全額補助か/一部補助か(自己負担の有無)
・(本則へ変更予定があれば)将来の整合性

実務上の留意:制度や取引実態により結論が異なることがあります。重要な投資や大口案件では、事前に会計事務所へご相談いただくと安全です。

ケーススタディで学ぶ:補助金と消費税の関係

以上の内容について、代表的な場面を具体的な数字で整理します。

CASE 1:課税事業者/税抜基準の補助(最も一般的)

機械を税込1,100,000円(税抜1,000,000円、消費税100,000円)で購入。補助率1/2(税抜ベース)。

項目金額ポイント
補助金額(税抜の1/2)500,000円補助金は不課税、課税売上には含めない
事業者負担(税抜)500,000円自己負担部分に対応する消費税は控除対象になり得る
消費税(仕入)100,000円用途が課税売上対応なら控除可(共通対応なら按分)
要点:補助金は不課税。仕入税額控除は「用途」と「負担関係」で判断補助金額は550,000円ではなく、500,000円である点に注意。

CASE 2:免税事業者/税込で補助対象とされる制度

制度により、免税事業者は税込で補助対象とされる場合あり(交付要領の確認が必須)。

  • 補助金額は税込見積を基に算定される場合がある。
  • 免税事業者はそもそも消費税を納付しないため、仕入税額控除はなし
  • 将来、課税事業者選択・インボイス登録予定があるなら、投資のタイミング・整合性に注意。
注意:税込補助の可否は制度次第。募集要項・交付要領を必ず確認

CASE 3:全額補助で自社負担が実質ゼロ

資産取得費用を補助金で全額賄ったケース。

  • 消費税相当額まで公費で賄われると、実質的に自社負担がないため、仕入税額控除が認められない取扱いがあり得る。
  • 共通対応資産であっても、負担関係の整理が前提。
ポイント:「誰が負担したか」で控除の可否が変わる。

CASE 4:一部補助・一部自己負担(按分の考え方)

税抜1,000,000円、補助率40%、消費税100,000円。

負担主体金額控除の考え方
補助金(40%)400,000円不課税。対応する消費税は控除不可になり得る
自己負担(60%)600,000円課税売上対応なら控除可、共通なら課税売上割合で按分
消費税(参考)100,000円実務上、負担関係と用途で控除額を判定

CASE 5:補助金の一部返還が発生

実績報告で経費が減り、補助金100,000円を返還。

借方貸方摘要
補助金収入(雑収入)現金預金補助金返還(不課税)
要点:返還は課税仕入・課税売上のいずれにも該当しない仮受・仮払消費税に影響なし

CASE 6:共通対応資産(課税・非課税の両方に使用)

設備を課税売上80%、非課税売上20%に共通利用。

  • 仕入税額控除は課税売上割合(80%)相当分のみ認められる(端数処理は制度に従う)。
  • 補助金が入っている場合は、負担関係+用途で控除額をさらに調整。

CASE 7:簡易課税事業者

  • 補助金収入は課税売上高に含めない(不課税)。
  • したがって、みなし仕入率の計算に影響しない
  • 本則への変更予定がある場合は、投資時期・控除可否の見通しを確認。

CASE 8:交付要領に「消費税は対象外」と明記

交付要領で「補助対象は税抜金額」と定められている場合。

  • 税込で申請してしまうミスが頻発。見積・請求の表記(税抜/税込)を統一。
  • 補助率の計算、精算時の差異が出やすいため、最初から税抜基準で管理
チェック:要領・要項・様式の但し書きを必ず確認。

総括:補助金は不課税で課税売上には含めません。
ただし、仕入税額控除は「用途(課税/非課税)」「負担関係」「課税売上割合」で結論が変わります。
重要な投資や返還を伴う案件は、駒田会計事務所(コマサポ)へご相談ください(全国オンライン対応)。

実務での注意点とよくある誤解

補助金は不課税ですが、申請・精算・会計処理のいずれかで誤ると返還額や消費税の控除に影響します。
下記のポイントをチェックして、トラブルを未然に防ぎましょう。

よくある誤解・ミス

  • 「補助金に消費税が含まれる」と誤解し、返還額を税込で計算してしまう。
  • 補助金対象経費を税込金額で申請してしまい、交付要領(税抜基準)と不一致になる。
  • 課税売上割合の計算違いにより、仕入税額控除を過大・過少にしてしまう。
  • 見積書・契約書・請求書で税抜/税込の表記が混在し、実績精算で差額が発生する。

チェックリスト:

  • 交付要領・募集要項に「消費税は対象外」と明記されていないか確認
  • 申請・契約・支払い・実績報告まで税抜基準で一貫管理
  • 課税売上割合(共通対応資産の按分)を適正に計算
  • 返還が発生したら不課税の返還仕訳を用い、仮受・仮払消費税に触れない
  • 免税事業者の扱いは制度により異なるため、要領の但し書きを必ず確認

やるべきこと(Do)避けるべきこと(Don’t)
見積・契約・請求・実績を税抜で統一管理途中から税込表記に切り替え、整合性が崩れる
補助金は不課税として課税売上から除外補助金を課税売上に含めてしまう
共通対応資産は課税売上割合で按分按分せず全額控除してしまう
返還時は補助金収入/現金預金で不課税処理返還額に消費税を上乗せして処理

税務署からの指摘で多いパターン:
・補助金対象の資産を共通対応としているのに按分漏れ
返還精算時の会計処理ミス(課税扱い・税込返還など)
・申請書と実績報告で税抜/税込の不一致による差額発生

迷ったら、早めに専門家へ。駒田会計事務所は、申請・実績・消費税申告まで一気通貫でサポートします(全国オンライン対応)。

駒田会計事務所によるサポート内容

補助金と税務処理を一体でサポート

駒田会計事務所では、補助金申請と税務処理をワンストップで支援しています。

新事業進出補助金」「省力化投資補助金」「小規模事業者持続化補助金」など、幅広い制度に対応。
申請サポートだけでなく、補助金受給後の消費税区分・返還処理・課税売上割合の整理まで、実務的にフォローします。

🧾 補助金対応サポート

  • 事業計画書・申請書の作成支援
  • 実績報告・経費整理のサポート
  • 補助金返還時の仕訳・税務処理アドバイス

💼 税務・会計支援

  • 補助金の消費税区分(課税・不課税)の判定
  • 課税売上割合・仕入税額控除の整理
  • 確定申告・法人税申告書への反映

全国対応・オンライン相談可能:
Zoomやメールを活用し、地方の事業者様を含む全国の事業者様に対応しています。
補助金の活用から税務処理まで一気通貫でサポートいたします。

まとめ:補助金と消費税の取り扱い

今回は「補助金と消費税の関係」についてまとめてきました。ポイントは下記の通り。

  • 補助金そのものは不課税であり、課税売上高には含めない
  • 交付額は原則税抜基準で算定。消費税相当額は多くの制度で補助対象外
  • 返還は課税仕入・課税売上に該当せず仮受・仮払消費税に影響しない
  • 仕入税額控除は用途と負担関係で判断(全額補助は控除不可になり得る/共通対応は割合按分)。
  • 免税事業者や制度固有の但し書きは取扱いが異なるため、交付要領の確認が必須。

実務はケースごとに結論が変わります。迷ったときは、申請・実績・消費税申告まで一体で支援できる
駒田会計事務所へご相談ください(全国オンライン対応)。

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✅ 駒田会計事務所では、補助金申請のご相談を全国対応で承っております (監修:公認会計士 駒田裕次郎|プロフィールを見る
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