建設業の省力化は、いまや「できればやりたい改善」ではなく、受注を維持し、利益を守るための必須投資になっています。
一方で、ICT建機や3D測量機器、施工管理システムなどは導入費用が大きく、自己資金だけで進めると資金繰りを圧迫するケースも少なくありません。
そこで選択肢になるのが、中小企業省力化投資補助金(一般型)です。
本記事では、建設業でどの程度採択されているのか、どんな投資が採択されやすいのかを整理し、申請で失敗しないポイントまで解説します。
✅ 建設業で省力化が急務な理由(2024年問題・人手不足・受注維持)
✅ 省力化投資補助金(一般型)の採択データ(第1回〜第3回)と建設業の採択割合
✅ 建設業で採択されている投資テーマ(ICT建機/測量DX/バックオフィスDX 等)
✅ 採択されやすい計画の共通点・不採択になりやすい落とし穴
✅ 駒田会計事務所に申請サポートを依頼するメリット
Contents
建設業で省力化が「待ったなし」な理由
1)2024年問題で“残業で回す現場”が限界に
2024年4月から、建設業にも時間外労働の上限規制が本格適用されました。
これまで「繁忙期は残業でカバー」「工程が遅れたら休日出勤で対応」といった運営は、制度上難しくなっています。
例えば、
- 月45時間超の残業制限
- 年720時間の上限規制
- 違反時の罰則リスク
これにより、従来と同じ施工体制では「工期を守れない」「利益が出ない」可能性があります。つまり、建設現場の省力化は“効率化”ではなく、法令対応そのものなのです。
2)人手不足は一時的ではなく構造問題
建設業の就業者数は長期的に減少傾向にあり、特に若年層の入職が少ない状況が続いています。さらに、
- 技能者の高齢化
- 外国人材制度の不安定化
- 採用コストの上昇(求人広告・紹介手数料の高騰)
- 育成期間の長期化(即戦力化しにくい)
といった経営圧迫要因が重なっています。今後、「人を増やして解決する」という戦略は現実的ではありません。必要なのは、少人数でも利益を出せる施工体制づくりです。
3)省力化は「コスト削減」だけでなく「受注維持」の投資
省力化=人件費削減、と考えるのは不十分です。実際には、
- 施工日数短縮 → 年間の受注対応件数が増える
- 作業人数削減 → 人員を他現場へ再配置できる
- 手戻り減少 → 原価が改善し粗利が残りやすい
- 品質の安定 → 評価が上がり次年度受注につながる
というように、売上と粗利を守るための投資です。
例えば、施工日数を15%短縮できれば、年間40件施工している会社は理論上46件対応でき、受注機会の損失を減らせます。これは単なるコスト削減ではなく、競争力の維持・拡大に直結します。
建設業の省力化は、法規制対応・人材不足対策・利益確保・受注維持・競争優位性確保という経営の根幹に直結するテーマです。だからこそ、投資を先送りにするリスクの方が大きいのです。
省力化投資補助金(一般型)の採択状況
省力化投資補助金(一般型)の公式サイト「採択結果」では、第1回〜第3回の申請数と採択数が公表されています。。
| 公募回 | 申請数 | 採択数 | 採択率(計算) |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 1,809 | 1,240 | 約68.5% |
| 第2回 | 1,160 | 707 | 約60.9% |
| 第3回 | 2,775 | 1,854 | 約66.8% |
※申請数・採択数は公式サイトの採択結果ページに掲載。採択率は(採択数÷申請数)
ものづくり補助金の採択率が30~40%、新事業進出補助金の採択率が約30%前後であることを考慮すると省力化投資補助金は採択率が高い補助金といえるでしょう。
そして、「主たる業種別の採択件数割合」によると建設業の採択割合は次の通りです。
| 公募回 | 建設業の採択割合 | 建設業の採択数(概算) |
|---|---|---|
| 第1回 | 11.3% | 約140件(1,240×11.3%) |
| 第2回 | 12.4% | 約88件(707×12.4%) |
| 第3回 | 15.5% | 約287件(1,854×15.5%) |
建設業の採択割合は、第1回11.3% → 第2回12.4% → 第3回15.5%と上昇しています。つまり、建設業の省力化投資は制度の趣旨(人手不足対応・生産性向上)と合致しやすく、採択されやすい業種と読み取れます。
1)ICT建機・スマート施工(最頻出)
採択事例で最も多いのが、ICT建機(ICTバックホー等)やマシンコントロール(MC)、チルトローテータといったスマート施工の導入です。
「少人数でも施工品質を維持し、工期を短縮する」ストーリーが作りやすく、採択につながりやすい傾向があります。
- (第1回/関東)土木工事をICT施工化し、労働生産性を高める(ICT施工による現場の省力化・効率化)
- (第1回/関東)ICT施工技術を導入し、作業効率の改善と労働条件の改善を狙う
- (第1回/北陸)ICT機能付きバックホーを導入し、施工効率化・省力化を実現する
- (第1回/中部)ICT建機導入で適正施工(品質・精度)を実現し、現場を効率化する
- (第2回/近畿)ICT建機導入により基礎工事を効率化し、受注拡大につなげる
- (第2回/近畿)地域インフラ整備のためにICT施工体制を高度化し、省人化を進める
- (第2回/中部)整地作業のワンオペレーション化(i-Construction推進)を実現する
- (第2回/中国)チルトローテータ導入で小規模工事の多能工化(少人数施工)を進める
- (第2回/九州)多機能バックホー導入で省力化と生産性向上を実現する
- (第3回/北海道)ICT建機+自動化施工で省力化と高精度施工を両立する
- (第3回/東北)ICT建機導入により、ICT施工の内製化(自社対応力強化)と省力化を進める
- (第3回/関東)ICT機器と重機連携で掘削作業の生産性を高める
- (第3回/九州)チルトローテータとMC施工を組み合わせ、土工を省力化する
ICT建機系は、①作業人数削減 ②段取り削減 ③手戻り削減 ④工期短縮 ⑤若手でも施工しやすい、のいずれかを数字で説明できると強くなります。
2)測量・解析・出来形管理のDX(3Dスキャナ/測量設備の高度化)
第3回では特に、測量工程の省力化や3Dスキャナ導入など、測量・解析領域のDXが目立ちます。
現場監督や測量担当の「時間を食う業務」を削減しやすく、定量化もしやすいテーマです。
- (第2回/近畿)測量・解析業務をICT化し、省力化と施工体制強化を図る
- (第3回/北海道)路面切削工事のプロセスを最新の測量設備で省力化する
- (第3回/北海道)3Dスキャナ導入で測量を省力化し、ICT施工を推進する
「測量◯日→◯日」「出来形整理にかかる時間」「現場監督の残業削減」など、管理業務の削減として語れるのが強みです。
3)特殊工事の省人化(圧入・敷設・地盤改良など)
鋼矢板圧入、鉄板敷設、地盤改良など、専門工種での省人化・短工期化も採択例があります。
安全性向上(危険作業の削減)を同時に説明できるため、計画の説得力が上がりやすいカテゴリです。
- (第1回/中部)鋼矢板圧入工事など、頭上制限下作業の省力化と短工期化を目指す
- (第2回/九州)鉄板敷設作業を省力化し、災害対応の迅速化とICT工事の内製化を進める
- (第2回/九州)地盤改良工事の省力化と品質向上で、人手不足に対応する
「危険作業の削減」「少人数でも施工継続」「災害時の即応性」など、公共性・地域性と相性が良いテーマです。
4)鉄骨・建設資材の加工工程の自動化(溶接ロボット等)
建設工事そのものだけでなく、鉄骨製造や鋼材加工など建設関連の製造工程でも採択例があります。
ロボット化・半自動化は、生産性・品質・不良率などで効果を数字にしやすいのが特徴です。
- (第3回/関東)溶接ロボット導入により、鉄骨製造の生産体制を確立し省力化を進める
「加工時間」「段取り時間」「不良率」「熟練依存の解消」など、製造KPIで語れると強いです。
5)バックオフィスDX(見積・顧客対応・勤怠・現場管理の一元化)
現場以外の業務(見積、顧客対応、勤怠、現場管理)を省力化する計画も採択されています。
建設業は現場監督・事務スタッフの負荷がボトルネックになりやすいため、「間接業務の削減」は実務的に刺さります。
- (第1回/東北)AIチャットボットや見積自動化により、顧客対応を省力化し生産性を向上する
- (第3回/関東)勤怠・現場管理を一元化するWEBシステムで業務効率化を進める
- (第3回/北海道)DX導入で業務を効率化し、人的資源を再配置する成長戦略
バックオフィスDXは「便利」ではなく、現場投入できる時間を増やす(監督が現場に出られる)という設計にすると説得力が増します。
6)人材・運用まで含めたDX(AI/RPA等)
建設業では、技能実習生対応や事務処理が重い会社も多く、AI・RPA等による運用業務の省力化も採択例があります。
「人が足りないからこそ、管理を仕組み化する」方向性です。
- (第3回/関東)AIとRPAで、技能実習生の採用・在留・教育管理を一体的に省力化する
- (第3回/東北)損傷検知AIアプリ導入により、インフラ点検の生産性を高める
「採用・教育・在留管理」や「点検業務」のような、継続コストが重い業務を対象にすると、投資の妥当性を説明しやすいです。
省力化にはコストがかかる|導入費用の目安と資金負担
建設現場の省力化は効果が大きい一方で、投資額も大きくなりがちです。例えば、検討されやすい投資は次の通りです(あくまで一般的な目安)。
- ICT建機(改修・導入):数百万円〜数千万円
- 3Dスキャナ/測量機器:数十万円〜数百万円(機器構成で変動)
- 施工管理クラウド:初期費用+月額費用(利用人数・機能で変動)
- 溶接ロボット等の自動化設備:数百万円〜数千万円
ここで問題になるのが、「必要だが、キャッシュが持たない」という現実です。
自己資金だけで賄えば資金繰りに影響し、借入だけで進めれば返済負担が重くなる。だからこそ、投資負担を抑える手段として省力化投資補助金が有効になります。
省力化投資補助金(一般型)とは?建設業と相性が良い理由
省力化投資補助金(一般型)は、オーダーメイド性のある設備・システム導入を支援し、生産性向上や省力化を後押しする制度です。建設業と相性が良い理由は次の通りです。
- 投資額が大きい(ICT建機・測量DXなど)→ 補助の効果が大きい
- 省力化効果が定量化しやすい(工期短縮、人員削減、手戻り削減など)
- 社会課題(人手不足)との整合性が高い → 審査で説明しやすい
一方で、補助金は「採択されれば終わり」ではありません。要件(例:賃上げや付加価値の考え方など)や、後払いの資金繰りも含めて、事前の設計が重要です。
採択されやすい建設業の事業計画|3つの共通点
共通点1:課題が“現場の言葉”で具体的
例として、次のように書けると強いです。
- 「若手が不足し、2班体制が組めず繁忙期に受注を断っている」
- 「測量・出来形・写真整理に週◯時間かかり、現場監督が疲弊している」
- 「丁張・検測の手戻りが発生し、月◯件のロスにつながっている」
共通点2:省力化効果を“数字”で示している
採択されやすい計画は、「導入したら良くなる」ではなく、
- 工期:◯日 → ◯日(▲◯%)
- 作業人数:◯人 → ◯人(▲◯人)
- 段取り時間:週◯時間 → 週◯時間(▲◯時間)
のように、改善幅が明示されています。
共通点3:投資が“受注・利益”につながる筋が通っている
省力化は、あくまで経営成果につながって初めて意味があります。
- 工期短縮 → 回転率向上 → 受注余力が増える
- 省人化 → 外注費や残業が減る → 粗利が改善する
- 品質安定 → クレーム・手戻り減 → 原価が下がる
不採択になりやすいパターン(建設業で多い落とし穴)
- 設備ありきで、経営課題とのつながりが弱い
- 数字がない(工期・人員・時間・原価の改善幅が曖昧)
- 導入後の運用体制(教育・担当・手順)が書けていない
- 効果が一時的で、継続性が示せない
言い換えると、補助金の審査は「機械を買いたいか」ではなく、“投資で生産性がどう上がるか”を見ています。ここを押さえれば、建設業は十分に勝負できる領域です。
駒田会計事務所の申請サポートでできること
省力化投資補助金は、採択率が高めの回もある一方で、定量計画・投資回収・要件整理を外すと不採択や手戻りの原因になります。
駒田会計事務所では、建設業の省力化投資において、次のような支援を行っています。
- 現場ヒアリング(どこに時間・人が取られているかを棚卸し)
- 省力化効果の定量化(工期・人員・外注費・残業などを数字に落とす)
- 投資回収の設計(粗利改善・回転率向上を計画化)
- 事業計画書・添付書類の作成支援(審査目線で整える)
- 全国オンライン対応(地方でも同品質の支援が可能)
「補助金のための書類」ではなく、“採択され、かつ現場で回る投資計画”に落とし込むことが重要です。省力化投資の検討段階からご相談いただくことで、失敗確率を下げられます。
よくある質問(FAQ)
Q. 建設業でも本当に採択されている?
はい。採択結果概要(第1回〜第3回)では、建設業の採択割合が第1回11.3%、第2回12.4%、第3回15.5%と上昇しています。建設業の省力化投資は制度趣旨に合致しやすいと言えます。
Q. どんな投資が狙い目?
採択者一覧を見る限り、ICT建機・測量DX(3Dスキャナ等)・現場の省人化機械・バックオフィスDXが頻出です。自社の課題と結びつけて、効果を数字で説明できるテーマが狙い目です。
Q. 申請で一番大事なことは?
建設業の場合、特に重要なのは省力化効果の定量化です。工期・人数・作業時間・外注費・残業などを、導入前後で比較できる形にすることが採択のカギになります。
まとめ
今回は「建設業の省力化と省力化投資補助金」についてまとめてきました。ポイントは下記の通り。
- 建設業の省力化は、労働時間規制・人手不足の中で受注と利益を守る必須投資
- 一般型(第1回〜第3回)の採択率は約60〜69%で推移し、建設業の採択割合は11.3%→12.4%→15.5%と上昇
- 採択されやすい投資は、ICT建機・測量DX・省人化機械・バックオフィスDXなど
- 採択のカギは、課題と投資のつながりを示し、効果を数字で説明すること
- 迷うなら、駒田会計事務所のような専門家と一緒に、採択される計画に落とし込むのが近道
「省力化は必要だけど、投資が重い」「何をどう書けば採択されるのか不安」——そんな場合は、早めに計画から整理するのがおすすめです。
駒田会計事務所では、全国対応で、省力化投資補助金の申請を“数字に強い計画”へ落とし込む支援を行っています。ご状況に合わせて、投資の方向性から一緒に整理できますので、お気軽にご相談ください。
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まずは無料相談から始めてみませんか?
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