中小企業省力化投資補助金を申請するにあたって、補助金は返済不要なのかどうか気になる方も多いですよね。
中には100%返済不要だと思われている事業者の方がいらっしゃいますが、これは誤りです。
場合によっては、返済を求められるケースがあるため、注意しなければなりません。
今回は中小企業省力化投資補助金の返済を求められるケースについて解説していきます。
中小企業省力化投資補助金は原則として返済不要
大前提ですが、中小企業省力化投資補助金は原則として返済不要です。
補助金や助成金は返済不要で、事業の成長のために交付される資金です。
ですので、基本的には融資とは異なり、国に返す義務はありません。
ただし、特別なケースの場合は返済義務が生まれます。
特別なケースを理解しておらず、後から返済を求められ大きなトラブルになるケースは少なくありません。
ですので、中小企業省力化投資補助金で返済を求められるケースは事前に把握しておく必要があります。
それでは具体的にどのようなケースで返済を求められるのか、次の章で確認していきましょう。
中小企業省力化投資補助金で返済を求められる5つのケース
中小企業省力化投資補助金で返済を求められるケースは主に下記のケースです。
- 省力化製品の1年未満の利用停止・廃棄など
- 人員の解雇
- 労働生産性の向上に係る目標が未達
- 違反が後に発覚した
- 賃金をあげられなかった
- 虚偽報告や他の目的での流用など事務局をだます行為
- 収益納付の義務
具体的に解説していきます。
省力化製品の1年未満の利用停止・廃棄など
中小企業省力化投資補助金で導入した省力化製品の納品後1年未満で省力化製品の利用停止・廃棄・撤去・改造等を行う場合、補助金返還の対象となります。
必ず1年以上利用するようにしましょう。
人員の解雇
省力化を通じて人員整理・解雇を行った場合は補助金返還の対象となります。
中小企業省力化投資補助金はあくまで解雇を前提とせず、生産性をあげることを目的としています。
そのため、省力化できたからといって、人員整理・解雇を行うことは認められていません。
労働生産性の向上に係る目標が未達
労働生産性の向上に係る目標が未達の場合も補助金返還の対象となり得ます。
労働生産性の向上に係る目標とは補助事業終了後3年間で毎年、申請時と比較して労働生
産性を年平均成長率(CAGR)3.0%以上向上させることです。
事業再構築補助金では目標未達成についてのペナルティは言及されていませんでしたが、中小企業省力化投資補助金では返還の対象となる旨言及されています。
必ず達成するようにしましょう。
違反が後に発覚した
申請時には発覚していなかったものの、後に違反が発覚した場合は補助金返還の対象となります。
具体的には下記のケースです。
(1)過去に本事業の交付決定を受けた事業者
(2)過去に中小機構の「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の交付決定を受け、それから10ヶ月を経過していない事業者
(3)過去3年間に、2回以上、中小機構の「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の交付決定を受けた事業者
(4)中小機構の「事業再構築促進補助金」に採択された事業者であって、その補助対象である事業に用いるための機器を本事業で導入する事業者
(5)観光庁の「観光地・観光産業における人材不足対策事業」により設備投資に対する補助金の交付決定を受けた事業者、あるいはその申請を行っている事業者
(6)その他の国庫及び公的制度からの二重受給
・間接直接を問わず、(過去又は現在の)国(独立行政法人等を含む)が目的を指定して支出する他の制度(例:補助金、委託費、公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬、固定価格買取制度等)と補助対象経費が重複しているもの。
・補助対象経費は重複していないが、テーマや事業内容が中小機構の「IT導入補助金」と同一又は類似内容の事業(同じ業務プロセスに省力化製品を導入するもの)。
・なお、これまでに交付を受けた若しくは現在申請している(公募申請、交付申請等すべて含む。)補助金及び委託費の実績については、必ず申請し、これらとの重複を含んでいないかを事前によく確認すること。
(7)本事業の製造事業者、販売事業者に該当する場合
これらに当てはまった場合は後に補助金を返還しなければなりません。
賃金をあげられなかった
賃上げで補助額を増額していたにも関わらず、賃上げ出来なかった場合は補助金返還の対象となります。
詳細は下記の通り。
補助事業期間終了時の実績報告において賃上げの目標が達成できていないことが確認された場合、補助額の確定の際、補助上限額の引き上げを行わなかった場合の補助額と等しくなるように補助額を減額する。このとき、事業場内最低賃金の引き上げ額及び給与支給総額の増加率は、それぞれ交付申請時に提出した値と実績報告で提出した値を比較して計算する。
また、本目標を達成するために報告対象期間のみ賃金を引き上げ、実績報告以降に賃金を引き下げることは認められない。自己の責によらない正当な理由なく、効果報告時点での給与支給総額または事業場内最低賃金が実績報告時点の値を下回っていた場合、補助金返還を求める場合がある。
収益納付
事業再構築により収益(収入から経費を引いた額)が生じた場合には、補助金交付額を限度として収益金の一部または全部に相当する額を返還が求められるケースがあります。
これを収益納付といいます。
中小企業省力化投資補助金でも公募要領の中で、収益納付が課せられています。
つまり、中小企業省力化投資補助金で儲かった分は返還が求められることがあるということです。
補助事業期間内で事業が軌道に乗った場合、収益納付の対象とならないかを注意しなければなりません。
中小企業省力化投資補助金の返済トラブルを防ぐための3つのポイント
上記のように中小企業省力化投資補助金では返済を求められるケースは少なくありません。
中小企業省力化投資補助金に対する理解が不足していると、思わぬ返済を求められることも。
中小企業省力化投資補助金の返済トラブルを防ぐために重要なことは下記の3つです。
- 会計事務所など認定支援機関との協力体制を密にする
- 事業者自身で中小企業省力化投資補助金の返済を求められるケースを確認する
- 採択後されたからといって安心しない
中小企業省力化投資補助金は採択が最もハードルが高く、返済トラブルを防ぐのは難しいことではありません。
3つのポイントをしっかりと守り、確実に返済トラブルを防いできましょう。
まとめ
今回は中小企業省力化投資補助金で返済を求められるケースについて解説してきました。
返済を求められるケースは下記のとおり。
- 省力化製品の1年未満の利用停止・廃棄など
- 人員の解雇
- 労働生産性の向上に係る目標が未達
- 違反が後に発覚した
- 賃金をあげられなかった
- 収益納付の義務
これらのケースに当てはまると、補助金を返済しなければならない可能性があります。
補助金返還トラブルを防止するためにも会計事務所との連携・中小企業省力化投資補助金への理解・採択後への報告といった点は怠らないようにしましょう。
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