「中小企業省力化投資補助金」は、中小企業の省力化を推進する補助金で、省力化・効率化に関する機器を導入する際に、補助するものです。
しかし、全ての業種で同じように利用できるわけではなく、有利な業種と不利な業種があります。
そこで今回は中小企業省力化投資補助金の対象となる事業・業種と自社の業種確認の重要性について解説します。
中小企業省力化投資補助金とは
中小企業省力化投資補助金は、人手不足に直面している中小企業がIoTやロボットなどの効果的な汎用製品を導入することで、企業の付加価値や生産性の向上を図ることを目的としています。
公募要領が公開されているため、詳しい内容は公募要領を確認しておくことをおすすめします。
製品カタログに掲載された製品を導入する企業に対して、下記の金額を補助します。
従業員数 | 補助率 | 補助上限額(通常) | 補助上限額(大幅な賃上げを行う場合) |
---|---|---|---|
5人以下 | 1/2 | 200万円 | 300万円以下 |
6~20人以下 | 1/2 | 500万円 | 750万円以下 |
21人以上 | 1/2 | 1,000万円 | 1,500万円以下 |
中小企業省力化投資補助金は省力化技術や自動化技術に対する投資が対象とされておいます。
中小企業省力化投資補助金は、中小企業が省力化機器を導入し、生産性向上を図るために支給される補助金です。これにより、人手不足の解消や作業効率の向上が期待できます。具体的には、飲食店や製造業などで使用される「清掃ロボット」や「配膳ロボット」など、多様な機器が導入可能となっています。
しかし、導入できる機器は業種や事業の規模によって異なります。
例えば、飲食店では「清掃ロボット」や「配膳ロボット」など、多様な機器が導入可能となっています。
一方で、美容室のようなサービス業では一部の業務しか対象にならないことが多く、導入可能な機器が限られています。
このため、自社の業種や事業内容に応じた適切な機器を選択することが重要です。
事業・業種による導入可能な製品カタログ一覧
事業・業種による導入可能な主な機器は下記の通り。
飲食サービス業
- 清掃ロボット:自動で店舗内の清掃を行う。
- 配膳ロボット:料理の配膳・下げ膳を自動で行う。
- スチームコンベクションオーブン:多機能調理器具で、焼く、蒸す、煮るなどを自動化。
- 券売機:注文受付、キャッシュレス決済、キッチンとの連携機能を自動化。
- 自動精算機:会計処理や現金管理の自動化。
宿泊業
- 清掃ロボット:客室やロビーの自動清掃。
- 配膳ロボット:ルームサービスの配膳を自動で行う。
- スチームコンベクションオーブン:多機能調理器具で、シェフの作業を自動化。
- 自動チェックイン機:チェックイン・予約管理・請求の自動化。
製造業
- 清掃ロボット:工場内の清掃を自動化。
- 自動倉庫:製造現場での在庫管理や入出庫を自動化。
- 検品・仕分システム:製品の検品・仕分作業を自動化。
- 無人搬送車(AGV・AMR):資材や製品の自動搬送。
- オートラベラー:製品へのラベル貼付を自動化。
- 丁合機:用紙のピッキング作業を自動化。
- 段ボール製箱機:段ボール箱の製造を自動化。
- デジタル加飾機:印刷物に付加価値を加える加工を自動化。
- 5軸制御マシニングセンタ:複雑な形状の部品を自動で加工。
- 蛍光X線膜厚測定器:金属膜の厚みを非破壊で測定。
- 自動裁断機:生地などの素材を自動で裁断。
- 原材料自動計量混合搬送装置:プラスチック成形業での計量と混合作業を自動化。
卸売業
- 清掃ロボット:倉庫や配送センターの清掃を自動化。
- 自動倉庫:在庫の管理や入出庫作業を効率化。
- 検品・仕分システム:製品の検品や仕分け作業を無人化。
- 無人搬送車(AGV・AMR):商品の自動搬送。
- オートラベラー:ラベル貼付作業を自動化。
小売業
- 清掃ロボット:店舗内清掃の自動化。
- 自動倉庫:在庫の効率的な管理。
- 検品・仕分システム:商品の検品・仕分け作業を自動化。
- 無人搬送車(AGV・AMR):商品の自動搬送。
- 自動精算機:会計処理を自動化し、接客に集中可能。
- タブレット型給油許可システム:セルフ式給油所での給油許可を自動化。
- 自動調色システム:自動で色を調整し、補修作業の効率化
- 飲料補充ロボット:小売店のバックヤードでの飲料補充を自動化。
印刷・関連業
- デジタル紙面色校正装置:校正作業をデジタル化し、生産性を向上。
- 印刷用紙高積装置:用紙積み作業の自動化で作業負担軽減。
- 印刷用インキ自動計量装置:インキの計量作業を自動化。
- トムソン加工自動カス取り装置:パッケージのカス取り作業を自動化。
- 印刷用紙反転機:用紙の反転作業を自動化し、作業効率を向上。
- 産業用枚葉デジタル印刷機:多品種小ロット対応のデジタル印刷を自動化。
自動車整備業
- 自動車向け溶接機(スポット溶接機):溶接作業を効率化。
- 自動車向け溶接機(パルス制御溶接機):高精度で温度調整可能な溶接を実現。
建設業・専門技術サービス業
- 測量機(自動視準・自動追尾機能付き):測量作業を自動化し、作業者の負担を軽減。
優遇されているのは製造業・飲食業・宿泊業・印刷業・小売卸売業です。
一方で、その他の業種はまだまだ補助対象となる機器が少ないのが現状です。
自社の事業と製品カタログの業種と異なる場合は申請不可
中小企業省力化投資補助金は製品カタログの中に業種の記載があります。
業種が異なる場合は申請ができません。
例えば、自動精算機は飲食サービス業と小売業が対象業種となっています。
そのため、美容室や遊園地などの他の業種で自動精算機を導入することはできません。
ただし、主たる事業が異なる場合でも、対象業種が一部でも営んでいる場合は下記の通り対象となります。
カタログで選択した製品の業種に自社の業種が記載されていないが導入可能ですか。
【申請における留意事項 2-5 交付申請】
補助対象事業の要件として「導入する省力化製品に紐付けられた業種のうち少なくとも1つ以上が、補助事業者の営む事業の業種と合致すること」を定めています。
簡素な申請での補助金交付を行うため、業種毎に省力化製品導入による効果を確認しており、当該要件を設けております。
ただし、申請事業者の主たる業種が別業種であっても、対象業種を一部でも営んでいる場合には申請いただくことが可能です。
例えば、スーパー(小売業)を運営する事業者で店舗内にレストラン(飲食サービス業)を併設しており、レストランに配膳ロボットを導入したい場合、飲食サービス業として申請可能です。
中小企業省力化投資補助金の対象業種と規模の目安
上記の通り、中小企業省力化投資補助金は自社の業種や事業と異なる製品は導入できませんので、業種をしっかり確認する必要があります。
自社の業種については「省力化投資事業における「業種」の定義と「規模」の従業員数目安」で確認が可能です。
申請前に自社の業種や事業について必ず確認しておきましょう。
まとめ
今回は中小企業省力化投資補助金の対象となる事業・業種と自社の業種確認の重要性について解説してきました。
ポイントをまとめると下記の通り。
- 中小企業省力化投資補助金は、労働力不足解消や生産性向上を支援するための補助金
- 対象業種ごとに導入可能な省力化・自動化機器が異なり、業種に合った機器選定が重要
- 自社の業種が補助対象製品の業種と一致しない場合は申請できませんが、複数業種を営んでいれば一部で申請可能なケースもある
- 補助金の申請には自社の業種や事業内容の確認が必須で、事前に「業種の定義と従業員数目安」を確認することを推奨
弊社(CPA)では、中小企業省力化投資補助金のご相談を随時承っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
このほか、弊社では事業再構築補助金・大規模成長投資補助金やものづくり補助金などの補助金サポートの実績が豊富にあります。気になることがありましたら、まずお気軽にご相談いただければと思います。
カタログ登録を検討されている販売代理店様、製造事業者様、交付申請を検討されている中小企業・個人事業主様からのお問い合わせをお待ちしております。
中小企業省力化投資補助金の申請代行サポートについては、こちらよりご相談ください。
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