中小企業省力化投資補助金は、中小企業の生産性向上を目的とした注目の補助金です。
多くの企業が補助対象となる補助金ですが、補助金の取り扱いには特定のルールが存在します。
適切に補助金を使用しなかった場合、補助金の減額や返還が求められることがあります。
そこで、本記事では、補助金のペナルティとなる具体的な条件について詳細に解説します。
中小企業省力化投資補助金とは
中小企業省力化投資補助金は、人手不足に直面している中小企業がIoTやロボットなどの効果的な汎用製品を導入することで、企業の付加価値や生産性の向上を図ることを目的としています。
正式には「中小企業省力化投資補助事業」と称され、経済産業省が関連情報を提供しています。
(中小企業省力化投資補助金金のホームページ)
公募要領が公開されているため、詳しい内容は公募要領を確認しておくことをおすすめします。
中小企業省力化投資補助金の簡単な概要は下記の通り。
(経済産業省 「経済産業省関係令和5年度補正予算の概要」 )
カタログに掲載された製品を導入する企業に対して、下記の金額を補助します。
従業員数 | 補助率 | 補助上限額(通常) | 補助上限額(大幅な賃上げを行う場合) |
---|---|---|---|
5人以下 | 1/2 | 200万円 | 300万円以下 |
6~20人以下 | 1/2 | 500万円 | 750万円以下 |
21人以上 | 1/2 | 1,000万円 | 1,500万円以下 |
カタログに掲載される機器は現在公募中であり、これから機器が明らかになる見込みです。
中小企業省力化投資補助金でペナルティとなるケース
中小企業省力化投資補助金でペナルティになるのは主に下記のケースです。
- 賃上げ目標の未達成
- 収益納付
- 不適切な支払いや価格設定
- 補助事業により取得した財産の処分制限
- 立入調査に非協力
具体的に解説していきます。
1. 賃上げ目標の未達成
補助事業の期間終了時に賃上げの目標が達成されていない場合、補助金は減額されます。
この計算は、補助上限額の引き上げを行わなかった場合の補助額と同等に設定されます。
賃金の増加率や事業場内最低賃金の引き上げ額は、申請時と実績報告時の値を比較して決定されます。
さらに、賃金を一時的に引き上げて補助金を受け取った後に賃金を下げる行為も認められず、これに違反した場合は補助金の返還が必要となります。
2. 収益納付
補助事業から得られた収益がある場合、その収益を補助金額を上限にして納付しなければなりません。これを収益納付といい、中小企業省力化投資補助金に限らず、どの補助金でも設定されています。
ただし、対象年度の決算が赤字の場合はこの義務から免除されます。
3. 不適切な支払いや価格設定
補助金を使用して省力化製品を購入する際に、ポイントやクーポンなどを利用して実際の支払額と購入額の証憑が一致しない場合が問題視されます。
これにより、実質的な支払額が不透明となる行為はペナルティの対象となります。
また、補助対象の省力化製品を通常価格より高く設定し、その増額分で補助金を不正に受け取る行為も禁止されています。
4. 補助事業により取得した財産の処分制限
補助金を利用して取得した資産は、一定の期間内に売却や転用が制限されます。
この期間内に資産を処分する場合は、事務局の承認が必要であり、承認なしに処分した場合は補助金の返還が求められることがあります。これにより、補助金によって得た資産が適切に管理され、その目的に沿って使用されることが保証されます。
5. 立入調査に非協力
補助事業の適正な遂行を確認するため、事務局や中小機構は必要に応じて立入調査を行うことがあります。
これに対して協力を拒否する場合、補助金の交付決定の取消しや返還が発生する可能性があります。これは、透明性と公正性を確保するための重要な措置です。
6. 不正行為の公表
悪質な不正行為が発覚した場合、関連する事業者の名前や代表者の名前、不正内容が公表されることがあります。これにより、不正を行った事業者に対する社会的な抑止力が働くと同時に、他の事業者に対する警鐘となります。
ペナルティは主に補助金の返還だが最悪の場合は実刑になることも
ペナルティは主に補助金の返還となります。
しかしながら、悪質な場合は実刑になる可能性もあります。
特に補助金や給付金の不正受給は刑が重くなる傾向にあり、2020年に給付された持続化給付金では多数の不正受給の逮捕者がでました。
執行猶予がつかなかったことも少なくありません。
そのため、正しい申請を行うことが重要になります。
まとめ
今回は補助金のペナルティとなるケースについて解説してきました。
ポイントは下記の通り。
- 賃上げ目標の未達成: 補助金を受けて賃上げを行う約束をした企業が、目標を達成しない場合、補助金の減額や返還が求められます。企業は賃金の維持・向上に真剣に取り組む必要があります。
- 収益納付: 補助金を用いて得た収益がある場合、それを一定の範囲内で返納することが求められます。ただし、赤字の場合はこの義務から免除されます。
- 不適切な支払いや価格設定: 補助金を使用して不透明な取引や不正確な価格設定を行った場合、ペナルティが課されることがあります。これは公平な市場価格を維持し、補助金の目的に沿った適切な使用を保証するためです。
- 補助事業により取得した財産の処分制限: 補助金を利用して取得した財産を不当に売却または転用することは制限されており、無断で行った場合は返還を求められることがあります。
- 立入調査に非協力: 補助金の適正な使用を確認するための調査に対し協力しない場合、補助金の取消しや返還が行われることがあります。これにより、透明性と公正性が保たれます。
- 不正行為の公表: 不正行為が発覚した場合は、事業者の名前や代表者、行った不正の内容が公表されることがあります。これにより、不正行為に対する抑止効果が期待されます。
最悪の場合の実刑リスクも念頭に置く必要があります。
不正な補助金の受給は法的な罰則に直結し得るため、適正な管理と透明な使用が求められます。補助金は中小企業の成長を助ける重要な手段ですが、その利用には責任と注意が伴います。正しく補助金を活用し、企業の発展につなげていきましょう。
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