中小企業の製造業において、生産性の向上は最も重要なポイントの一つです。
特に人手不足が続いている昨今では、いかに省力化・省人化をすすめていくかということは中小企業の共通の悩みの一つと言えるでしょう。
そこで今回は中小企業の製造業における生産性向上の中でおすすめの制度である中小企業省力化投資補助金について紹介していきます。
生産性向上が求められる背景
日本の製造業は、技術力の高さと品質の良さで世界的に評価されています。
しかし、近年では労働力不足やグローバル競争の激化により、生産性の向上が不可欠な課題となっています。
特に中小企業にとっては、限られたリソースでいかに効率的に生産を行い、競争力を維持するかが重要なテーマです。
生産性向上のための取り組みは多岐にわたりますが、その一環として、省力化や自動化技術の導入が注目されています。
これにより、労働力不足を補いながら、高品質な製品を効率的に生産することが可能となります。
中小企業省力化投資補助金の概要
このような背景のもと、中小企業を支援するために設けられたのが「中小企業省力化投資補助金」です。
中小企業省力化投資補助金は、人手不足に直面している中小企業がIoTやロボットなどの効果的な汎用製品を導入することで、企業の付加価値や生産性の向上を図ることを目的としています。
正式には「中小企業省力化投資補助事業」と称され、経済産業省が関連情報を提供しています。
(中小企業省力化投資補助金のホームページ)
簡単な概要は下記の通り。
(経済産業省 「経済産業省関係令和5年度補正予算の概要」 )
カタログに掲載された製品を導入する企業に対して、下記の金額を補助します。
従業員数 | 補助率 | 補助上限額(通常) | 補助上限額(大幅な賃上げを行う場合) |
---|---|---|---|
5人以下 | 1/2 | 200万円 | 300万円以下 |
6~20人以下 | 1/2 | 500万円 | 750万円以下 |
21人以上 | 1/2 | 1,000万円 | 1,500万円以下 |
特に製造業においては重要な支援策となっています。
中小企業省力化投資補助金の製造業の対象機器
中小企業省力化投資補助金の対象となる機器には、以下のようなものがあります。
1. 自動倉庫
- 用途: 保管・在庫管理、入出庫
- 機能: 棚からの出し入れを自動化し、ロケーション管理、在庫管理、日付管理も自動で行う。
2. 検品・仕分システム
- 用途: 資材調達、加工・生産、検査、保管・在庫管理、入出庫
- 機能: 検品・仕分を自動化し、ミスの低減と仕分け業務の無人化を実現。
3. 無人搬送車(AGV・AMR)
- 用途: 資材調達、加工・生産、検査、保管・在庫管理、入出庫
- 機能: 台車の自動化により、搬送作業を自動化し、搬送ミスを低減。
4. オートラベラー
- 用途: 加工・生産、梱包・加工、保管・在庫管理
- 機能: ラベル貼付業務を自動化し、人員削減と処理数向上を実現。
5. 段ボール製箱機
- 用途: 加工・生産
- 機能: 段ボール箱の加工を自動化し、給紙作業やセット替えの省力化を実現。
6. 近赤外線センサ式プラスチック材質選別機
- 用途: 分別業務
- 機能: 廃プラスチックの選別作業を自動化し、人手と時間の大幅な短縮を達成。
7. デジタル加飾機
- 用途: 加工・生産
- 機能: デジタル加飾システムで、作業工数の省力化と生産性の向上を実現。
8. 印刷紙面検査装置
- 用途: 検査
- 機能: 印刷物の検査を自動化し、作業負荷の低減と品質向上を図る。
製造業における省力化投資の具体例
それでは、実際に中小企業省力化投資補助金を通じて生産性を向上させた企業の例を紹介していきます。
事例1:自動倉庫の導入(自動車部品製造業)
ある中小の自動車部品製造企業では、製品や部品の保管・取り出しに多くの時間と労力を費やしていました。
しかし、自動倉庫を導入することで、これらの工程を自動化し、在庫管理の精度を大幅に向上させました。
これにより、従来は手動で行っていた棚卸しや部品の出し入れ作業が大幅に短縮され、製造ラインへの部品供給が迅速化しました。
結果として、生産ライン全体の効率が向上し、納期の短縮と在庫コストの削減を同時に実現しました。
事例2:無人搬送車(AGV)の導入(食品加工業)
食品加工業を営むある企業では、工場内での原材料や製品の搬送に多くの人手を割いていました。
無人搬送車(AGV)を導入することで、これらの搬送作業を自動化し、従業員が他の生産活動に集中できる環境を整えました。
特に、重い材料の移動や搬送ミスが減少し、作業の効率性が大幅に向上しました。また、作業者の疲労軽減に加えて、搬送に伴う安全性も向上し、全体的な生産性が向上しました。
事例3:近赤外線センサ式プラスチック材質選別機の導入(リサイクル業)
廃プラスチックのリサイクル業を営むある企業では、プラスチック材質の手作業による選別に多大な時間と労力を費やしていました。
近赤外線センサ式プラスチック材質選別機を導入することで、材質選別が自動化され、選別精度が大幅に向上しました。
これにより、手作業による選別ミスが減少し、効率的なリサイクル工程が実現しました。結果として、処理能力が向上し、リサイクル可能なプラスチックの品質が改善され、再生プラスチックの価値が向上しました。
中小企業省力化投資補助金の申請手順
中小企業省力化投資補助金を活用するには、以下の手順で申請を進める必要があります。
STEP 1: 補助金の理解
- 公募要領を確認し、補助金制度の概要、対象経費、スケジュール、補助対象事業者に該当するかを確認します。
STEP 2: gBizIDの取得
- 補助金申請は電子申請で行うため、gBizIDプライムアカウントが必要です。アカウントを持っていない場合は「gBizID」から取得します。取得には時間がかかることがあるので、余裕を持って準備します。
STEP 3: カタログから製品選定
- 製品カタログから希望する対象製品を選びます。
STEP 4: 販売事業者の選定
- 選定した製品に対応する販売事業者一覧から、適切な販売事業者を選び、サポート窓口に連絡します。
STEP 5: 販売事業者と共同申請
- 補助金申請は、販売事業者と共同で行います。事業計画を策定し、中小企業と販売事業者は共同事業実施者として申請を行います。
- 申請書類は「申請における留意事項」に掲載されている提出書類を確認し、事前に準備します。不備があると審査で不合格になる可能性があるので、必要事項をよく確認します。
提出書類例(法人の場合)
- 従業員名簿(中小企業判定用)
- 貸借対照表(前期・前々期)
- 損益計算書(前期・前々期)
- 履歴事項全部証明書(発行から3カ月以内)
- 法人税の納税証明書(直近3期分)
- 役員名簿
- 株主・出資者名簿
提出書類例(個人事業主の場合)
- 従業員名簿(中小企業判定用)
- 貸借対照表(前期・前々期)
- 損益計算書(前期・前々期)
- 確定申告書の控え(第一表)直近1期分
- 所得税の納税証明書(その2)直近1期分
必要に応じて
人手不足に関する書類
- 時間外労働時間【指定様式】
- 従業員減少の確認用【指定様式】
- 求人募集したことを証明する書類
大幅な賃上げ対象者に関する書類
- 最低賃金者の賃金台帳
まとめ
製造業における生産性向上は、今後ますます重要なテーマとなるでしょう。
中小企業省力化投資補助金は、その取り組みをサポートする有力な手段です。
中小企業省力化投資補助金を活用することで、労働力不足に対応しながら、企業の競争力を高めることが可能です。生産性向上に向けた一歩を踏み出し、自社の未来を切り拓いていきましょう。
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