建設業界は現在、深刻な人手不足に直面しています。
日本の労働人口が高齢化する中、若年層の新規参入が減少し、特に技能を持つ労働者の確保が難しくなっています。
こうした状況に対応するため、省力化や省人化の取り組みが急務とされています。
そこで今回は、建設業界が抱える課題と、それを解決するために活用できるおすすめの中小企業省力化投資補助金について詳しく解説します。
建設業界の現状と課題
建設業界は現在、深刻な人手不足に直面しています。
日本の建設業に従事する労働者の平均年齢は約48歳となっており、高齢化が進む中で、若年層の新規参入が減少しています。
その結果、2010年代以降、労働力の供給が減少し、特に技能を持つ労働者の確保が難しくなっているのが現状です。
例えば、国土交通省の統計によれば、建設業に従事する労働者数は過去10年間で約10%減少しており、さらに減少傾向が続くことが予測されています。
このような背景から、技術継承の難しさや現場の安全性の確保といった課題が浮上しており、建設業界全体での省力化や省人化が急務となっています。
従来、建設業界では手作業に依存した業務が多く、そのために効率化が遅れている部分がありました。
しかし、近年ではICT(情報通信技術)やロボット技術の導入が進みつつあり、これらを活用することで作業効率や生産性の向上が見込まれます。
例えば、建設現場での自動化技術を導入することで、単純作業を削減し、労働力不足の解消に貢献することが期待されています。
このような技術導入にはコストがかかりますが、中小企業が利用できる省力化投資補助金を活用することで、その負担を軽減し、必要な技術を導入することが可能です。
中小企業省力化投資補助金とは?
中小企業省力化投資補助金は、人手不足に直面している中小企業がIoTやロボットなどの効果的な汎用製品を導入することで、企業の付加価値や生産性の向上を図ることを目的としています。カタログ型省力化補助金とも呼ばれます。
正式には「中小企業省力化投資補助事業」と称され、経済産業省が関連情報を提供しています。
(中小企業省力化投資補助金のホームページ)
簡単な概要は下記の通りです。
(
カタログに掲載された製品を導入する企業に対して、下記の金額が補助されます。
従業員数 | 補助率 | 補助上限額(通常) | 補助上限額(大幅な賃上げを行う場合) |
---|---|---|---|
5人以下 | 1/2 | 200万円 | 300万円以下 |
6~20人以下 | 1/2 | 500万円 | 750万円以下 |
21人以上 | 1/2 | 1,000万円 | 1,500万円以下 |
建設業におすすめの省力化技術と導入事例
建設業に利用できる機器は現時点は少なく、自動測量機(トータルステーション)しかありません。
しかしながら、今後製品カタログに随時機器が追加されていく見込みであり、今後に期待ができると言えるでしょう。
今回は自動測量機(トータルステーション)と今後期待できる機器について解説していきます。
自動測量機(自動視準・自動追尾機能付き高機能トータルステーション)
測量作業は、建設業において基盤となる重要な業務ですが、従来は熟練技術者が手作業で行っていました。
これにより、測量結果の精度や作業時間が大きく左右されるリスクがありました。
自動測量機(自動視準・自動追尾機能付き高機能トータルステーション)は、測量作業を自動化し、作業者が1名でも効率的に測量を行うことが可能です。これにより、作業負荷の軽減や省人化が実現し、測量精度の向上と作業時間の短縮が期待できます。
今後期待できる機器
現在は製品カタログには掲載されていないものの、今後掲載が期待できる機器は下記の通り。
- ドローンを活用した建設現場管理
ドローン技術は、建設現場の進捗状況を効率的に把握するために有効です。
従来、現場管理は現場監督が直接行うことが一般的でしたが、ドローンを活用することで、高所作業や広範囲の監視が可能となり、安全性の向上と省力化が実現します。
さらに、撮影したデータを基に3Dモデルを作成し、設計図と比較することで、施工の進捗管理をより正確に行うことができます。
- 建設機械の自動化
建設機械の自動化技術は、省力化・省人化に大きく貢献します。
例えば、自動運転機能を持つ建設機械を導入することで、熟練オペレーターの不足を補い、作業の効率化が図れます。
また、GPSを活用した自動制御システムにより、ミリ単位の精度で作業が行えるため、再作業の削減や材料の無駄を防ぐことができます。
建設業界が省力化に取り組むべき理由
建設業界における省力化の推進は、人手不足の解消だけでなく、作業の安全性向上や生産性の向上にも繋がります。
また、省力化技術の導入により、熟練技術者の経験やノウハウを次世代に伝えることが容易になり、技術継承がスムーズに進むでしょう。
さらに、補助金を活用することで、初期投資の負担を軽減し、効果的な省力化を実現することが可能です。
建設業で人手不足に悩んでいる事業者の方はぜひ中小企業省力化投資補助金を検討してみてください。
まとめ
今回は建設業界が抱える課題と、それを解決するために活用できるおすすめの中小企業省力化投資補助金について解説してきました。
ポイントは下記の通り。