ビジネスの効率化やデジタルトランスフォーメーション(DX)を目指す企業にとって重要な「IT導入補助金」。
例年毎月公募が行われているので、今年度も同様に毎月公募が実施されるものと見込まれていましたが、先日急に終了するというアナウンスがでました。
そこで本記事では、IT導入補助金の概要、申請の際の注意点について詳しく解説します。
IT導入補助金は中小企業や個人事業主の方にとって、非常にメリットが大きい補助金なので、まだ申請していない方は今すぐ申請することをおすすめします。
IT導入補助金とは?
IT導入補助金は、経済産業省が主導する中小企業支援策の一環として提供されています。この補助金は、中小企業が自社の業務効率化や生産性向上を目的としたITツールの導入に対して、一定の費用を補助するものです。
内容は下記の通り。
補助枠 | 補助対象 | 補助率 | 補助額 |
---|---|---|---|
通常枠 | ソフトウェア、クラウド利用料、導入関連費(コンサル、保守) | 1/2以内 | 5万円以上450万円以下 |
インボイス枠(インボイス対応類型) | インボイス対応ソフト(会計、受発注、決済)、PC/タブレット等 | 3/4以内、小規模事業者は4/5 | 50万円以下~350万円以下 |
セキュリティ対策推進枠 | サイバーセキュリティ対策のためのツール、ソフトウェア | 1/2以内 | 5万円以上100万円以下 |
複数社連携IT導入枠 | 複数の中小企業が連携して導入するITツール、ハードウェア | 3/4以内、小規模事業者は4/5 | 50万円以下×グループ構成員数、3000万円以下 |
1. 通常枠
通常枠では、ソフトウェアやクラウドサービスの導入費用が補助対象となります。補助率は1/2以内で、5万円以上の補助金が支給され、最大で450万円まで受け取ることができます。ただし、150万円以上の補助を受ける場合は、4つ以上の業務プロセスの改善が求められるため、事前にしっかりとした計画が必要です。
2. インボイス枠(インボイス対応類型)
インボイス制度に対応したソフトウェアやハードウェアの導入が対象となります。特に、インボイス対応ソフト(会計、受発注、決済)が補助対象で、補助率は3/4(小規模事業者は4/5)と非常に高いです。補助額は最大350万円までで、例えば10万円のPCを2台購入した場合、半額の10万円が補助されます。
3. セキュリティ対策推進枠
サイバーセキュリティ対策のためのツールやソフトウェア導入を支援する枠です。補助率は1/2以内で、補助額は5万円以上100万円以下です。サイバーリスクの低減を目的としているため、導入するツールが明確にセキュリティ対策に資するものであることが求められます。
4. 複数社連携IT導入枠
複数の中小企業が連携してITツールやハードウェアを導入する場合に適用される枠です。この枠では、連携する企業全体で効果的なDXを推進することが目標となっており、補助率は3/4以内(小規模事業者は4/5)です。補助額は、50万円以下の基盤導入経費については3/4以内で、最大3000万円までの補助が受けられます。
特に、インボイス対応枠は補助率が2/3から4/5と高く設定されており、非常に手厚い支援が受けられます。
特に、近年のDX推進に伴い、IT導入の重要性が高まる中で、この補助金は多くの企業にとって魅力的な支援策となっています。
2024年のIT導入補助金が終了に
2024年のIT導入補助金は、突然の終了発表があり、8月23日をもって締め切られることが決まりました。
また、9月または10月にもう一度募集が行われる可能性がありますが、それが最後となる見込みです。
IT導入補助金のホームページ内にて下記の通り説明があります。
7月29日更新 IT導入補助金2024における交付申請ならびにIT導入支援事業者・ITツール登録の最終締め切り日について
IT導入補助金2024における交付申請ならびにIT導入支援事業者・ITツール登録の最終締め切り日を下記の通りお知らせいたします。
交付申請期限:8月23日(金)17:00
※本年中に更に1回の公募を実施する予定です。詳細が決まり次第、本HP上でお知らせします。IT導入支援事業者・ITツール登録申請期限(変更申請含む):7月30日(火)17:00
※IT導入支援事業者の登録申請時に、1つ目のITツール登録申請(先行登録申請)をしていただきます。ITツールの先行登録申請は、カテゴリー1「ソフトウェア」とカテゴリー10「サイバーセキュリティお助け隊サービス」のいずれかのITツールのみ申請可能です。カテゴリー2からカテゴリー9のITツール登録、および2つ目以降のITツール登録は、IT導入支援事業者として採択された後に申請可能となります。なお、構成員のIT導入支援事業者登録申請、およびITツール登録申請の場合、申請情報入力後に幹事社の承認が必要となりますので、余裕をもってご対応ください。詳細は事業スケジュールよりご参照ください。
上記締切以降は、IT導入補助金2024における申請マイページ・IT事業者ポータル・構成員ポータルを介した交付申請ならびにIT導入支援事業者・ITツール登録手続は行えません。
交付申請、IT導入支援事業者・ITツール登録申請ともに、入力途中で申請期限を超過した申請は破棄されますのでご注意ください。
また、締切の直前は申請マイページ及びIT事業者ポータル・構成員ポータルへのアクセス集中が予想されるため、各種申請・提出は日時に余裕をもって行っていただきますようお願いいたします。
なお、登録申請、および交付申請情報に不備があり、申請期限後、一定期間不備が解消しない場合も申請破棄となりますので、ご留意ください。
そこで次の章ではIT導入補助金に申請する前に注意すべき点について解説していきます。
IT導入補助金の注意点
補助金対象のITツールを選ぶ際の注意
IT導入補助金を申請する際には、事前にIT導入支援事業者から登録されたITツールを選ぶ必要があります。
すべてのITツールが補助金の対象になるわけではなく、業務効率化や生産性向上に直接寄与するツールが対象となります。
また、パソコンやタブレットも例外的に補助対象となりますが、それだけでの申請はできません。
ITツールとセットでの導入が必要です。
新規開業者は申請できない
開業から1年未満の企業や個人事業主は、IT導入補助金を申請できません。
申請時に納税証明書の提出が必要であり、開業1年目ではこの証明書が発行されないためです。
したがって、補助金を利用したいと考えている新規開業者は、1年以上経過するまで待つ必要があります。
IT導入支援事業者と共同での申請が必要
IT導入補助金を申請する際には、IT導入支援事業者と共同で申請を行う必要があります。通常の補助金申請とは異なり、IT導入支援事業者が申請内容を確認し、承認を得る必要があります。
IT導入補助金に間に合わない方へ:中小企業省力化投資補助金の利用を検討してください
2024年のIT導入補助金の締め切りが8月23日と迫っている中、申請の準備が間に合わないと感じている方もいらっしゃるかもしれません。
そのような場合には、別の補助金制度である「中小企業省力化投資補助金」の利用を検討することをお勧めします。
中小企業省力化投資補助金とは、中小企業がIoTやロボット技術などの導入を通じて省力化を図り、生産性や付加価値の向上を目指すための補助金です。
IT導入補助金とは異なり、広範な省力化技術が対象となるため、業種や用途に応じて柔軟に利用できるのが特徴です。
補助金額や補助率も魅力的で、従業員数に応じて最大1,500万円の補助を受けることができます。
特に、人手不足に直面している中小企業にとっては、業務の自動化や省力化を推進する強力な支援策となります。
IT導入補助金が間に合わない場合でも、中小企業省力化投資補助金を活用すれば、ビジネスの効率化や生産性向上を図ることが可能です。
中小企業省力化投資補助金は令和8年9月末まで募集される予定ですので、十分に時間があります。
IT導入補助金が間に合わない場合は中小企業省力化投資補助金を検討してみましょう。
まとめ
今回はIT導入補助金の概要、申請の際の注意点について解説してきました。
ポイントは下記の通り。
- IT導入補助金は中小企業や個人事業主にとって、業務効率化や生産性向上を目指すための非常に重要な補助金
- 補助枠には通常枠、インボイス枠、セキュリティ対策推進枠、複数社連携IT導入枠がある
- 申請にはIT導入支援事業者との共同作業が必要であり、また、申請するツールも事前に登録されたものに限られる
- 新規開業者や開業から1年未満の事業者はIT導入補助金を申請できないため、別の補助金制度の活用を検討する必要がある
- 2024年度のIT導入補助金は急遽終了が発表され、8月23日が最終締め切りとなるため、早急な対応が求められる
また、IT導入補助金の申請が間に合わない場合でも、中小企業省力化投資補助金という別の補助金制度を活用することで、業務効率化や生産性向上を目指すことができます。
この補助金制度はIT導入補助金とは異なり、広範な省力化技術が対象となっており、より多様な業種や用途に対応できるのが特徴です。
省力化投資補助金 申請代行サポート(CPA)では、製造事業者様、製品メーカー様、販売事業者・代理店様向けに「製品登録・事業者登録」の申請サポートだけでなく、応募申請をご検討されている中小企業・個人事業主様(補助事業者)の交付申請の代行サポートを行っております。
中小企業省力化投資補助金の無料相談を随時承っております。製造事業者様・製品メーカー者様向けに省力化製品の「カタログ登録申請」「製造事業者登録申請」の代行サポートを実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
このほか、弊社では事業再構築補助金・大規模成長投資補助金やものづくり補助金などの補助金サポートの実績が豊富にあります。気になることがありましたら、まずお気軽にご相談いただければと思います。
中小企業省力化投資補助金の申請代行サポートについては、こちらよりご相談ください。
ものづくり補助金の申請代行サポートについては、こちらよりご相談ください。
事業再構築補助金の申請代行サポートについては、こちらよりご相談ください。