2025年4月からスタートする「新事業進出補助金」は、成長意欲の高い中小企業や小規模事業者にとって大きなチャンスとなる制度です。しかしその一方で、想定される採択率の低さから、どれだけの企業がこの制度を活用できるかが注目されています。本記事では、最新情報を基に新事業進出補助金の採択率予測と、過去の「事業再構築補助金」「ものづくり補助金」の実績との比較を行い、採択されるための戦略を解説します。
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新事業進出補助金とは?制度の特徴と魅力
新事業進出補助金(正式名称:中小企業新事業進出促進事業)は、既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とした補助金となっています。
公募開始は2025年4月からとなっており、注目されている補助金です。
補助率は1/2で、補助額は最大9,000万円となっています。
補助額 | ||
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従業員数 | 補助金額 | 大幅賃上げ特例適応時 |
21人以下 | 750万円以上2,500万円以下 | 3,000万円 |
21~50人 | 750万円以上4,000万円以下 | 5,000万円 |
51~100人 | 750万円以上5,500万円以下 | 7,000万円 |
101人以上 | 750万円以上7,000万円以下 | 9,000万円 |
補助対象経費 |
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建物費、構築物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費 |
補助率・補助額が高く補助対象経費も幅広いです。
採択率は低めに予想されている難易度が高い補助金となりますが、チャレンジする価値は十分にあるでしょう。
採択率の想定は?
独立行政法人中小企業基盤整備機構の「システム要件定義書(案)」によると、1回の公募あたりの応募件数は10,000件、採択件数は1,500件を想定しています。
これを基にすると、採択率は約15%と試算されます。
P9に下記のように記載がありました。
(2) 業務規模の想定 (新事業進出補助金の場合)
ア 公募回ごとの事業者数
• 応募事業者は約 10,000 者/公募回を想定する。
• 交付採択事業者は約 1,500 者/公募回を想定する。
イ 事務局側ユーザ数
• 事務局内管理者・オペレータ数は必要数を用意すること。
• 外部審査員は1審査3名が対応できる数を想定すること。
• 中小機構等は約 50 名を想定する。(新事業進出補助金 システム要件定義書(案)P9)
採択率15%はかなり厳しい倍率ですが、あくまで想定値であり、実際の採択率はこれより高くなる可能性もあります。
実際、前身制度とも言える「事業再構築補助金」では、以下のような採択率実績がありました。
【比較1】事業再構築補助金の採択率実績
回次 | 応募件数 | 採択件数 | 採択率 |
---|---|---|---|
第1回 | 22,229 | 8,015 | 36.06% |
第2回 | 20,800 | 9,336 | 44.88% |
第3回 | 20,307 | 9,021 | 44.42% |
第4回 | 19,673 | 8,810 | 44.78% |
第5回 | 21,035 | 9,707 | 46.15% |
第6回 | 15,340 | 7,669 | 49.99% |
第7回 | 15,132 | 7,745 | 51.18% |
第8回 | 12,591 | 6,456 | 51.27% |
第9回 | 9,368 | 4,259 | 45.46% |
第10回 | 10,821 | 5,205 | 48.10% |
第11回 | 9,207 | 2,437 | 26.47% |
第12回 | 7,664 | 2,031 | 26.50% |
このように事業再構築補助金の採択率は下がってきたときでも26%前後です。
そのため、採択率15%というのはあまりに低すぎるように感じます。
また、メジャー補助金の一つであるものづくり補助金の採択率についても確認していきましょう。
【比較2】ものづくり補助金の採択率実績(一般型)
回次 | 応募件数 | 採択件数 | 採択率 |
第1次 | 2,287 | 1,429 | 62.46% |
第2次 | 5,721 | 3,267 | 57.10% |
第3次 | 6,923 | 2,637 | 38.10% |
第4次 | 10,041 | 3,132 | 31.19% |
第5次 | 5,139 | 2,291 | 44.59% |
第6次 | 4,875 | 2,326 | 47.72% |
第7次 | 5,414 | 2,729 | 50.39% |
第8次 | 4,584 | 2,753 | 60.08% |
第9次 | 3,552 | 2,223 | 62.58% |
第10次 | 4,224 | 2,584 | 61.16% |
第11次 | 4,668 | 2,786 | 59.69% |
第12次 | 3,200 | 1,885 | 58.91% |
第13次 | 3,261 | 1,903 | 58.37% |
第14次 | 4,865 | 2,470 | 50.77% |
第15次 | 5,694 | 2,861 | 50.25% |
第16次 | 5,608 | 2,738 | 48.83% |
第17次 | 629 | 185 | 29.41% |
第18次 | 5,777 | 2,070 | 35.83% |
こちらも採択率35%程度となっており、高めの採択率となっています。
採択されるための4つの戦略
1. 明確で論理的な事業計画を作成する
審査の観点から見て、実現可能性が高く、成長性や波及効果のある事業が評価されます。特に「なぜ今その事業を行うのか」「どうやって収益化するのか」の部分を具体的にしましょう。
2. 賃上げ目標を満たすことで加点
新事業進出補助金では、最低賃金+30円(加点枠では+50円)や給与支給総額6%アップなどの条件を満たすことで、補助金額が上限アップする仕組みもあるため、賃上げを戦略的に取り入れましょう。
3. 認定支援機関との連携を活用
補助金申請に強い支援機関(認定経営革新等支援機関)とタッグを組むことで、事業計画の質が格段に上がり、採択の可能性が大きくなります。
4. 最初の方に申請する
新事業進出補助金に限らず、補助金全般的に公募開始時に申請したほうが採択されやすい傾向にあります。
補助金公募開始時は予算が潤沢にあるためです。
公募終了時に近づけば近づくほど予算が少なくなってきて、採択されやすくなります。
そのため、新事業進出補助金のように難易度が高めの補助金であれば、公募開始時早い段階で申請することをお勧めします。
まとめ
新事業進出補助金の採択率は事務局想定で15%とされていますが、これはあくまで仮定の数値です。事業再構築補助金やものづくり補助金の過去実績を参考にすると、実際には20~25%程度の採択率となる可能性も十分にあります。
狭き門であることは確かですが、戦略的な計画と準備を行えば、十分に採択を狙える補助金です。最新の公募要領の発表を待ちつつ、早めの準備を進めておきましょう。
弊社では、今後公募が開始される予定である「新事業進出補助金」「中小企業成長加速化補助金」についてもご相談をお受けしております。
弊社はこれまで、ものづくり補助金をはじめとして事業再構築補助金、中小企業省力化投資補助金のサポートも行っており、多数の採択実績があります。また、交付申請や事業化状況報告等の補助金申請後のご相談やサポートも承っております。お困りごとがございましたらお気軽にご連絡下さい。
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