中小企業や個人事業主が新たなビジネス分野に挑戦する際、「新事業進出補助金」は力強い味方となります。
しかし、その申請に必要な事業計画書の作成には、高度な知識と戦略性が求められ、申請者の多くが「何から始めれば良いかわからない」と感じています。
この記事では、補助金申請のキモとなる事業計画書の書き方を、実際のテンプレートに沿って解説しつつ、採択されるための具体的なポイントをわかりやすく紹介します。
✅ 新事業進出補助金の制度概要と、採択される事業計画書の特徴
✅ 申請テンプレートに沿った各項目のポイント解説
✅ 採択率を高めるSWOT分析や競合分析の書き方
✅ 計画の具体化に必要な数値計画・スケジュールの立て方
✅ 駒田会計事務所によるサポートの特徴と相談方法
Contents
新事業進出補助金とは?中小企業のチャレンジを支援する制度
「新事業進出補助金」とは、中小企業が既存事業とは異なる新市場・高付加価値分野への展開に必要な設備投資等を支援する制度です。
最大9,000万円の補助を受け取ることができ、補助率は通常1/2となっています。
機械装置や建物の改修費用を含む、幅広い補助対象経費が魅力的な補助金となっています。
細かい内容については下記の記事にて記載されていますので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:新事業進出補助金の公募開始!要件、スケジュールや注意点を徹底解説
主な対象者
新事業進出補助金の対象となるのは下記の事業者です。
新たな顧客層にアプローチしたい経営者
既存の技術を応用して新製品・新サービスを展開したい事業者
地域のニーズを捉えた新ビジネスモデルを検討している方
このような方にとって、事業計画書は「補助金の通行証」とも言える存在。
適切に記述することで採択可能性が格段に上がります。
事業計画書に記載すべき事項
2025年6月17日に新事業進出補助金の公式ホームページより事業計画書のテンプレートが公開されました。
下記よりダウンロードが可能となっています。
事業計画の中にはかなり多くの記載事項があります。
具体的には下記の欄を記述する必要があります。
1. 新規事業の概要
① 事業計画名
└ 補助事業の内容がひと目で分かるタイトルを30字以内で記載。② 事業計画の概要
└ 「誰に」「何を」「どうやって」提供するのか、事業全体像を簡潔に説明する。
2. 自社の現在地を知る
① 申請者の概要
└ 会社の沿革・理念・体制を簡潔にまとめ、自社の基盤を伝える。② 既存事業の内容
└ 現在の主力事業の詳細(商品・顧客・売上等)を具体的に記述する。③ 既存事業の業種
└ 主たる業種を日本標準産業分類から選択。事業分類の明示が必要。
3. 自社の未来を描く
3-1. 補助事業の取組内容
① 新規性(製品・市場)
└ 「今までにない」ことを製品と顧客両面から証明する。② 主な製品/サービスの内容
└ 技術的特長や新機能などを明確に。既存製品との違いがカギ。③ 市場(顧客層)
└ 新しいターゲット市場の需要と成長可能性を説明。④ 単価や売上高
└ 価格帯と収益見込みを数値で示す。売上構成の変化も。⑤ 実施体制(必要時)
└ 必要な人員・役割・組織体制が確保できることを示す。⑥ 事業実施場所(必要時)
└ 工場・施設等の所在地と適性を具体的に記述。
3-3. 現状分析
① 米国の関税措置の影響(該当時)
└ 国際情勢による影響を受ける場合は具体的に説明。② SWOT分析
└ 自社の強み・弱み・機会・脅威を整理し、事業への対応策を明記。③ 新規事業の必要性
└ なぜ今この新事業に取り組むのか、客観的に説明する。
3-4. 新市場性または高付加価値性(いずれか選択)
新市場性(3-4-1)
└ 社会にまだ浸透していない分野であることを示す。高付加価値性(3-4-2)
└ 既存分野の中でも価格・機能面で差別化が図れることを説明。
3-5. 新規事業の有望度
3-5-1. 将来性・参入可能性
① 将来性
└ 市場の成長性と収益性の見通しをデータや背景とともに説明。② 許認可・資格等の要否
└ 法的・業界的に必要な認可がある場合は記載。③ 取得方法
└ 許認可の取得計画を具体的に記述。④ 参入障壁とその対応策
└ 他社が参入しにくい理由と、それを突破する戦略を示す。⑤ 潜在顧客リスト(任意)
└ 取引可能性のある企業名などをできる限り具体的に。
3-5-2. 競合分析
① 競合の選定方法
└ 比較対象とその根拠、どこで差別化できるかを明確に。② 競合他社の概要
└ 競合の特徴(強み・弱み・価格など)を記述。③ 差別化の可能性
└ 自社製品が市場で勝てる根拠を論理的に説明。
3-6. 事業の実現可能性
① 中長期の課題と解決策
└ 実施に向けた障壁とその克服方法を整理。② 遂行方法
└ 計画実行までの段取りや体制の整備状況を説明。③ スケジュール
└ 実施期間・マイルストーンを月単位で明示。④ 実施体制の概要
└ 資金力・人材・設備などの実行体制が整っているかを記述。⑤ 体制の検討状況
└ 検討中/完了の選択+補足説明。⑥ 人材確保の方法
└ 求めるスキルや確保方法を具体的に明記。⑦ 社外リソースの活用(該当時)
└ 外部企業やコンサルの役割と連携内容を記述。
3-7. 公的補助の必要性
① 公共性(任意)
└ 社会的意義(雇用・インフラ・波及効果)があれば明記。② 地域貢献性(任意)
└ 地域活性化・産業振興などにどうつながるかを説明。③ 公的補助の必要性
└ 補助金なしでは事業が困難である理由を明確に。
3-8. 政策面(任意)
国や自治体の政策的背景と合致している点があればアピール。
3-9. 補助対象予定経費
① 補助対象経費の確認
└ 対象経費に該当する項目のチェック② 経費明細の記載
└ 設備費や建物費などの積算根拠を詳細に。
3-10. 収益計画
付加価値・給与支給額の目標設定
└ 目標値(%)を設定し、達成根拠を説明① 収益計画(売上・利益)
② 賃金計画(給与総額・最低賃金)
③ 計画の妥当性(根拠と実行方針)
④ 賃上げ特例(該当者のみ)
採択される事業計画書の書き方|5つの重要パート
テンプレートに沿って、押さえるべきポイントを解説します。
【1】事業計画名と概要は「誰に」「何を」「どうやって」が命
ポイント
事業計画名は30字以内で、取り組む事業の内容と対象が一目でわかるように
概要欄は、PREP法(結論→理由→具体例→結論)で簡潔に記述
書き方の例
例:「高精度センサー技術を活用した介護ロボット部品の開発・製造・販売事業」
概要文:「当社は、既存の工業用部品製造で培った精密加工技術を活用し、高齢者の安全支援を目的とした介護用ロボット部品の製造に着手します。対象顧客は、介護ロボットを扱う国内メーカーであり、○年以内に市場シェア10%獲得、利益率15%を目指します。〇〇団体との連携や展示会出展を通じたプロモーション活動も計画しています。」
【2】既存事業の内容は網羅的かつ客観的に
ポイント
製品の具体名、単価、売上、ターゲット、体制、場所まで漏れなく
「事業の信頼性」を示す材料でもあるため、曖昧な記述はNG
記載例
主な製品:「建設機械用ギア部品」
単価・売上:「平均単価は2,500円、年間売上高は1億2,000万円で、全体売上の65%を占めています」
実施体制:「技術者8名、品質管理担当2名、営業2名の構成で、ISO9001に準拠した品質管理体制を敷いています」
【3】新規事業の“新しさ”を「製品」と「市場」で証明せよ
ポイント
製品の新規性:従来製品との機能差・技術差
市場の新規性:ターゲット顧客が明確に異なることを数値や事例で示す
✍記載例
「従来は法人向け清掃ロボット用部品を製造していましたが、新事業では個人住宅用ロボットに対応。小型化・静音設計・高感度センサー搭載といった新仕様により、一般家庭への普及を促進します。」
【4】SWOT分析の記載では「対策」「活用策」までしっかり書く
ポイント
強み/弱み/機会/脅威ごとに「戦略への落とし込み」を記述
単なる分析にとどまらず、施策レベルまで記載する
書き方例
強み:高精度加工技術、ISO認証取得済
強みの活用:介護機器向けの難加工品への応用
弱み:資本力が弱く、初期投資のリスクが高い
弱みの克服策:補助金活用に加え、金融機関と連携して低金利融資を導入
機会:介護業界の人手不足による自動化需要
脅威:大手ロボットメーカーの新規参入
SWOT分析については下記の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:新事業進出補助金におけるSWOT分析の重要性を解説
【5】収益計画や実施スケジュールは“現実的かつ根拠ある内容”に
ポイント
売上・利益・人件費・設備投資などの数値は裏付けが重要
スケジュールは「○月:展示会出展」「○月:量産開始」などマイルストーンを具体的に
数値根拠の記載例
「新製品の単価は約3万円、初年度は月産300台と見込み、売上は1,080万円を計画。年次ごとに市場ニーズ拡大に伴い年10%の増加を見込みます。」
「展示会出展は2026年2月、販売開始は2026年6月。認証取得や従業員教育は2025年中に完了予定」
PREP法を意識することで分かりやすく!
事業計画書のテンプレートでも記載がありますが、事業計画書ではPREP法を活用することで分かりやすく・伝えやすくなります。
PREP法とは、ビジネス文書やプレゼンテーション、補助金申請書などで「伝えたいことを論理的かつ簡潔に相手に届けるための話の構成法」です。
特に審査官や読み手が限られた時間で多くの資料を目にする場面では、PREP法による構成が「要点が明確でわかりやすい」と高く評価されます。
PREPとは、以下の4つの頭文字を取ったものです。
P(Point)=結論
R(Reason)=理由
E(Example)=具体例
P(Point)=再度の結論(まとめ)
たとえば、新製品の市場性を説明する場合、
結論(P):「当社の新製品は、地域の介護現場において高い需要が見込まれます。」
理由(R):「近年、介護人材の不足が深刻化しており、補助機器の導入が進んでいます。」
具体例(E):「実際に、北海道内の2市町村では、試験導入した自動介護補助機器によって職員の身体的負担が30%削減されました。」
まとめ(P):「よって、本製品は人手不足に悩む地域において有効なソリューションとして普及が期待されます。」
このように、最初に結論を述べることで、聞き手や読み手は「何の話なのか」を冒頭で理解できます。
そのうえで理由や実例を用いて納得感を与え、最後に再度結論を述べて印象づけることで、論点がブレない分かりやすい文章になります。
補助金申請における事業計画書では、「結論から述べる」ことが特に重要視されます。PREP法を意識すれば、伝えたい内容が整理され、審査官にも明確な意図が伝わりやすくなるため、採択率の向上にもつながると言えるでしょう。
よくある不採択パターンに注意!
計画が曖昧で実現可能性が低い
成長性や収益性の裏付けがない
SWOTや競合分析が形式的
こうした場合、どれだけ魅力的なアイデアでも不採択になることがあります。第三者視点でのチェックは必須です。
申請前に確認したい事業計画書チェックリスト
事業計画書を一通り作成し終えたら、下記の点をチェックすることをおすすめします。
✅ チェック項目 | 内容 |
---|---|
補助金の対象条件に該当しているか | 既存事業とは異なる製品・サービス、かつ新たな顧客層への展開となっているか確認 |
事業の新規性が明確に示せるか | 既存製品との違い、市場における新しさを明確にし、比較・根拠も示しているか |
誰に、何を、どうやってが明確か(事業概要) | 「対象顧客」「提供製品やサービス」「提供手段」が具体的に記述されているか |
SWOT分析に活用策・対策を記載しているか | 強み・弱み・機会・脅威に対して、それぞれに対応する施策を記述しているか |
競合分析で差別化ができているか | 競合企業と比較し、自社の優位性が明確に示されているか |
数値計画に根拠があるか | 売上・利益・付加価値額などに、見積や市場調査等の裏付けがあるか |
スケジュールが現実的かつ明確か | 月単位でマイルストーンが整理され、実行可能な工程になっているか |
公的補助の必要性が論理的に説明されているか | 補助金がなければ困難な理由が、自社の事情とともに記載されているか |
駒田会計事務所が提供する記入支援のメリット
事業計画の書き方には一定の“型”があります。その型に沿いつつ、審査員が読みやすく納得できる内容に落とし込むことが重要です。
駒田会計事務所の支援内容
補助金採択経験に基づく記入アドバイス
SWOTや競合分析、数値計画の構築支援
全国対応、オンライン相談OK
認定支援機関として金融機関との連携サポートも実施
「内容を固めたいけれど、うまく文章にできない」「審査基準に沿って書けているか不安」——そんな経営者の悩みに、専門家の視点で寄り添います。
無料相談も可能ですので、「どこから手をつければ良いか分からない…」という方は、まず一度ご相談ください。
まとめ
今回は「事業計画書作成のポイント」について解説しました。ポイントは下記の通りです。
新事業進出補助金の事業計画書は、採択の命運を左右する重要書類
申請テンプレートを正しく理解し、具体的・定量的に記載することが鍵
SWOT分析や競合分析で市場優位性を示すことが重要
スケジュールや収益計画は、実現可能性の裏付けとして必須
駒田会計事務所のサポートにより、申請精度を上げることが可能!
まずは無料相談から始めてみませんか?
「自分の事業が補助対象になるか分からない」「どのように申請すればいいか不安」という方も、まずはお気軽にご相談ください。
駒田会計事務所では、初回無料相談を通じて、事業内容やビジョンに合った補助金の活用方法をご提案しています。
- 採択実績300件以上:ものづくり補助金・事業再構築補助金等
- 「新事業進出補助金」にもいち早く対応し、各業種で申請支援中
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