新事業進出補助金

新事業進出補助金のワークライフバランス要件とは?

新事業進出補助金のワークライフバランス要件とは?

中小企業庁が推進する「新事業進出補助金」は、企業の新たな市場進出や高付加価値事業への展開を支援する補助金制度です。
この制度を活用するためには、いくつかの要件を満たす必要がありますが、その中でも特に注目すべきなのが「ワークライフバランス要件」です。
事業再構築補助金など他の補助金では設定されていませんでしたが、新事業進出補助金では必須要件とされています。
とはいえ、
本記事では、ワークライフバランス要件の内容、対応方法、注意点について詳しく解説します。

ワークライフバランス要件とは?

新事業進出補助金の申請にあたり、申請企業は「次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)」に基づき、一般事業主行動計画を策定・公表する必要があります

次世代法は、企業が従業員の子育て支援など、仕事と家庭の両立を支援するための取り組みを促進する法律です。
これに基づき、一般事業主行動計画を定めることで、企業の社会的責任を果たすとともに、働きやすい職場環境の整備が求められます。

公募要領には下記のように言及されています。

要件

次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表していること

詳細

「次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)」(以下「次世代法」とい
う。)第12条に規定する一般事業主行動計画の策定・公表を行うことが必要です。応募申
請時までに、次世代法に基づき一般事業主行動計画を策定し、仕事と家庭の両立の取組を
支援する情報サイト「両立支援のひろば」に策定した一般事業主行動計画を公表してくだ
さい。
※ 一般事業主行動計画を「両立支援のひろば」に掲載するにあたっては、1~2週間程度の期間を要しますので、お早めに一般事業主行動計画の策定・公表に向けた準備等を行ってください。また、策定・公表した一般事業主行動計画は、可能な限り管轄の都道府県労働局へ届け出てください。

中小企業新事業進出促進補助金公募要領(第1回))

要件の具体的な内容

  • 一般事業主行動計画を策定・公表すること
  • 公表先は「両立支援のひろば」
  • 応募申請時までに公表が完了していること

一般事業主行動計画とは?

一般事業主行動計画とは、企業が策定する、従業員の仕事と子育ての両立支援に向けた取り組みを示した計画書のことです。具体的には、次のような内容を盛り込みます。

  • 子育て支援に関する目標
  • 目標達成のための取り組み内容
  • 取り組みの実施期間
  • 社内周知方法

例えば、「男性従業員の育児休業取得率を〇%にする」「残業時間を月〇時間以内にする」「短時間勤務制度の導入」などの具体的な目標設定が求められます。

一般事業主行動計画の具体例

一般事業主行動計画の具体例は下記の通り。

  • 目標設定: 「3年以内に男性の育児休業取得率を10%にする」「全従業員の月平均残業時間を20時間未満にする」。
  • 対策:
    • 育児休業を取得しやすいように、代替要員の確保や業務分担のルールを明確化する。
    • テレワーク制度を導入し、柔軟な働き方を可能にする。
    • ノー残業デーを設定し、時間外労働の削減を促す。
    • 年次有給休暇の取得を推奨するため、取得目標を設定し、取得しやすい雰囲気を作る。

このように中小企業においては次世代法をはじめて聞いた!という方も少なくないかと思いますが、新事業進出補助金に申請するには必須要件となっていますので、注意が必要です。

公表の手続きについて

「両立支援のひろば」とは?

「両立支援のひろば」は、厚生労働省が運営する情報サイトで、各企業が策定した一般事業主行動計画を掲載するためのプラットフォームです。
このサイトに行動計画を公表することで、対外的にも自社のワークライフバランス推進への取り組みをアピールできます。

公表までにかかる期間

一般事業主行動計画を「両立支援のひろば」に掲載するには、1〜2週間程度の時間が必要です。
そのため、補助金申請に間に合わせるためには、余裕を持って手続きを進めることが重要です。

実際の一般手続きの流れ

  1. 行動計画の策定
  2. 「両立支援のひろば」への登録申請
  3. 審査・掲載(1〜2週間程度)
  4. 管轄の都道府県労働局へ届け出(可能な限り)

特に、応募締切間際に慌てて登録申請を行うと、間に合わないリスクがありますので、早めの準備が必須です。

実際の公表例

大手自動車メーカーの公表事例としては下記の通り。

1.計画期間
2023 年 4 月 1 日 ~ 2025 年 3 月 31 日

2.内容
目標 1 「多様性」「成長」「貢献」の 3 つを柱とした『全員活躍』の推進
<取組み>
▽両立者を含む多様な人材の「成長」「全員活躍」についての労使コミュニケーションの更なる強化
▽上司・部下間の「本音での対話」を更に促進する施策
▽年次や学歴ではなく、現在の能力やチャレンジに重きを置いた評価制度の導入
▽「多様性」「チャレンジの余力」の為のリソーセス補強

目標 2 性別を問わず仕事と生活、育児、介護を両立できる環境の整備
<取組み>
▽育児時短の適用条件緩和(学年制限など)
▽希望者全員がパートナー育休を取得できる環境整備
・性別を問わない育児休職取得促進セミナーを実施
・社内男性育児参画実績・推移データの掲載
・育休取得者による体験レポートの掲載 他
▽全従業員を対象としたダイバーシティ研修の強化

目標 3 仕事と不妊治療を両立できる環境の整備
<取組み>
▽仕事と不妊治療との両立支援制度(休務)の周知徹底・相談窓口の構築
▽不妊治療に対する職場理解の促進を目的とした情報提供の実施

目標 4 働く人を支える施設・インフラの利用を自社従業員以外へ拡大
<取組み>
▽企業内託児所などのグループ各社相互利用を促進
▽従業員以外の地域在住者(豊田市内)への再周知による病児保育施設の利用促進

なぜワークライフバランス要件が求められるのか?

新事業進出補助金では、単なる設備投資や新市場進出だけでなく、企業の成長と社会的責任の両立が重要視されています。
労働人口の減少や働き方改革の推進といった社会背景を受け、持続可能な経営体制を整えることが、中小企業にも強く求められています。

ワークライフバランス要件は、単なる形式的なものではなく、働きやすい職場づくり=企業競争力の強化につながる重要な取り組みでもあるのです。

ワークライフバランス要件対応にあたっての注意点

1. 計画の実効性

単に形式だけ整えるのではなく、実際に実行可能な計画を立てましょう。
無理な目標設定は、後々社内での運用に支障をきたす可能性があります。

2. 社内への周知

策定した行動計画は、社内にもきちんと周知しましょう。従業員が制度を認識し、利用できる環境を整えることが重要です。

3. 定期的な見直し

行動計画は一度作ったら終わりではありません。
状況の変化に応じて、計画内容を見直し、更新していくことが望まれます。

まとめ

新事業進出補助金のワークライフバランス要件についてまとめてきました。
ポイントは下記の通り。

  • 申請には次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定・公表が必要
  • 「両立支援のひろば」での公表には1〜2週間程度かかる
  • ワークライフバランス推進は、企業自身の魅力向上や人材確保にも大きく寄与

 

駒田会計事務所では、申請書作成から事業化報告まで、補助金活用の「最初から最後まで」を一貫してサポートいたします。
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