新規事業の立ち上げや事業拡大を検討している事業者にとって、「新事業進出補助金」は大きな支援となる制度です。
近年、農業と観光を掛け合わせた「観光農園」が注目されており、地域活性化や農業の付加価値向上に貢献しています。
しかし、「観光農園は補助対象になるのか?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
結論から言うと、新事業進出補助金を活用して観光農園を開業・拡大することは可能です。ただし、単なる農園の開業ではなく、「新市場進出」や「高付加価値化」が求められます。
本記事では、新事業進出補助金を活用した観光農園開業・拡大のポイントや、採択事例について詳しく解説します。
Contents
観光農園業界の成長とビジネスチャンス
近年、日本では農業の高齢化や後継者不足が問題視される一方、農業体験やアグリツーリズムへの関心が高まっています。
特に、都市部の消費者が地方を訪れ、収穫体験や地元食材を楽しむ「観光農園」ビジネスは、新たな収益源として注目されています。
市場規模と成長
- 農業総産出額は平成27年度以降、約9兆円前後で推移しており、依然として大きな市場となっています。(参照:令和4年 農業総産出額及び生産農業所得(全国) 農林水産省)
- 近年の「農泊」推進政策や、アグリツーリズム(農業観光)の需要増加が観光農園の成長を後押し。(参照:「農泊」の推進について 農林水産省)
- 観光農園自体の市場規模のデータはないが、年間販売金額は2014年度以降増加傾向にある。(参照:観光農園・貸し農園 J-NET21)
高まるニーズ
- 体験型農業の需要拡大:果物狩り、野菜の収穫体験、動物とのふれあい体験が人気。
- インバウンド需要の増加:訪日外国人向けの農業体験や、地域食材を活かしたグルメツーリズムが注目。
- 持続可能な農業モデル:有機農業や自然農法を取り入れたエコフレンドリーな観光農園の増加。
- 地元特産品の販売促進:収穫した農産物を加工・販売し、直販市場の拡大。
このような市場の成長を背景に、観光農園業界は新規参入や事業拡大のチャンスが広がっています。
新事業進出補助金とは?観光農園も補助対象の可能性
新事業進出補助金(正式名称:中小企業新事業進出促進事業)は、既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とした補助金となっています。
公募開始は2025年4月からとなっており、注目されている補助金です。
補助率は1/2で、補助額は最大9,000万円となっています。
補助額 | ||
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従業員数 | 補助金額 | 大幅賃上げ特例適応時 |
21人以下 | 750万円以上2,500万円以下 | 3,000万円 |
21~50人 | 750万円以上4,000万円以下 | 5,000万円 |
51~100人 | 750万円以上5,500万円以下 | 7,000万円 |
101人以上 | 750万円以上7,000万円以下 | 9,000万円 |
補助対象経費 |
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建物費、構築物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費 |
補助率・補助額が高く補助対象経費も幅広いです。
採択率は低めに予想されている難易度が高い補助金となりますが、チャレンジする価値は十分にあるでしょう。
補助対象経費
- 農園の設備投資(ビニールハウス、果樹園整備など)
- 体験施設の建設費(直売所、BBQエリア、加工施設など)
- システム構築費(オンライン予約システム、顧客管理システム)
- クラウドサービス利用費(農業データ管理、AI活用システム)
- 知的財産権等関連経費(ブランド化、地域特産品の商標登録など)
- 広告宣伝・販売促進費(Webマーケティング、インバウンド向けPR)
新事業進出補助金は、単なる農業事業ではなく、「新しい市場への進出」「付加価値の向上」を目的としているため、観光農園の新規展開が補助対象となる可能性が高いです。
観光農園関連の採択事例
以下は、新事業進出補助金の前身である事業再構築補助金で採択された観光農園関連の事例です。
複合型観光農園の開設
- 大崎市内に広大な土地と観光農園を活用し、家族連れ向けに収穫体験、BBQ、DIYなどのイベントを開催。
- 地元生産者の規格外野菜を販売する物販やカフェを併設し、地域の食材を活用した複合施設を展開。
りんご加工品専門施設の設置
- りんご農家が新たに自社でりんご加工品を製造・販売するための新店舗を開設。
- 商品開発・販売・保管機能を強化し、地域唯一の観光型農園として地域活性化を促進。
農業体験型カフェの運営
- 広告業からの業態転換として、農業体験型カフェを開設。
- ITを活用した体験予約システムや農作物配送サービスを導入し、観光農園の新市場へ進出。
きのこ観光農園&昆虫ランドの開設
- 倒産したきのこ工場跡地を活用し、観光農園として再生。
- きのこの菌床を利用した昆虫養殖を行い、昆虫ランドを併設。地域活性化と雇用創出を実現。
ハーブ観光農園の設立
- 事務所敷地内の農地を活用し、ハーブ(エキナセア)の栽培・花摘み体験を提供。
- 収穫したハーブを加工し、ハーブティーとして販売。オンライン販売や飲食店向けの卸販売も展開。
まとめ
- 新事業進出補助金は、新市場・高付加価値事業への進出を支援する補助金であり、観光農園も対象となる可能性が高い。
- 観光農園市場は拡大しており、インバウンド需要やスマート農業、エコツーリズムの活用が成長分野。
- 補助率は1/2で、最大9,000万円の補助が受けられるため、事業規模に応じた活用が可能。
- 採択事例を参考に、新市場進出や高付加価値化を意識した観光農園の開業・拡大を検討すべき。
補助金を活用し、観光農園ビジネスの成長を実現しましょう!
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