新事業進出補助金

新事業進出補助金は製造業の設備導入で使える?解説します。

新事業進出補助金は製造業の設備導入で使える?解説します。

製造業における新規事業の立ち上げや高付加価値分野への展開には、大きな初期投資が伴います。特に設備導入はその中核をなすケースが多く、「新事業進出補助金」を活用したいと考える経営者・補助金担当者も多いのではないでしょうか。

本記事では、「新事業進出補助金」が製造業の設備投資に使えるのかを中心に、補助対象経費や対象外のケース、注意点までわかりやすく解説します。
あわせて、申請に不安のある方に向けて、駒田会計事務所のサポートについてもご紹介します。

駒田裕次郎

監修: 駒田 裕次郎(こまだ ゆうじろう)

駒田会計事務所 【コマサポ】代表

【来歴】大手監査法人の経験を活かし、創業支援・補助金支援を中心とする「駒田会計事務所」を東京・渋谷に設立。資金調達や事業計画の作成、税務や経営相談まで顧客に寄り添うきめ細やかなサポートを提供。

【実績】創業融資・補助金の支援実績は、累計3,000件以上(2025年1月末現在)

【所有資格】公認会計士・税理士・認定支援機関

「一人ひとりの起業家の成功を願い、日本の未来を明るくする」をモットーに、日々奔走。

Contents

新事業進出補助金とは?

新事業進出補助金(正式名称:中小企業新事業進出促進事業)は、既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とした補助金となっています。
第1回公募が2025年4月22日(火)よりスタートしました。
公募要領は必ず確認しましょう。

補助率は1/2で、補助額は最大9,000万円となっています。

補助額
従業員数補助金額大幅賃上げ特例適応時
21人以下750万円以上2,500万円以下3,000万円
21~50人750万円以上4,000万円以下5,000万円
51~100人750万円以上5,500万円以下7,000万円
101人以上750万円以上7,000万円以下9,000万円
補助対象経費
建物費、構築物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費

補助率・補助額が高く補助対象経費も幅広いです。
採択率は低めに予想されている難易度が高い補助金となりますが、チャレンジする価値は十分にあるでしょう。

製造業でも補助対象になるのか?

結論から言えば、製造業において新事業として行う設備導入は補助対象となります。
実際のところ、似たような補助金である事業再構築補助金やものづくり補助金では製造業は明らかに採択率で優遇されてきたため、新事業進出補助金でも製造業の設備投資は優遇される可能性は高いでしょう。

新事業進出補助金の要件は下記の通りです。

① 新事業進出要件(全事業者が対象)

要件内容
製品等の新規性自社にとって新しい製品・サービスであること(過去に製造・提供していないもの)
市場の新規性既存顧客とは異なる顧客層(市場)への提供であること
新規事業売上高新事業の売上高が、総売上高の10%以上 または 付加価値額の15%以上になること(※規模に応じて調整あり)

② 付加価値額要件(全事業者が対象)

  • 補助事業終了後3〜5年の計画期間において
    付加価値額の年平均成長率が+4.0%以上

③ 賃上げ要件(全事業者が対象)

以下のいずれかを満たすこと:

  • 給与支給総額の年平均成長率が +2.5%以上

  • または、都道府県の最低賃金上昇率以上(直近5年平均)

④ 事業場内最低賃金要件(全事業者が対象)

  • 事業所内の最低賃金が、地域別最低賃金+30円以上であること

⑤ ワークライフバランス要件(全事業者が対象)

  • 一般事業主行動計画」を公表していること(従業員100人以下の企業も対象)

⑥ 金融機関要件(金融機関からの融資を受ける場合のみ)

  • 金融機関から事業計画の確認を受けること

  • 金融機関による確認書」の提出が必要

⑦ 賃上げ特例要件(適用希望者のみ)

賃上げ特例を受ける場合、以下を満たす必要があります:

  • 給与支給総額の年平均成長率:+6.0%以上

  • 事業場内最低賃金の年平均引き上げ額:+50円以上

実際の製造業における設備投資事例【事業再構築補助金 採択事例より】

新事業進出補助金の前身となる「事業再構築補助金」では、全国の製造業が新たな設備投資を伴う新規事業で多数採択されています。以下はその代表例です。

有限会社名川製作所(青森県三戸郡南部町)

事業名:電子機器部品製造業から医療、半導体向けプラスチック加工業に進出し業績向上させ雇用を守る事業
概要:医療・半導体業界向けプラスチック部品の製造に対応するため、各種素材に対応可能な加工設備を導入。多品種小ロット生産に対応した新事業に挑戦。

日精電機株式会社(岩手県花巻市)

事業名:高付加価値フィルムコンデンサ製品化実現による事業再構築
概要:自動車や再エネ分野に用いられる大型・高精度コンデンサ製品の製造に向けた、新たな開発・生産設備の整備。付加価値の高い製品群への移行を目指す。

株式会社PICSIS(宮城県富谷市)

事業名:半導体後工程用搬送治工具の生産体制構築による新市場進出
概要:半導体業界のニーズに応えるため、治工具製作に特化した切削加工機や精密自動測定機などを導入。新たな加工体制を構築し、新市場へ展開。

株式会社アイセス(秋田県南秋田郡井川町)

事業名:洋上風力用「航空障害灯」を地元業者が製造する取組み
概要:再生可能エネルギー市場の拡大に対応し、洋上風力向け航空障害灯の製造設備を新たに導入。地元企業として未開拓分野に挑戦する取り組み。

中村電機工業株式会社 山形工場(山形県新庄市)

事業名:電動車の安全走行に必須となる部品製造への挑戦
概要:空調・冷却制御に必要な抵抗器の製造から、電動車向け重要部品の製造へと業容を拡大。高性能な新設備を導入し、自動車産業の変革に対応。

補助対象となる経費とは?

新事業進出補助金では、以下のような経費が対象となります。

建物費(製造ラインや工場の新設・改修)

製造業において、新たな製造拠点や生産ラインの確保を目的とした建物費は、非常に注目される経費です。

補助対象になり得る内容:

  • 製造工場や加工場など、新事業に必要な拠点の新築・増築・改修工事
  • クリーンルームや検査室の整備、耐震補強などの機能向上改修
  • 構内搬送・生産導線に対応した内部改装

※土地購入費や明確な用途がない施設は対象外の可能性があります。

👉 詳しくは:建物費の詳細解説はこちら

機械装置・システム構築費(生産設備・検査装置など)

新製品の製造に必要な機械装置や、製造管理に関わるシステム導入費が中心です。中核となる生産ラインの立ち上げに直結するため、製造業にとって最重要の経費項目です。

補助対象になり得る内容:

  • 加工機、成型機、包装機、検査装置、搬送機器などの新規導入費
  • 専用測定器・生産管理システム、MES・CAD/CAM・PLC等の導入費用
  • 設備据付や試運転調整、運搬費、改良修繕に関わる経費

※一部、リースやクラウド型システム利用も対象になり得ます。

👉 詳しくは:機械装置費の詳細解説はこちら

技術導入費(他社技術や製造ノウハウの導入)

自社で保有していない製造技術や工程ノウハウを外部から導入する際に必要な契約費用などが該当します。

補助対象になり得る内容:

  • 特許技術や生産手法のライセンス取得費
  • 実施権契約・技術移転契約の締結にかかる経費

※導入元との契約書提出が必須。外注費・専門家経費との重複支払いは不可。

👉 詳しくは:技術導入費の詳細はこちら

専門家経費(製造工程の最適化・業務設計支援など)

新しい生産方式や品質管理体制の構築に必要な専門家の支援も対象となります。

補助対象になり得る内容:

  • 工場レイアウトの最適化、IE手法による生産性分析の支援
  • 製造業向けISO認証支援、技術顧問の派遣、コンサルティング
  • 関連する旅費(規定内)

日額上限の目安:

  • 教授、弁護士、公認会計士など:5万円以下
  • 中小企業診断士、技術士など:4万円以下

👉 詳しくは:専門家経費の詳細はこちら

運搬費(機械の搬入や部材の移設など)

  • 新設設備や資材の搬入に伴う運搬費、据付場所への移送など
  • 大型機械の専門輸送にかかる費用も対象

※機械装置費と一体の場合はそちらで計上します。

クラウドサービス利用費(IoT・生産管理系)

クラウド型の生産管理システム(MES)、工程進捗モニタリング、品質管理ツールなどが対象です。

補助対象になり得る内容:

  • 生産管理クラウドの利用料
  • 遠隔制御システム、スマートファクトリー支援サービス

補助対象外の例:

  • 汎用サーバー購入費やハードウェアレンタル費
  • 他事業との共用クラウドサービス
  • パソコンやタブレットなどの端末本体費用

外注費(部品加工・金型製作・試作など)

自社で対応が難しい工程を外部に委託する費用です。

補助対象になり得る内容:

  • 精密部品の機械加工・表面処理・熱処理など
  • 製品デザイン、金型製作、プロトタイピング(試作)

※契約書に基づいた外注実態の明記が必要

知的財産権等関連経費(特許・意匠・商標など)

新製品の設計や技術開発に伴う権利取得が対象です。

  • 特許申請費、弁理士費用、図面翻訳、外国出願費など
  • 製品のブランド保護に関わる商標取得費

広告宣伝・販売促進費(新製品の販路開拓)

新たに開発・製造した製品の販促活動が対象です。

補助対象になり得る内容:

  • カタログやパンフレットの制作、SNS・WEB広告出稿
  • 展示会(国内外)出展費、営業代行、プロモーション支援

補助対象外の例:

  • 人材募集広告、企業ブランディングのみを目的とした広告
  • 補助事業以外の商品・サービスのPR

対象外となる経費・事業に注意!

対象外となる経費の例

  • 中古設備やリース契約による機器導入費用(原則対象外)
  • 車両購入費(業種によっては例外あり)
  • 土地や建物の購入費
  • 既存事業の維持・改善にとどまる投資

対象外となる事業の例

  • 単なる製造ラインの更新や修繕
  • 市場性が乏しく、新規性がないと判断される事業

新事業進出補助金はあくまでも「新事業」への挑戦を支援するための制度です。既存事業の延長線上にある取組では採択されにくいため、事業計画の設計には注意が必要です。

まとめ:製造業の設備導入と新事業進出補助金

今回は新事業進出補助金が製造業の設備投資に使えるのかというテーマで解説してきました。
ポイントは下記の通り。

  • 新事業進出補助金は製造業の新規設備投資にも活用可能
  • 既存事業の単なる延長ではなく、「新市場への挑戦」が必要
  • 機械装置や外注費、販促費など幅広く補助対象
  • 中古設備や土地購入費などは原則対象外
  • 駒田会計事務所の申請サポートで不安を解消し、採択を目指そう

「自社でも使えるのか知りたい」「どこから着手すべきかわからない」——そんな時は、まずは駒田会計事務所の無料相談をご活用ください。新事業の第一歩を、確かなサポートと共に踏み出しましょう。

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✅ 駒田会計事務所では、補助金申請のご相談を全国対応で承っております (監修:公認会計士 駒田裕次郎|プロフィールを見る
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