新事業進出補助金の収益計画や付加価値額の算定の中で人件費という言葉が良く出てきます。
しかしながら、どこからどこまでが人件費に含まれるのか疑問に思われた方もいらっしゃいますよね。
そこで今回は新事業進出補助金における人件費の範囲について解説していきます。
新事業進出補助金における人件費の定義
新事業進出補助金における人件費は他の補助金同様の定義になると思われます。
例えば事業再構築補助金では「よくあるご質問【申請要件】」の中で下記のように定義されていました。
【法人】
・売上原価に含まれる労務費(福利厚生費、退職金等を含んだもの。)
・一般管理費に含まれる役員給与、従業員給与、賞与及び賞与引当金繰入れ、福利厚生費、退職金及び退職給与引当金繰入れ
・派遣労働者、短時間労働者の給与を外注費で処理した場合のその費用
ただし、これらの算出ができない場合においては、平均給与に従業員数を掛けることによって算出してください。
【個人事業主】
青色申告決算書(損益計算書)上で以下の費目が人件費に該当します(丸数字は、所得税申告決算書の該当番号です)。
福利厚生費+給料賃金(⑲+⑳)
※個人事業主の付加価値額算定では、人件費の構成要素である㊳専従者給与(=ご家族の方等のお給料)および㊸青色申告特別控除前の所得金額(=事業主個人の儲け)の2項目を「人件費」に参入せずに計算します。
ポイントを解説していきます。
役員報酬・福利厚生費・退職金も人件費に含まれる
まとめると法人は下記が人件費に含まれます。
- 給与
- 役員報酬
- 福利厚生費
- 退職金関係
- 派遣などの外注費
給与・役員報酬はもちろんのこと、福利厚生費や退職金関係も人件費として計上できる点がポイントです。
個人事業主は下記が人件費に該当します。
- ⑲福利厚生費
- ⑳給与賃金
注意すべき点は㊳専従者給与及び㊸所得金額は人件費に含まれないという点です。
法人は役員報酬が人件費として計上できる一方で、個人事業主は専従者給与と所得金額は人件費として計上できません。
法人と個人事業主で人件費の定義が異なるので、注意しましょう。
新事業進出補助金では人件費は補助対象外になる可能性が高い
新事業進出補助金では人件費については補助の対象外となる可能性が高いです。
ほとんどの補助金では公募要領の中で「事業に係る自社の人件費、旅費」は補助対象外となる旨、明記されています。
新事業進出補助金でも同様に人件費は補助対象外経費となるでしょう。
一方で、社外の人件費である外注費、専門家経費、技術導入費について補助対象となります。
内容について具体的に解説していきます。
外注費
新事業進出補助金では外注費が補助対象となります。
事業再構築補助金の外注費は下記の通り定義されていました。
外注費
本事業遂行のために必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費
(事業再構築補助金 第四回公募要領P25)
自社で行っている加工や設計・検査を外部に委託し、浮いた人員を他の作業に割り当てることで、新事業進出補助金を有効活用できます。
専門家経費
専門家経費の事業再構築補助金は下記の通り定義されていました。
本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費
※1 本事業の遂行に専門家の技術指導や助言が必要である場合は、学識経験者、兼業・副業、フリーランス等の専門家に依頼したコンサルティング業務や旅費等の経費を補助対象とすることができます(第5回事業再構築補助金 公募要領より)
自社の人件費・旅費は補助の対象となりません。
しかしながら、外部の専門家の日当や旅費は補助対象となります。
専門家の謝金単価は下記が上限とされています。
※2 専門家の謝金単価は以下の通りとします(消費税抜き)。
・大学教授、弁護士、弁理士、公認会計士、医師等:1日5万円以下
・准教授、技術士、中小企業診断士、ITコーディネータ等:1日4万円以下
専門家経費は補助対象となりますので、人件費の代わりに有効活用したいところです。
まとめ
今回は新事業進出補助金の人件費について予想してきました。
ポイントをまとめると下記の通り。
- 法人は給与、役員報酬、福利厚生費、退職金関係、派遣などの外注費が人件費の範囲
- 個人事業主は福利厚生費、給与賃金が人件費
- 社内の人件費は新事業進出補助金の補助対象外
- 人件費の代わりに、外注費、専門家経費の有効活用を
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