新事業進出補助金でOEM受託は補助対象？事例をもとに解説します

新たにOEM受託事業に取り組もうと考えている事業者の方にとって、「新事業進出補助金の対象になるのか？」という疑問は非常に重要です。
結論から申し上げますと、OEM受託型の新規事業は、新事業進出補助金の補助対象になります。

実際、第12回事業再構築補助金（新事業進出補助金の前身）でも、OEM受託による製造事業の立ち上げや拡大に対して多数の採択事例が存在しました。

本記事では、補助金制度の概要を踏まえつつ、採択されたOEM受託事業の事例をご紹介しながら、どのような取り組みが対象となるのかをわかりやすく解説していきます。

監修: 駒田 裕次郎（こまだ ゆうじろう）

駒田会計事務所 【コマサポ】代表

【来歴】大手監査法人の経験を活かし、創業支援・補助金支援を中心とする「駒田会計事務所」を東京・渋谷に設立。資金調達や事業計画の作成、税務や経営相談まで顧客に寄り添うきめ細やかなサポートを提供。

【実績】創業融資・補助金の支援実績は、累計3,000件以上（2025年1月末現在）

【所有資格】公認会計士・税理士・認定支援機関

「一人ひとりの起業家の成功を願い、日本の未来を明るくする」をモットーに、日々奔走。

新事業進出補助金とは？｜制度のポイント

新事業進出補助金（正式名称：中小企業新事業進出促進事業）は、既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とした補助金となっています。
第1回公募が2025年4月22日（火）よりスタートしました。
公募要領は必ず確認しましょう。

補助率は1/2で、補助額は最大9,000万円となっています。

補助率・補助額が高く補助対象経費も幅広いです。
採択率は低めに予想されている難易度が高い補助金となりますが、チャレンジする価値は十分にあるでしょう。

OEM受託型の場合、製造設備の導入や製造プロセスの改善、少量多品種対応への転換などの投資が補助対象となりやすいです。

OEMを受託する側のケースは比較的採択されやすい

一方で、OEMを受託する側（＝他社製品を製造する側）の場合は、設備投資型の新規事業として評価されやすくなります。

• 既存の製造設備を改修・拡張して新たな受託を開始

• 新しい生産ラインの導入や自動化による高付加価値化

• OEM製造を足がかりに自社ブランド商品の製造へ転換

このような事業モデルは、補助金の目的に合致しており、特に「他業種向けのOEM展開」「成長市場への対応」などが組み合わされると評価が高くなる傾向があります。

OEMで採択された事例一覧（第12回事業再構築補助金より）

第12回事業再構築補助金採択事例をもとに、OEM受託型ビジネスで採択された事例を紹介していきます。

① 半導体製造装置の迅速な開発・生産を実現する地域サプライチェーン強靭化事業

• 事業概要：Tier-1企業としてOEMニーズに応えるため、サプライチェーン全体を強靭化する大型投資を実施。

• 注目ポイント：OEM受託型。地域産業との連携強化と設備増強により、OEM供給力を向上。

② 国産米粉を原材料とした、幼児が食べても安心・安全な品質の粘土のOEM供給

• 事業概要：健康志向の高まりに応じ、中国生産から国内OEM供給へ転換。国産原料で差別化。

• 注目ポイント：OEM受託型。社会課題対応（健康志向・子ども向け安全性）との連動が評価。

③ 地域の移動難民を解消する低価格電動三輪車の製造販売事業

• 事業概要：自社のバッテリー技術を活かして、電動三輪車のOEM製造・卸売を新たに開始。

• 注目ポイント：OEM受託＋製造立ち上げ型。技術活用・地域課題解決の組み合わせが好評価。

④ 共通規格品の大量生産から、特注品の少量多品種生産への事業再構築

• 事業概要：住宅向けOEM製造から、インテリア市場向けに特注品の小ロット生産へ転換。

• 注目ポイント：既存OEM→多品種OEM転換。高付加価値化・事業多角化の好事例。

⑤ 最新型歯ブラシ植毛機による多品種歯ブラシOEM供給事業展開

• 事業概要：設備導入によって中小メーカーや歯科医院向けのカスタマイズ対応を強化。

• 注目ポイント：OEM受託強化型。高度な技術・迅速対応・信頼性が評価のポイントに。

⑥ 宮大工の技術力×木材仕入力を活かしたオーダーメイド家具製造

• 事業概要：火災で製材設備を喪失後、OEM雑貨販売から家具製造へ。技術力と仕入力で差別化。

• 注目ポイント：OEM経験をベースに製造主体へ転換。伝統技術の活用が強み。

⑦ 福岡の飲食企業倒産率を下げるための製品化OEM事業

• 事業概要：飲食店向けにオリジナル商品のOEM製造を支援し、コンサルティング～販路までを一気通貫で提供。

• 注目ポイント：OEM受託＋地域支援型。地域経済との連携と複合支援が評価に。

採択されるためのポイント

OEM受託型で補助金申請を成功させるには、次の点を押さえておくことが重要です。

1. 自社が製造の主体であることを示す
2. 新規性のある取り組み（今まで作っていない製品・技術）
3. 設備投資や人材育成の具体性
4. 地域や業界課題との関連性（安全性・環境配慮・高齢化対策など）
5. 収益化の見込みと持続可能性

新事業進出補助金における審査のポイントは下記の記事でも解説していますので、確認してみてください。

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まとめ：OEMでも新事業進出補助金は活用できる

今回は新事業進出補助金の

• OEMは委託・受託いずれの立場でも補助対象となり得る

• 委託型の場合は、自社で行う投資や取り組みの明確化が重要

• 受託型は、製造設備への投資や新市場対応で採択されやすい

• 採択事例を参考に、自社の強みや課題と結びつけた事業計画を構築すべき

• OEM＋ECやOEM＋自社ブランド展開など複合型戦略が有効

まずは無料相談から始めてみませんか？

「自分の事業が補助対象になるか分からない」「どのように申請すればいいか不安」という方も、まずはお気軽にご相談ください。
駒田会計事務所では、初回無料相談を通じて、事業内容やビジョンに合った補助金の活用方法をご提案しています。