少子化や結婚観の多様化が進む中、結婚相談所や婚活イベントなどの婚活事業は急速に変化しています。
「オンライン化に対応したい」「AIを活用した新しいマッチングサービスを提供したい」「コロナ禍で広がった小規模婚式や家族婚向けの施設を立ち上げたい」——そんな思いはあっても、初期投資の負担や補助金申請の難しさに二の足を踏んでいる経営者の方も多いでしょう。
2025年度から始まった新事業進出補助金は、中小企業が既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業へ挑戦する際の設備投資や建物改修を支援する制度で、従業員規模に応じて750万〜7,000万円(賃上げ特例の場合は最大9,000万円)まで補助されます。
婚活業界でもAIマッチングアプリ開発や新しい婚礼施設の建設など、資金面で大きな後押しとなる制度です。
今回は新事業進出補助金は婚活事業でおすすめできる理由と制度の概要、採択事例について解説していきます。
Contents
この記事でわかること
- 新事業進出補助金の制度概要と、婚活事業が対象となる理由
- 婚活ビジネスに活用できる補助対象経費の詳細
- 採択された婚活事業事例から見る成功パターン
- 補助金活用にあたっての注意点や、不採択になりやすいケースの解説
- 駒田会計事務所による申請サポートのメリットと相談方法
新事業進出補助金の基本を押さえよう
制度の目的と対象事業者
新事業進出補助金は、既存の事業とは異なる事業に取り組む中小企業等を対象に、設備投資や建物改修を支援することを目的としています。
本社と補助事業実施場所が日本国内にある中小企業者や特定法人が対象で、資本金や従業員数が一定規模以下であることが要件です。
サービス業(旅館業を除く)の場合、資本金5,000万円以下、常勤従業員数100人以下であれば対象となります。
新事業進出補助金の内容については下記の記事で詳細に解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:新事業進出補助金申請サポート徹底ガイド|制度概要・補助率・要件・事例を全て解説
公式情報はこちら:
補助金額・補助率
補助率は1/2で、補助額は最大9,000万円となっています。
| 補助額 | ||
|---|---|---|
| 従業員数 | 補助金額 | 大幅賃上げ特例適応時 |
| 21人以下 | 750万円以上2,500万円以下 | 3,000万円 |
| 21~50人 | 750万円以上4,000万円以下 | 5,000万円 |
| 51~100人 | 750万円以上5,500万円以下 | 7,000万円 |
| 101人以上 | 750万円以上7,000万円以下 | 9,000万円 |
| 補助対象経費 |
|---|
| 建物費、構築物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費 |
補助率・補助額が高く補助対象経費も幅広いです。
交付決定日から14か月以内に事業を実施する必要があります。
1公募につき1申請が原則ですが、条件を満たす場合は再申請も可能です。
補助対象経費と婚活ビジネス
補助対象となるのは、機械装置・システム構築費や建物費など、事業化に不可欠な資産であり、機械装置・システム構築費または建物費のどちらかが必ず含まれていることが条件です。
婚活事業が活用できる経費の例を表にまとめました。
| 経費区分 | 内容 | 婚活事業の例 |
|---|---|---|
| 建物費 | 新施設の建設・改修、付随する構築物の建設費用 | 小規模婚礼に対応したチャペルやリゾート施設の建設・改修、相談所の移転・新装など |
| 機械装置・システム構築費 | 専用機器や情報システムの購入・開発費 | AIマッチングアプリ開発、オンライン相談システム構築、個人情報管理のセキュリティ強化 |
| 技術導入費 | 外部技術やノウハウ取得に要する費用 | 感情分析や心理学を取り入れたマッチングアルゴリズムの導入、ブライダルプランナー養成研修 |
| 広告宣伝・販売促進費 | 新事業のPR費用 | 婚活イベントやアプリの告知、SNS広告、プロポーズプランのキャンペーン |
| 専門家経費 | コンサルタントなど外部専門家への謝金 | 個人情報保護法対応の専門家、ウェディングプランナーの指導、ITコンサルティング |
| 知的財産権等関連経費 | 商標登録や特許出願など | 新ブランド名やロゴの商標登録、マッチングアルゴリズムの特許申請 |
これらの経費は、証拠書類により必要性と金額の妥当性を示すことが求められます。イベント単発の支出が中心となる場合は対象外になるため注意が必要です。
婚活事業が対象となる理由
婚活ビジネスは社会的課題への対応という側面だけでなく、デジタル化や多様化する顧客ニーズに対応するための新サービス開発が必須となっています。
新事業進出補助金の「新市場・高付加価値事業への進出」という趣旨と親和性が高く、以下のような理由から対象となります。
- 新しい顧客層・市場を開拓できる – オンライン婚活やAIマッチングアプリは20〜30代の利用者を中心に急成長しており、従来の結婚相談所とは異なる市場です。新市場に進出することで新規性要件を満たしやすくなります。
- 高付加価値サービスを提供できる – コンパクトウェディングや家族婚、ストーリーテリングを重視したプロポーズ支援などは、従来の大量生産型婚礼サービスより付加価値が高く、設備投資や専門人材の育成を伴います。
- 地域活性化・社会課題解決につながる – 地域資源と連携したチャペル建設や婚姻数増加を目的とした事業は、自治体や地域経済の活性化にも寄与し、審査でも評価されやすい取り組みです。
採択された婚活事業事例と成功のポイント
新事業進出補助金の第1回公募では、婚活関連の事業が複数採択されました。以下に採択事例を紹介します。
| 主たる業種 | 事業計画の概要 |
|---|---|
| 卸売業・小売業 | 既存事業者が新たに結婚相談所事業に参入し、地域で信頼される婚活サービスを提供して経営基盤の安定化を目指す。 |
| 学術研究、専門・技術サービス業 | 感情AIと物語UXを組み合わせた新恋愛体験型マッチングアプリを開発し、オンライン婚活に革新を起こす。 |
| 情報通信業 | 「コンパクトウエディング」に特化した隠れ家リゾートの運営。少人数婚礼やフォトウェディングなど新しい婚礼スタイルに対応した施設を提供。 |
| 生活関連サービス業・娯楽業 | 地域滞在型観光と連携した北山チャペル型家族婚モデルを創出。地域の自然や文化を活かした家族婚プランを提供する。 |
| 生活関連サービス業・娯楽業 | 婚姻数増加を目指す「家族になろうよ」プロポーズ支援事業。プロポーズ演出サービスや家族向けイベントを通じて婚活支援の裾野を広げる。 |
成功事例に共通するポイント
- 独自性と新規性:AI感情分析や物語体験、新たな婚礼様式など、従来の婚活サービスにはない新たな価値を提供している。これは新規性要件を満たすポイントです。
- 設備投資を伴う:マッチングアプリ開発に必要なシステム投資やチャペル建設など、機械装置・システム構築費や建物費を含む計画となっており、補助金の目的に合致しています。
- 地域との連携・社会課題への寄与:家族婚モデルや婚姻数増加事業など、地域活性化や少子化対策に寄与する要素を含んでおり、審査の加点要素となる傾向が伺えます。
申請時の注意点と不採択になりやすいケース
押さえるべき申請準備
- GビズIDと行動計画の取得:申請にはGビズIDプライムアカウントの取得と、「次世代育成支援対策推進法」に基づく一般事業主行動計画の策定・公表が必須です。早めの準備を心掛けましょう。
- 事業計画は自社で作成:外部支援者が代行することは認められず、発覚した場合は不採択・採択取消の対象となります。専門家の助言は活用しつつ、事業者自身がビジョンと数値計画をまとめることが重要です。
- 資産性のある投資を計上:イベント単発の支出や販促費中心の計画は対象外となりやすいので、建物費やシステム構築費など長期的な資産に重点を置きましょう。
- 適正な見積と法令遵守:他の補助金と同一の経費を含む事業は対象外です。建物費を計上する場合は建築業法等の資格要件を満たした業者から見積書を取得し、内容を適正に算出することが必要です。
不採択になりやすいケース
- 新規性や市場性が弱い – 既存の相談所に相談員を増やすだけなど、新規性が乏しい計画は評価されにくい。
- 設備投資が不十分 – 広告宣伝費中心の計画で、建物費やシステム構築費が含まれていない場合、支援対象外とみなされます。
- 費用の妥当性が不明確 – 見積もりが適正でなかったり、水増し請求が疑われる場合は不採択となります。
- 申請書類の不備 – GビズID未取得や行動計画未公表、書類の記載漏れなどは審査対象外となります。
- 外部委託に頼りすぎ – 事業の中核を丸ごと外注する計画は補助金の趣旨に反するとされ不採択・採択取消の対象です。
コマサポが提供する婚活事業の申請サポート
新事業進出補助金の申請は、制度の理解や事業計画の作成、証拠書類の準備など多くのステップがあります。
弊社(コマサポ)は、補助金や助成金に精通したコンサルタントが在籍し、顧客に合った公的施策のアドバイスを提供しています。
柔軟なヒアリングと提案
顧客の要望を深く理解するために丁寧なヒアリングを行い、事業者の状況に適した申請方針を提案します。婚活ビジネス特有の課題やマーケティング戦略などにも目を向け、具体的な改善策を助言します。
スムーズな申請プロセス
補助金申請が初めてでも安心できるよう、GビズID取得や事業計画書の書き方、見積書の整備など全プロセスをわかりやすく支援します。申請者自身が主体となれるようサポートするため、手続きの負担を大幅に軽減できます。
採択後のフォローアップ
補助金は採択がゴールではありません。
駒田会計事務所は、交付申請や実績報告、事業化状況報告といったアフターフォローまでトータルサポートしており、事業が計画通りに進んでいるかを確認しながら必要に応じて改善提案も行っています。
全国対応・無料相談
コマサポは東京都渋谷区にありますが、オンライン会議や電話を利用して全国の事業者をサポートしています。
初回相談は無料で、料金は個別見積りという柔軟な体系を採用しており、地方の婚活事業者でも安心して依頼できます。
補助事業の取組内容
それぞれの採択事例から、新事業進出補助金の事業計画の内容に沿って解説していきます。
① 新規性(製品・市場)
今回採択された婚活事業の多くは、従来の結婚相談所や披露宴ビジネスにない新規性を打ち出しています。
例えば、埼玉県の事業者は既存の卸売業からまったく異なる〈結婚相談所〉事業に参入し、地域の未婚者に新たな出会いの場を提供する計画です。
千葉県の事業者は感情AIと物語UXを融合したマッチングアプリを開発し、ユーザーの感情や好みをリアルタイムに分析してストーリー仕立てでお相手を提案するという、国内では珍しい取り組みを計画しています。
東京都の事業者はコンパクトウエディング専用の隠れ家リゾートを開発し、小規模かつ家族中心のウェディング需要に応えるなど、それぞれが製品面・市場面で「今までにない」価値を追求しています。
② 主な製品/サービスの内容
採択事例を見ると、婚活関連の製品やサービスはバリエーション豊かです。
AIを活用したマッチングアプリはユーザーの表情や文章から感情を読み取り、ストーリー仕立てでマッチングを行う新機能を搭載しています。
小規模ウェディングに特化した隠れ家リゾートでは、10~20名程度のゲストに絞った会場設計や宿泊施設を併設し、プライベート空間で家族婚を実現します。
滋賀県の案件では北山チャペル型の家族婚に観光滞在を組み合わせ、地域の宿泊業と連携して滞在型婚礼を展開。
福岡県のプロポーズ支援事業は「家族になろうよ」というブランド名で、プロポーズの演出や家族向けイベントをセットにし、婚約から新婚生活までをトータルサポートします。
これらの製品やサービスは機械装置・システム構築費や建物費を伴うため、新事業進出補助金の支援対象となります。
③ 市場(顧客層)
婚活市場は少子化や晩婚化の影響を受けつつも、需要が高まり続けています。
リクルートブライダル総研の調査によると、2022年の婚姻者のうち婚活サービスを利用していた人は32.7%、その婚活サービス利用者のうち婚活サービスを通じて結婚した人は47.0%にのぼりました。特にネット系婚活サービスの利用率は年々増加し、2021年には21.8%に達しています。(婚活実態調査2023 ブライダル総研)
株式会社タップルの調査によれば、マッチングアプリの国内市場規模は2021年に768億円、2026年には1,657億円に拡大すると予想され、20代で42.7%、30代で35.0%、40代で32.7%の人が過去3年以内にマッチングアプリを利用し始めたと報告されています。(マッチングアプリの動向整理 三菱UFJリサーチ&コンサルティング)
こうしたデータは、婚活ビジネスのターゲットが20~40代の男女であり、オンライン志向が強まっていることを示しています。
⑤ 実施体制・事業実施場所
婚活ビジネスは対面相談やイベント運営、システム開発など多岐にわたるため、専門スタッフの配置や地域との連携が欠かせません。
採択事例では、既存事業で培った人材やネットワークを活かして新規事業チームを組成し、システム開発にはIT企業や外部専門家を活用するなど、適切な実施体制が整えられていました。
実施場所も重要で、コンパクトウエディングの案件では都心からアクセスしやすい港区にリゾートを設け、北山チャペル型家族婚では地元・滋賀県高島市の観光資源を活かした施設を整備しています。地域の特性を踏まえた場所選びも成功のカギです。
現状分析と新規事業の必要性
SWOT分析や新規事業の必要性という観点から婚活事業について解説していきます。
SWOT分析
強み(Strength):AIや物語UXを取り入れたサービス、少人数婚に特化した施設など独自性が高く、他社との差別化が図りやすい。既存の業務で培った顧客基盤や物流・運営ノウハウを新事業に活用できる点も強みです。こういった自社特有の強みを事業計画で打ち出すことが重要です。
弱み(Weakness):新市場での実績が乏しく、顧客獲得に時間がかかる可能性があるほか、大型設備投資が必要なため資金繰りリスクが高い。というのが主な弱みになりえます。
機会(Opportunity):マッチングアプリ市場の拡大や少人数婚の需要増など、市場自体は成長期にあり、自治体や国による少子化対策の追い風も期待できます。
脅威(Threat):大手結婚相談所やマッチングアプリ企業の参入、AI技術の急速な進化による競争激化、個人情報漏えいなどの社会的リスクが存在します。
新規事業の必要性
婚活業界では、オンライン系サービスや体験型イベントへのニーズが高まっています。
少子化や晩婚化、テクノロジーの進展によって価値観が多様化している中、新しいアプローチを導入しなければ競争力を維持できません。
新事業進出補助金を活用することで、AIシステムの開発や施設の建設など大きな初期投資を実現でき、将来性のある市場へスピーディに参入することが可能になります。
新市場性と高付加価値性
例えばAIマッチングアプリやストーリーUXなどは、まだ社会に広く浸透していない新市場であり、利用者に新しい価値体験を提供します。
また、コンパクトウエディング専用施設や滞在型家族婚モデルは、既存の挙式市場の中でも高単価のサービスを提供できる高付加価値なビジネスです。
こうした特徴は新事業進出補助金の評価項目である「新市場性または高付加価値性」に合致します。
新規事業の有望度
将来性・参入可能性
婚活サービスの利用率が拡大し、マッチングアプリ市場が2026年には1,657億円に達すると予測されていることからも分かるように、婚活ビジネスは今後も成長余地があります。
特に20~40代のユーザーはオンライン婚活サービスの利用が増加しており、AIやUXの工夫による差別化が有効です。
補助金による設備投資が実現すれば、先行者として市場で優位に立てるでしょう。
参入障壁とその対応策
婚活ビジネスの参入障壁としては、顧客獲得のためのブランド力や信頼構築、個人情報保護への対応、専門スタッフの確保などが挙げられます。
特にAIマッチングなどシステム開発には技術投資とノウハウが必要です。採択事例では、IT企業との連携や地域企業とのコラボレーションを行い、技術面とサービス面の両方を強化しています。
コマサポでは、こうした課題を踏まえた資金計画や申請書作成のサポートを提供し、参入障壁を克服するための戦略策定を支援します。
まとめ
今回は婚活事業に焦点を当て、新事業進出補助金の概要や活用方法、事例、申請時の注意点についてまとめてきました。ポイントは下記の通り。
- 婚活事業も対象:新事業進出補助金は婚活サービスの開発や婚礼施設建設など、既存事業と異なる新市場への挑戦を支援する制度で、従業員規模に応じて750万〜7,000万円(特例で最大9,000万円)が補助される。
- 設備投資と新規性が鍵:AIマッチングシステムやチャペル建設など、機械装置・建物費を含む投資と新規性の高いサービスが成功のポイント。
- 準備は早めに:GビズID取得や一般事業主行動計画の公表、適正見積もりの準備などを早期に進め、申請者自身が計画を作成する必要がある。
- 不採択のリスク要因を避ける:新規性が乏しい計画や広告費中心の投資、不適切な見積もり、外部丸投げの事業計画は不採択になりやすい。
- 専門家サポートを活用:駒田会計事務所は補助金申請に精通した専門家が在籍し、柔軟なヒアリングとスムーズな申請手続き、採択後のフォローまで支援。初回無料相談で全国対応なので、安心して相談可能です
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