漁業を営む方々にとって、「新事業進出補助金が利用可能なのか」は気になるポイントではないでしょうか?
結論として、新事業進出補助金は漁業にも利用可能の可能性が高いですが、特定の条件や制約が存在します。
この記事では、新事業進出補助金を漁業で活用する際の注意点やおすすめの取り組みについて詳しく解説します。
新事業進出補助金とは?漁業も補助対象の可能性が高い
新事業進出補助金はポスト事業再構築補助金として2025年最も注目されている補助金の一つです。
既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とした補助金となっています。
まだ細かい情報などは出ていないものの、予算が1,500億円とものづくり補助金を超える規模での予算が組まれています。
新規事業を考えている方はぜひ検討しておきたい補助金であるといえるでしょう。
補助率は1/2で補助上限金額は下記の通り。
- 従業員数20人以下:750万円以上2500万円以下(大幅賃上げ特例適用事業者の場合は3000万円以下)
- 従業員数21~50人:750万円以上4000万円以下(大幅賃上げ特例適用事業者の場合は5000万円以下)
- 従業員数51~100人:750万円以上5500万円以下(大幅賃上げ特例適用事業者の場合は7000万円以下)
- 従業員数101人以上:750万円以上7000万円以下(大幅賃上げ特例適用事業者の場合は9000万円以下)
新事業進出補助金については下記のとおり、中小企業関連の官公庁から資料が公開されています。

(中小企業新事業進出促進事業 独立行政法人 中小企業基盤整備機構)
また公募要領案として「「中小企業新事業進出促進事業」に係る事務局の公募要領(案)」が公開されていますので、必ず確認しておきたいところです。
漁業で新事業進出補助金を活用する際の制約とポイント
新事業進出補助金は漁業にも適用されると予想されますが、注意すべきポイントがいくつかあります。具体的には以下のような制約があると考えられます。
- 単純な生産基盤の拡大は補助対象外
- 他業種が漁業に新規参入することは不可
- 2次・3次産業への進出は補助対象となる
それぞれを詳しく見ていきましょう。
1. 単純な生産基盤の拡大は補助対象外
新事業進出補助金は、漁業の単純な生産基盤の拡大には利用できない可能性が高いでしょう。
新事業進出補助金のような商業系の補助金では生産基盤の拡大に農業は利用できないと明記されているのが一般的であるためです。
例えば、事業再構築補助金のよくある質問のは中で下記の通り、明確に否定されていました。
Q:事業再構築によって新たに取り組む事業に農業が含まれていても良いか。
A:事業再構築として、農業関連事業に取り組む場合は、農作物の加工や農作物を用いた料
理の提供など、2次又は3次産業分野の事業である必要があります。
※農業を行う事業者が単に別の作物を作る場合や、上記のような2次又は3次産業に取り
組む場合であっても、加工や料理提供の材料である農作物の生産自体は対象外となりま
す。
また、公募要領の中に下記の通り記載があります。
・以下に該当する事業計画である場合には、不採択又は交付取消となります。
⑤ 農業を行う事業者が単に別の作物を作るような事業
※農業関連事業に取り組む事業者は、農作物の加工や農作物を用いた料理の提供など、2 次又は 3 次産業分野の事業計画である場合は、支援対象となります。2 次又は 3 次産業に取り組む場合であっても、加工や料理提供の材料である農作物の生産自体は、補助対象外となります。
例えば、「漁船の増設」や「網の新調」など、単に漁獲量を増やすことを目的とする取り組みは補助対象から除外されます。
つまり、漁業者が補助金を活用する場合は、加工や販売、観光といった新たな価値を生み出す事業である必要があります。
2. 他業種が漁業に新規参入することは不可
また、新事業進出補助金では、他業種が漁業に参入することは認められていません。
例えば、飲食店や食品加工会社が新規事業として漁業を始める場合、補助対象外となります。これは、漁業という産業が保護されているためです。
漁業者の既存事業を守りつつ、新しい産業への進出を支援するという補助金の目的に沿ったルールといえます。
3. 2次・3次産業への進出は補助対象に
漁業者が新事業進出補助金を活用する場合、2次・3次産業への進出は補助対象となります。これにより、1次産業から6次産業化への道が開かれ、漁業者の新たな挑戦を後押しします。
例えば、水産物を使った加工食品の製造や観光業との連携による体験型ビジネスなどが具体例として挙げられます。
漁業者におすすめの新規事業モデル3選
ここでは、新事業進出補助金を活用しやすい漁業者向けのビジネスモデルを3つ紹介します。
1. 農林漁家民宿の運営
農林漁家民宿は、農林漁業者が運営する宿泊施設です。
地域の特色を生かした体験型宿泊サービスを提供することで、観光資源を最大限に活用できます。
- 主な補助対象経費: 建物の新築費やリフォーム費
- メリット: 通常より低リスクで開業可能
- 需要: ポストコロナ時代の観光需要増加が期待
地域に観光地がある場合や、独自の特色をアピールできる方に最適です。
2. 漁師レストランの開業
漁師レストランは、自ら獲った魚介類を提供する飲食店です。消費者に近い位置で漁業を展開したい方におすすめのモデルです。
- 主な補助対象経費: 建物費、厨房設備、改修費
- メリット: 通販や加工食品の販売など、事業の多角化が可能
- 強み: 地産地消の流れに合致したビジネスモデル
地域の漁業者と協力して、より広いネットワークで事業を展開することも可能です。
3. 漁業×観光業の融合
観光業との連携で、地域資源を活用した新たな取り組みを行うこともおすすめです。
- 具体例:
- 漁業体験ツアーの開催
- 地域資源をテーマにしたイベントの運営
- 漁師や海女の生活を紹介するストーリーツーリズム
漁村や海の景観を観光資源として活用できる地域では特に効果的なビジネスモデルです。
まとめ
新事業進出補助金を漁業で活用するためのポイントを整理すると、以下の通りです。
- 単純な漁獲量の増加目的は対象外
- 2次・3次産業への進出は対象となる
- おすすめビジネスモデルは農林漁家民宿、漁師レストラン、観光業の融合
弊社では、今後公募が開始される予定である「新事業進出補補助金」「中小企業成長加速化補助金」についてもご相談をお受けしております。
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