新事業進出補助金は、中小企業の新規市場や高付加価値事業への挑戦を支援する制度です。
2025年最も注目されている補助金で、ポスト事業再構築補助金ともいわれています。
新事業進出補助金の特徴は、既存事業と異なる市場での新規参入を促すことで、中小企業の成長を加速させることを目的としています。
そこで新規事業にグランピングを考えている事業者にとって、新事業進出補助金は対象になるのかという点は気になるところですよね。
今回はグランピングが新事業進出補助金の補助対象となるのかを検証していきます。
グランピングは新事業進出補助金の対象となる可能性が高い
結論から申し上げますとグランピングは新事業進出補助金の対象となる可能性が高いです。
理由は下記の2点です。
- 市場が拡大傾向にある
- 事業再構築補助金でも採択多数だった
具体的に解説していきます。
市場拡大性
グランピングは、従来のキャンプの枠を超えたラグジュアリーな宿泊体験を提供する事業であり、観光業界の中でも特に成長が期待されています。
観光庁の「旅行・観光消費動向調査」などからも、インバウンド需要の増加に伴い、国内外での市場拡大が予想されています。
事業再構築補助金での成功事例
グランピングは事業再構築補助金で数多くの採択事例があります。
これにより、グランピングが地域活性化や新市場創出に寄与する事業であることが実証されています。
新事業進出補助金も類似の目的を持つことから、グランピング事業が補助対象となる可能性が高いと言えるでしょう。
グランピングの市場動向と補助金対象の理由
グランピングとは?
グランピングとは従来とは異なる魅力的なキャンプのことをいいます。
英語の「Glamorous(グラマラス)」と「Camping(キャンピング)」を合わせた造語で、2015年ごろから注目されてきました。
キャンプ場との違いは設備です。
キャンプ場では自らテントや食材、寝袋などを持ち込むのが主流ですが、グランピングではテントやコテージ、シャワールーム、トイレなど生活に必要な設備が完備されています。
ですので、グランピングは気軽に屋外での宿泊を楽しめるイベントとして注目が高まっています。
インバウンド需要と宿泊施設の不足
訪日外国人観光客数はコロナ禍を経て急速に回復し、2024年には過去最高水準に達することが予想されています。
日本政府観光局によると2024年11月推計値(2024年12月18日発表)(PDF)では11 月の訪⽇外客数は、3,187,000 人で、前年同月⽐では 30.6%増、2019 年同月⽐では30.5%増と、同月として過去最高を記録した。また、11 月までの累計は 33,379,900 人となり、これまでの過去最高でした。
インバウンドが過去最大だった2019 年の年間累計を上回り、過去最多となりました。
しかし、ホテルや旅館などの宿泊施設は供給不足の状態が続いています。
そのため、グランピングは宿泊施設の不足を補う重要な手段として注目されています。
地域資源を活用した新規事業の可能性
グランピングは、自然環境や地域資源を最大限に活用できるビジネスモデルです。
例えば、遊休地や既存の施設を活用して、アウトドア体験や地域の特産品を組み合わせることで、地域振興にもつながります。
石破内閣では地域創生を一つの大きな目標として掲げており、『地方の未来を創り、地方を守る』、『地方こそ成長の主役』といった内容の発言をしています。
このような考え方は補助金の採択率にも影響してくる可能性が高く、地域経済にプラスの影響を与えるグランピング事業についても採択されやすくなる可能性が高いといえるでしょう。
グランピング事業の課題
グランピング事業は魅力的な事業である一方課題も多数あります。
具体的に解説していきます。
収益の限界
- 現状:
- 施設の売上規模が小さく、多くの施設では年間1~1.5億円程度にとどまる。
- 敷地が広く必要であるため、多数の宿泊区画を確保できない。
- 宿泊単価(1泊1~3万円/人)の競争性が高く、リゾートホテルなどの代替施設とも価格競争が発生。
- 影響:
- 宿泊収益だけでは十分な利益を確保できない。
- 高価格帯の設定が困難で、施設運営の採算が厳しい。
2. 季節性と平日の稼働率低迷
- 現状:
- 夏場(ハイシーズン)は60~70%と高い稼働率を記録する一方、冬場(オフシーズン)には10~20%に低下。
- 平日は給与所得者が勤務しているため稼働率が低く推移しがち。
- 影響:
- 季節的・曜日的な需要変動が収益の安定を阻む。
3. 資金調達の困難
- 現状:
- ドームテントやキャビン型施設は「建物」として登記できない場合があり、抵当権の設定が難しい。
- 耐用年数が短く、金融機関からの融資が受けにくい。
- 影響:
- 設備投資や改修の資金調達が制約され、新規参入や施設改善が難しくなる。
4. 知名度不足
- 現状:
- グランピングの認知度は一部で高まっているが、未だ多くの人にとって未知の宿泊形態。
- 旅行者の中には利用に対して心理的なハードルを感じる層も存在。
- 影響:
- 潜在的な顧客層の掘り起こしが十分に進んでおらず、需要拡大の妨げとなる。
グランピング事業の課題の解決方法
上記の課題に対して、具体的な解決策を以下のように考えることができます。
1. 収益向上策
- 宿泊以外の収益源確保:
- 地元特産品を活かした食事体験や調理ワークショップ、アクティビティ(カヌー、サイクリングなど)を充実させる。
- 温泉やサウナの付加価値サービスを提供し、宿泊単価を上げる。
- ターゲット拡大:
- 富裕層向けのラグジュアリー施設や、家族・団体向けのリーズナブルな施設の開発。
- ワーケーション需要を狙った長期滞在プランの設定。
2. 季節性・平日需要の克服
- オフシーズンの魅力発信:
- 冬場には薪ストーブ体験や星空観察など、季節限定の魅力を打ち出す。
- オフシーズン割引や、地域の祭り・イベントと連携したプランを展開。
- 平日の稼働率向上:
- リモートワーク利用者をターゲットに、平日限定のワーケーションプランを提供。
- 平日限定の特別料金やプレミアムサービス(バーベキュー無料など)を導入。
3. 資金調達の円滑化
- 金融機関との連携強化:
- 耐用年数に応じた融資制度の開発を行政や金融機関に働きかける。
- 「簡易宿所」特化型のファイナンスモデル(短期融資、資金サポート)を構築。
4. 知名度向上と集客強化
- SNSやデジタルマーケティングの活用:
- InstagramやTikTokを通じて、フォトジェニックな施設の魅力を発信。
- キャンペーンや口コミサイトを活用し、利用者の声を広める。
- インバウンド需要の取り込み:
- 多言語対応や外国人向けプランを用意し、訪日旅行者をターゲットに。
- 旅行代理店やOTA(オンライン旅行会社)と連携して海外からの集客を強化。
まとめ
新事業進出補助金は、グランピング事業を開始する企業にとって有力な資金調達手段となる可能性があります。
以下がポイントです:
- グランピングは市場拡大が期待される新規事業であり、新事業進出補助金の対象となる可能性が高い。
- 地域資源を活用することで地域振興に寄与し、補助金の採択率向上にもつながる。
- 課題として収益性の限界や季節性、資金調達の困難があるが、付加価値サービスやターゲット拡大で克服可能。
- SNSやインバウンド需要への対応などで知名度を向上させることが集客強化の鍵となる。
- 事業計画の精緻化と行政・専門家との連携が、補助金申請成功の重要な要素となる。
弊社では、今後公募が開始される予定である「新事業進出補補助金」「中小企業成長加速化補助金」についてもご相談をお受けしております。
弊社はこれまで、ものづくり補助金をはじめとして事業再構築補助金、中小企業省力化投資補助金のサポートも行っており、多数の採択実績があります。また、交付申請や事業化状況報告等の補助金申請後のご相談やサポートも承っております。お困りごとがございましたらお気軽にご連絡下さい。
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