近年、デリバリー需要の高まりや、非接触・省スペース営業へのニーズにより、注目を集めているビジネスモデルが「ゴーストキッチン」です。
実店舗を持たず、オンライン注文と宅配を前提としたこのスタイルは、初期投資を抑えながら飲食事業をスタートできる点で人気を集めています。
そんなゴーストキッチン事業をこれから始めたい方、あるいは拡大したい方にとって朗報なのが、2025年4月に公募開始予定の「新事業進出補助金」です。
本記事では、
ゴーストキッチンが補助金の対象になるのか?
どんな条件を満たせば採択されやすいのか?
実際の採択事例に基づく成功のポイント
をわかりやすく解説します。
Contents
新事業進出補助金とは?|制度の概要
新事業進出補助金(正式名称:中小企業新事業進出促進事業)は、既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とした補助金となっています。
公募開始は2025年4月からとなっており、注目されている補助金です。
補助率は1/2で、補助額は最大9,000万円となっています。
補助額 | ||
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従業員数 | 補助金額 | 大幅賃上げ特例適応時 |
21人以下 | 750万円以上2,500万円以下 | 3,000万円 |
21~50人 | 750万円以上4,000万円以下 | 5,000万円 |
51~100人 | 750万円以上5,500万円以下 | 7,000万円 |
101人以上 | 750万円以上7,000万円以下 | 9,000万円 |
補助対象経費 |
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建物費、構築物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費 |
補助率・補助額が高く補助対象経費も幅広いです。
採択率は低めに予想されている難易度が高い補助金となりますが、チャレンジする価値は十分にあるでしょう。
ゴーストキッチンは新事業進出補助金の対象になる可能性が高い
ゴーストキッチン事業は、飲食業の新しい形態として、新市場への挑戦や高付加価値化が明確であれば、新事業進出補助金の対象になり得ます。
特に以下のような取り組みは、補助対象となる可能性が高いです。
既存の物販・小売業から飲食業への異業種転換
店舗型飲食からクラウドキッチンへの事業再設計
地元食材や地域ブランドを活用したテイクアウト専用メニュー開発
フードデリバリー専用アプリや注文システムの導入
複数ブランドを統合したゴーストキッチンの立ち上げ
ゴーストキッチンは既存事業とのシナジー効果も得やすく、またローコストでチャレンジしやすい事業です。
新事業としては適した業態の一つと言えるでしょう。
ゴーストキッチンと親和性の高い補助対象経費とは?
新事業進出補助金では、以下のような経費が対象になる可能性が高いです。
ゴーストキッチン事業とも非常に親和性が高いのが特徴です。
経費区分 | 対象内容(例) |
---|---|
建物費 | キッチン設備を備えた施設の新設・改装費 |
設備費 | 業務用厨房機器、冷蔵庫、無煙ロースターなど |
IT関連費 | POSシステム、注文管理アプリ、スマホ連動決済システム |
広告宣伝費 | Webサイト制作、SNS広告、フードデリバリーPR |
外注費 | メニュー開発、アプリ開発、業務マニュアル作成など |
つまり、「非店舗型」であっても、初期投資に必要な設備・サービス導入費用が多く補助対象となるため、補助金活用のメリットは非常に大きいです。
特に建物費は新事業進出補助金の大きなメリットの一つです。
他の補助金の場合は金額が大きくなりやすいため、補助対象外経費となることも少なくありません。
しかしながら、新事業進出補助金であれば建物費も補助対象となるため、費用を最小限に抑えることができます。
採択されるために押さえておくべき3つのポイント
① 単なる飲食店の代替ではなく「新市場への挑戦」であること
新事業進出補助金は「既存の飲食業の業態変更です」とだけでは弱いです。以下のような要素を盛り込むと、新規性が際立ちます。
デリバリー特化型の多ブランド展開
ヘルシー・ヴィーガン・アレルゲン対応といった専門特化
自社アプリ・予約連動のIT戦略
観光需要・外国人対応など地域課題との連携
② 持続可能な収益モデルであること
採択されやすいゴーストキッチンの特徴として、以下が挙げられます:
サブスクリプション型のミールキット販売
自社ブランドの複数展開(同一設備を活用)
オンライン注文+EC販売のハイブリッド型
③ 地域経済・社会課題との親和性
地域の生産者との連携、フードロス削減、障がい者雇用などの要素が加わると、「社会的意義」が加点要素となり、採択可能性が高まります。
採択事例で見るゴーストキッチンの活用パターン
事例①:多品種有機野菜によるゴーストキッチン×フードデリバリー戦略
有機野菜を用いたメニューを調理し、ゴーストキッチンとフードデリバリーで展開。地元農家と連携した地域循環型ビジネスとして採択。
ポイント:地域農業との連携+デリバリー専門業態の新設
補助対象経費:厨房機器、広告宣伝費、デリバリー管理システム導入費 など
事例②:ゴーストレストラン向け冷凍海鮮丼ネタの製造販売(瀬戸内海直送)
ハモや海鮮の加工品を冷凍・真空包装し、ゴーストレストランへ卸すモデル。
ポイント:飲食業から食品製造業への業種転換型事業
補助対象経費:冷凍機器、真空包装機、物流管理システム など
事例③:クラウドキッチンレンタル事業の立ち上げ
地域の創業希望者・小規模飲食店に向けて、テイクアウト専用のレンタルキッチンを提供。
ポイント:既存の不動産・飲食リソースを活用した新ビジネス
補助対象経費:厨房設備、テイクアウト包装機材、外注費(設計・施工)など
事例④:カフェ+塾の異業種コラボによるハイブリッド型店舗
昼はキッチンカフェ、夜は学習塾。空き時間と空間を活用する事業構造。
ポイント:一つの施設で複数事業を展開する柔軟性と効率性
補助対象経費:内装費、時間帯別POS導入、宣伝費など
新事業進出補助金申請の注意点
ゴーストキッチンで新事業進出補助金に申請する場合は下記の点に注意する必要があります。
単なる施設改装ではなく、事業の“新規性”を明確に:内装リフォームだけでは採択されません。
UberEats等への依存だけでは弱い:自社開発や地域連携の視点が必要。
「事業の継続性」が問われる:補助金に頼りきらない持続可能なモデルを示すことが重要です。
- 新しい顧客へサービスを展開する必要あり:例えば居酒屋A→居酒屋Bのように同じ業種で申請した場合は補助対象外となる可能性が高い
まとめ
今回はゴーストキッチンでは新事業進出補助金がおすすめであるという点について解説してきました。
ポイントは下記の通り。
ゴーストキッチンは、新事業進出補助金の対象となり得る高いポテンシャルを持った事業モデルです。
新市場への進出性、高付加価値性、収益性、地域貢献性をバランスよく事業計画に盛り込むことで、採択の可能性は大いに高まります。
ただし、補助金の申請には、緻密な事業計画と経費根拠の整理が求められるため、専門家のサポートを受けることが成功のカギです。
弊社では、今後公募が開始される予定である「新事業進出補助金」「中小企業成長加速化補助金」についてもご相談をお受けしております。
弊社はこれまで、ものづくり補助金をはじめとして事業再構築補助金、中小企業省力化投資補助金のサポートも行っており、多数の採択実績があります。また、交付申請や事業化状況報告等の補助金申請後のご相談やサポートも承っております。お困りごとがございましたらお気軽にご連絡下さい。
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