2025年4月からスタートした「新事業進出補助金」。
これは、中小企業や小規模事業者が新たな市場へ進出したり、高付加価値な事業に挑戦するための設備投資等を補助する制度です。
ただ、補助金申請にはさまざまな要件が設けられており、その中でも意外と見落とされがちなのが「金融機関要件」です。
この記事では、新事業進出補助金を申請するにあたって必ず押さえておきたい金融機関要件について、わかりやすく・詳しく解説していきます。
「金融機関から借り入れる予定があるけど、どうすればいいの?」
「自己資金だけなら関係ないの?」
こういった疑問にお答えしながら、申請成功に向けた具体的なポイントもお伝えします!
Contents
金融機関要件とは?
金融機関要件とは下記の要件ことをいいます。
- 金融機関から資金提供を受ける場合は、必ず資金提供元の金融機関による事業計画の確認が必要
- 確認の証明をうけるために「金融機関による確認書」を提出しなければなりません。
- 自己資金のみで事業を実施する場合は、確認書の提出は不要。
事業再構築補助金では認定支援機関と共同で事業計画を策定しなければならないという要件がありました。
そのため、金融機関を認定支援機関として利用している方も多い傾向にありましたが、新事業進出補助金では資金提供を受ける場合のみ金融機関の確認書が必要となっています。
では、ここからもう少し詳しく見ていきましょう。
金融機関要件の正式ルールをわかりやすく解説
新事業進出補助金の公式資料によると、金融機関要件は以下の通りです。
資金提供元の金融機関等から「事業計画の確認」を受ける
「金融機関による確認書」を提出する
自己資金だけの場合は提出不要
資金提供を受ける金融機関は、所在地が事業所と異なっていてもOK
複数の金融機関から借りる場合でも、1社の確認書で要件を満たす
具体的には下記の通り。
要件
補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融
機関等から事業計画の確認を受けていること詳細
金融機関等から資金提供を受けて補助事業を実施する場合は、資金提供元の金融機関等による事業計画の確認を受ける必要があります。必ず、「金融機関による確認書」を提出してください。金融機関等からの資金提供を受けずに自己資金のみで補助事業を実施する
場合は提出は不要です。
※ 金融機関等は、事業所の所在地域にある必要はございませんので、任意の機関を選定してください。
※ 複数の金融機関等から資金提供を受けて補助事業を実施する場合は、資金提供元の金融機関等のうち、任意の1者からの「金融機関による確認書」で要件を満たすこととします。
つまり、
「自己資金オンリーの人」→ 気にしなくてOK
「融資を受ける人」→ 必ず確認書が必要
これだけは間違えないようにしましょう。
金融機関要件が求められる背景とは?
では、なぜこのような金融機関要件が設けられているのでしょうか?
それは、
国費(税金)を使った補助金である以上、資金繰りに問題のない事業者を選別したい
融資を通じて第三者の目で事業計画の妥当性をチェックしたい
事業実施の確実性を高め、失敗リスクを減らしたい
こういった目的があるからです。
要するに、補助金側も
「きちんと資金を確保して、現実的な事業計画が立てられる人に支援したい」 というスタンスで審査を行うわけです。
金融機関が第三者チェック機能を担うことで、補助金の適正利用がより保証される仕組みになっているのですね。
また、事業再構築補助金では採択されたにも関わらず、融資を受けられなかったため、補助事業が出来なかった。
というケースもちらほら見受けられました。
金融機関確認書はこういった不測の事態を避けるという側面もあるかもしれません。
金融機関による確認書とは?取得方法を解説
ここで気になるのが、「金融機関による確認書って何?」という点ですよね。
金融機関による確認書とは?
これは、融資を行う金融機関が
この事業計画は妥当である
事業者に融資する用意がある ということを公式に認める文書
フォーマットは補助金事務局から提供されていることが多く、それに金融機関側が記載・押印する形になります。
取得の流れ
一般的な流れは次の通りです。
金融機関に相談
事業計画書を提出
金融機関による審査・確認
確認書の発行
申請時に添付提出
ここで注意点は、金融機関の審査には時間がかかる可能性があることです。
申請締切ギリギリに依頼しても間に合わないことがあるので、できるだけ早めに動きましょう。
金融機関はどこを選べばいい?自由に選べる?
金融機関については、「事業所の所在地と同じ地域にある必要はない」と明記されています。
つまり、全国どこの金融機関でもOKです。
選択肢は広く、
地元の信用金庫
都市銀行
地方銀行
政策金融公庫
信用組合 など、自由に選ぶことができます。
ただし、現実的には、
すでに取引実績がある
対応が早い
事業内容を理解してくれる 金融機関を選ぶ方がスムーズです。
特に新規融資が絡む場合、実績ゼロの金融機関よりも、既存の取引先に相談するほうがスピード感が違います。
投資専門会社と関係のある金融機関は対象外
投資専門会社の株式を保有している金融機関は、「金融機関による確認書」を作成することができません。
このような金融機関は、客観性や第三者性に疑義があると見なされる可能性があるからです。
つまり、出資関係がある = 利害関係者であり、審査の公平性が担保できない という理由から、対象外とされているということです。
どのような機関がNGになる可能性がある?
たとえば以下のような金融機関には注意しましょう。
ベンチャーキャピタル系の銀行で、出資先と関係があるところ
投資ファンド系の金融グループの一部
グループ会社に投資会社を持っている金融機関
確認書の発行を依頼する前に、「その金融機関が対象事業者の出資者でないか」を必ず確認しておきましょう。
注意点:複数の金融機関から資金調達する場合
複数の金融機関から資金を受けるケースもありますよね。
その場合、すべての金融機関から確認書をもらう必要はありません。
どこか1社から取得すればOKです。
例えば、
地銀から1,000万円
信金から500万円
借りる場合でも、地銀か信金どちらか1社の確認書だけ提出すれば足ります。
連携体での申請時はどうなる?各社ごとの確認が必要!
新事業進出補助金では、複数の事業者が連携して申請する「連携体形式」も認められています。
この場合、金融機関要件において特別なルールがありますので、注意が必要です。
金融機関から資金提供を受ける事業者が連携体に含まれる場合
連携体の中で、補助事業を実施するために金融機関等から資金提供を受ける事業者がいる場合、
その事業者ごとに、「金融機関による確認書」が必要です。
つまり、連携体のうち
A社:自己資金のみ → 確認書不要
B社:金融機関から融資あり → 確認書提出が必要
C社:金融機関から融資あり → 確認書提出が必要
というケースでは、B社とC社はそれぞれ個別に金融機関から確認を受け、「確認書」を提出しなければなりません。
なぜ各社ごとの確認が必要なのか?
これは、連携体全体で事業計画を策定するとはいえ、
実際の資金使途や実施体制は各事業者ごとに異なる
各社の資金繰り状況や融資の妥当性も異なる
という前提があるからです。
そのため、金融機関も「各社の事業実施が可能かどうか」を個別にチェックする必要があるのです。
まとめ:金融機関要件は早めの対応がカギ!
新事業進出補助金を目指すなら、金融機関要件を正しく理解しておくことが非常に重要です。
この記事でお伝えしたポイントをまとめます。
融資を受ける場合は「金融機関による確認書」が必要
自己資金だけなら提出不要
金融機関の所在地は問わない
複数借入れでも1社の確認書でOK
金融機関への相談・審査は時間がかかるので早めに動く
駒田会計事務所では、申請書作成から事業化報告まで、補助金活用の「最初から最後まで」を一貫してサポートいたします。
「自社が対象になるか不安」「採択の可能性を高めたい」など、気になる点があればぜひお気軽にご相談ください。
こちらから
実績のある認定支援機関が無料相談に対応します
再申請・アフターサポートも万全です