新事業進出補助金の申請を進める中で、「賃上げ計画表明書」の存在を初めて知ったという方も多いのではないでしょうか?
これは単なる添付書類ではなく、補助金の交付と返還の可否にも関わる極めて重要な要件です。
記載内容の不備や、後の目標未達により、補助金の全額・一部返還が求められるケースもあります。
本記事では、中小企業経営者の皆様が安心して、新事業進出補助金に申請できるように、
賃上げ計画表明書の役割と正しい書き方
賃上げ要件の具体的基準
返還リスクの発生条件
申請成功に導く駒田会計事務所のサポート体制
をわかりやすく解説します。
✅ 賃上げ計画表明書の制度上の位置づけ
✅ 表明書の書き方と、やってはいけないNG例
✅ 賃上げ要件の具体的な数値と返還リスク
✅ 表明書作成・賃上げ戦略で失敗しないための注意点
✅ 駒田会計事務所による申請支援の内容と相談方法
Contents
賃上げ計画表明書とは?補助金申請での重要書類
新事業進出補助金では賃上げが必須要件
新事業進出補助金では賃上げ要件が必須要件として設定されており、下記の通り賃上げが必須とされています。
要件
補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、以下のいずれかの水準以上の賃上げを行うこと
(1)補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、一人当たり給与支給総額の年平均成長率を、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間(令和元年度を基準とし、令和2年度~令和6年度の5年間をいう。)の年平均成長率(以下 「一人当たり給与支給総額基準値」という。)以上増加させること
(2)補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、給与支給総額の年平均成長率を2.5%(以下 「給与支給総額基準値」という。)以上増加させること
詳細については下記の通り。
詳細
申請者自身で、一人当たり給与支給総額基準値以上の目標値(以下「一人当たり給与支給総額目標値」という。)及び給与支給総額基準値以上の目標値(以下「給与支給総額目標値」という。)をそれぞれ設定し、応募申請時までに全ての従業員又は従業員代表者(以下「従業員等」という。)に対して表明することが必要です。基準値より高い目標値を設定した場合、その高さの度合い及び実現可能性に応じて審査で評価されます。詳細は「10.審査項目」をご確認ください。
そのうえで、補助事業実施期間の終了時点が含まれる事業年度の一人当たり給与支給総額及び給与支給総額を基準として、事業計画期間最終年度において当該一人当たり給与支給総額目標値又は給与支給総額目標値のいずれかを達成することが必要です。
要件の達成状況の確認のため、事業化状況報告時に、決算書・賃金台帳等の提出を求めます
賃上げを従業員に対して表明するときに必要な書類が賃上げ計画表明書となります。
賃上げ要件については「新事業進出補助金の賃上げ要件を解説!未達成なら補助金返還の可能性も?」の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
補助事業後の“従業員還元”を宣言する書類
賃上げ計画表明書は、補助事業が完了した後の3〜5年間において、従業員の給与を一定以上引き上げる意思を社内に示したことを、文書で明記するものです。
提出は必須であり、未提出・不備があれば審査対象外となる場合もあります。

指定様式での提出が義務:自社フォーマットは不可
Q:表明書は自社の様式でも問題ないか?
→ 答え:NGです。公式サイトに掲載されている専用フォーマットを使用してください。
補助金の公式サイトからダウンロード可能な指定フォーマットを使用し、すべての項目に正しく記入する必要があります。
全項目の記入が必要:一部のみ記入は不備扱い
Q:賃上げ項目は変更してもよいか?
→ 答え:変更・削除は不可。全項目を記入してください。
とくに以下の2つの指標は両方の記入が義務です。
一人当たり給与支給総額目標値(年平均成長率)
給与支給総額目標値(年平均成長率)
賃上げ要件の具体的基準:どちらか達成が必須
新事業進出補助金では、以下いずれかの要件を補助事業終了後の3〜5年間で達成することが求められます。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ① 一人当たり給与支給総額基準値 | 該当都道府県の最低賃金の過去5年の年平均成長率以上の賃上げ |
| ② 給与支給総額基準値 | 全国共通基準で年平均成長率2.5%以上の賃上げ |
いずれかを達成できれば要件クリアとなりますが、申請時点では両方の目標値を設定し、従業員に表明する義務があります。
賃上げ目標の設計方法:現実的な成長率で構築
高すぎる目標は逆にリスク!実現可能性を重視
賃上げ目標を高く設定すれば審査で加点される可能性もありますが、実現できなければ返還リスクが発生します。
【設計のポイント】
売上・利益計画との整合性を取る
都道府県別の基準値を把握(最低賃金上昇率に注意)
中途採用や時短勤務者の扱いにも配慮
決算書や賃金台帳で裏付け可能な数値にする
賃上げ要件を達成できなかった場合の返還ルール
一部未達成であっても返還義務あり!
賃上げ要件は達成できなかった場合は返還義務があります。
下記のケースで返還の義務が発生します。
| ケース | 補助金返還の有無 |
|---|---|
| 表明書を従業員に周知していない | 全額返還 |
| 両目標値を未達成 | 未達成率に応じた額を返還 |
| 成長率がゼロまたはマイナス | 全額返還 |
補助金返還額の計算例
※一人当たり給与支給総額 or 給与支給総額のうち、未達成率が少ない方で算出
例1:給与支給総額の年平均成長率が未達だった場合
補助金交付額:1,000万円
給与支給総額目標値(年平均成長率):2.5%
実際の給与支給総額成長率:1.5%
この場合、補助金返還額は次のように計算されます:
➡️ 返還額は400万円になります。
例2:一人当たり給与支給総額が目標の半分に満たなかった場合
補助金交付額:800万円
一人当たり給与支給総額目標値(年平均):3.0%
実績成長率:1.0%
➡️ 返還額は約534万円です。
例3:成長率がマイナスだった場合(例:マイナス1.0%)
この場合、年平均成長率がゼロまたはマイナスとなっているため、次のルールが適用されます。
「事業計画期間最終年度における成長率がゼロまたはマイナスの場合は、補助金全額返還となります。」
仮に補助金が600万円だった場合:
➡️返還額は600万円(全額)になります。
NG例とよくあるミス
下記の点はよくあるミスなので、注意してください。
| NG内容 | 問題点 | 解決策 |
|---|---|---|
| 表明書未提出 | 審査対象外 | 必ず様式を使用し提出 |
| 記載漏れ | 書類不備 | すべての項目を正確に記入 |
| 非現実的な目標設定 | 返還リスク増 | 実行可能性を優先する |
| 数値の根拠が不明確 | 信頼性欠如 | 売上・利益計画と整合性を持たせる |
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書類作成・賃上げ計画・返還リスク対策まで総合支援
駒田会計事務所では、新事業進出補助金の採択事例と実務に基づくサポート体制を構築。
とくに、賃上げ計画表明書の作成から数値設計の最適化、従業員周知方法まで網羅的に支援します。
全国対応で、オンライン相談にも柔軟に対応可能です。
まとめ
今回は「賃上げ計画表明書」についてまとめてきました。ポイントは下記の通りです。
表明書の提出は必須であり、様式・記載内容を厳守する必要があります。
賃上げ要件には2つの基準があり、どちらかを達成することが求められます。
未達成時には補助金の一部または全額の返還義務が発生するリスクがあります。
賃上げ目標値は、事業計画と整合性のある現実的な数値にすることが重要です。
駒田会計事務所では、申請書類・賃上げ戦略・返還対策まで総合的にサポートしています。
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